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「金の鍵」が見つかるとき

日本には、
昔話の語り手がいらっしゃいますが、


ドイツではメルヘンの語り手がお話を
披露してくださいます。


少し前になりますが、

そのメルヘンの語り手から
三つのメルヘンを聞かせていただく
機会がありました。


語り手からは、
おちゃめな女の子の雰囲気が伝わってきて、


彼女の顔の表情、口調、声の抑揚など
すべてに魅了されました。

文字通り、身を乗り出して聴き入った
ひと時でした。


そして、

メルヘンというメタファーに耳を傾けると、

そこから聞こえてくるものがあるな

とも感じました。


最後のお話は短いながらも
とくに心に響いたので、

このことを綴ろうと思います。


グリム童話 第200話『金の鍵』


まずは、簡単なあらすじをどうぞ。

。° 。🔑 ° 。°

ある冬の寒い日、貧しい男の子は、雪の中、薪を拾いに橇で出かける。

拾い終わると、凍えるからだを少しでも温めるために、薪を燃やそうと地面の雪をどける。

男の子は、そこに小さな金の鍵を見つける。

鍵があるなら錠前もあるに違いないと男の子は考えて、地面を掘っていく。
すると、そこに鉄の小箱を見つける。

箱には、高価なものが入っているに違いないと信じ、鍵穴を探すが、なかなかみつからない。

やっとのことでみつけた鍵穴は、とても小さかったのだが、鍵はぴったりと合う。

鍵を一回ぐるりと回す。

男の子がすっかり錠をはずし終わり蓋を開けるまで、わたし達は、待たねばならない。

そうしたら、どんなに素晴らしい物が、その箱に入っていたかるだろう。


(↓ こちらを参考にしました。)


。° 。🔑 ° 。°



男の子が金の鍵を見つけたのは、

自分を労わり、凍えたからだを温めるために、
火を起こそうとしたことがきっかけでした。

どんなに困窮した状況にあっても、
まずは、自分を大切にする行為を選んだことが、


鍵を見つけるカギとなっていることに
ハッとさせられます。


そして、

鍵があるなら錠前もあるに違いないと信じて
動いたこと。

考えたことを行動に移す勇気が、

宝箱を探し当てることにつながったように

思われます。


凍てついた土を掘り起こすだけでも
大変な労力が必要だったでしょう。

あちこちに古い根っこもはびこっていて、

大きな重たい石にぶち当たったかもしれません。


そういうモノを取り除いて、

土をやわらかくしていくように、

自分の中に降りていき、

自身の心を耕しながら

自らと対峙するには、


計り知れない苦労がともなうだろうと
想像できます。



けれども、

鍵穴を探し、鍵を回し、蓋を開けるように、


じっくりと時間をかけて、

自らと向き合っていく道のりを歩くからこそ、


自分が自分にとって、

かけがえのない宝になっていくのでは

と思えるのです。

。° 。° 。°



お話が終わった後、

語り手の女性は、
わたし達にプレゼントをくださいました。

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アンティーク調のデザインが、
メルヘンにぴったり。


今は、身近なところにこの鍵を置いていて
目にするたびごとに、

今、わたしに一番必要なことは何だろうか

と問いかけるようにしています。



近ごろとくに想うことですが、

自分の限界をみきわめて尊重することも

わたし自身を慈しむことにつながるなぁと。


ちょっぴり疲れたと感じたら、お茶を一服。

こんな小さなことからでも、

心してゆきたいです。

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最後までお読みくださり、ありがとうございました。


Reiko

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