![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/169770987/rectangle_large_type_2_d1ea5b54ccf9dec05e43386702bff0a6.jpeg?width=1200)
「金の鍵」が見つかるとき
日本には、
昔話の語り手がいらっしゃいますが、
ドイツではメルヘンの語り手がお話を
披露してくださいます。
少し前になりますが、
そのメルヘンの語り手から
三つのメルヘンを聞かせていただく
機会がありました。
語り手からは、
おちゃめな女の子の雰囲気が伝わってきて、
彼女の顔の表情、口調、声の抑揚など
すべてに魅了されました。
文字通り、身を乗り出して聴き入った
ひと時でした。
そして、
メルヘンというメタファーに耳を傾けると、
そこから聞こえてくるものがあるな
とも感じました。
最後のお話は短いながらも
とくに心に響いたので、
このことを綴ろうと思います。
グリム童話 第200話『金の鍵』
まずは、簡単なあらすじをどうぞ。
。° 。🔑 ° 。°
ある冬の寒い日、貧しい男の子は、雪の中、薪を拾いに橇で出かける。
拾い終わると、凍えるからだを少しでも温めるために、薪を燃やそうと地面の雪をどける。
男の子は、そこに小さな金の鍵を見つける。
鍵があるなら錠前もあるに違いないと男の子は考えて、地面を掘っていく。
すると、そこに鉄の小箱を見つける。
箱には、高価なものが入っているに違いないと信じ、鍵穴を探すが、なかなかみつからない。
やっとのことでみつけた鍵穴は、とても小さかったのだが、鍵はぴったりと合う。
鍵を一回ぐるりと回す。
男の子がすっかり錠をはずし終わり蓋を開けるまで、わたし達は、待たねばならない。
そうしたら、どんなに素晴らしい物が、その箱に入っていたかるだろう。
(↓ こちらを参考にしました。)
。° 。🔑 ° 。°
男の子が金の鍵を見つけたのは、
自分を労わり、凍えたからだを温めるために、
火を起こそうとしたことがきっかけでした。
どんなに困窮した状況にあっても、
まずは、自分を大切にする行為を選んだことが、
鍵を見つけるカギとなっていることに
ハッとさせられます。
そして、
鍵があるなら錠前もあるに違いないと信じて
動いたこと。
考えたことを行動に移す勇気が、
宝箱を探し当てることにつながったように
思われます。
凍てついた土を掘り起こすだけでも
大変な労力が必要だったでしょう。
あちこちに古い根っこもはびこっていて、
大きな重たい石にぶち当たったかもしれません。
そういうモノを取り除いて、
土をやわらかくしていくように、
自分の中に降りていき、
自身の心を耕しながら
自らと対峙するには、
計り知れない苦労がともなうだろうと
想像できます。
けれども、
鍵穴を探し、鍵を回し、蓋を開けるように、
じっくりと時間をかけて、
自らと向き合っていく道のりを歩くからこそ、
自分が自分にとって、
かけがえのない宝になっていくのでは
と思えるのです。
。° 。° 。°
お話が終わった後、
語り手の女性は、
わたし達にプレゼントをくださいました。
![画像](https://assets.st-note.com/img/1736592065-fPHI14YNJviZ65uKomy8kWUC.jpg?width=1200)
アンティーク調のデザインが、
メルヘンにぴったり。
今は、身近なところにこの鍵を置いていて
目にするたびごとに、
今、わたしに一番必要なことは何だろうか
と問いかけるようにしています。
近ごろとくに想うことですが、
自分の限界をみきわめて尊重することも
わたし自身を慈しむことにつながるなぁと。
ちょっぴり疲れたと感じたら、お茶を一服。
こんな小さなことからでも、
心してゆきたいです。
![画像](https://assets.st-note.com/img/1737107800-gpfvyhHGOZJw8RCsk6NK241S.jpg?width=1200)
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
Reiko