BanG Dream! It’s MyGO!!!!! 感想5 #8〜#9 〜どん底〜
このブログを読んでくださっている方、こんMyGO!!!!!
今回は予告通り#8と#9の鬱回の盛り合わせ回です。
本編に行く前に感想1のコメントに質問が来ていたので
回答してから本編に行きたいと思います。
gifted_viola750さん ありがとうございます。
MyGO!!!!!よりも前のバンドリ!シリーズのバンドで好きなのは何かという質問であるのだと思うのですが、
バンドでいうと一番好きなのはRoseliaです。
キャラクターにキャスト、楽曲の完成度、演奏力その総合力がバンドリ!のバンドの中でも飛び抜いて高水準であると思うからです。
(ただ、バンドリ!のバンドはどのチームもかなり高いレベルだと思います)
ちなみに一番の推しはAfterglowの美竹 蘭で、
好きな曲は、
1位 CiRCLING(Poppin'Party)
2位 Y.O.L.O!!!!!(Afterglow)
3位 Sing Alive(Roselia)
4位 キズナミュージック♪(Poppin'Party)
5位 Song I am. (Roselia)
これである程度紹介できたでしょうか?
ただ、これもMyGO!!!!!を入れるとだいぶ変動してしまいますが。
BanG Dream! It’s MyGO!!!!!の感想文コンテストの力もあるのですが、
初めて1週間未満のブログにしては多くの人に見られているのではないかと思っているのですが、
まずは、こんなブログを長々と読んでくれた全ての人に改めて感謝します。
ありがとうございます。
私としてはブログを読んでくれて、MyGO!!!!!のことをもっと好きになるためのお手伝いになれば、それが何より嬉しいので、
いいねやコメントをして欲しいと求めることはしていないのですが、
やはりリアクションをもらえると嬉しいのも事実です。
Twitter(X)のアカウントもないので、noteのコメントでしか何かコミュニケーションをとる場もないので何か気になることが感想文にあれば、
(またはMyGO!!!!!に限らず、こういう記事が見たいなどでもOKです。)
気軽にコメントしてくだされば必ず回答していこうと思います。
では、そろそろ本編にいこうと思います。
今回もネタバレ全開でいくのでお願いします。
#8 どうして
あらすじ
後悔
#5での愛音、#6では立希。
#7という激動を超えた先に長崎そよの物語が始まりました。
いや、#8では長崎そよの1つの物語が終わったという方が正確でしょう。
#7のラストで春日影を弾いたことで激昂したそよ。
その理由は祥子を傷つけたから。
前回も言いましたが、祥子が傷ついた理由は関係なく、祥子が傷ついて涙を流したことをそよが目撃した事実だけが重要です。
そして、祥子が傷つくと知っていて何で弾いたのか?
何でそんな残酷な仕打ちができるのかを3人に問いただします。
その答えが、
立希「だから、何?」
これは立希にとっては強がりでも何でもなく、本音の答えでしょう。
勝手にバンドを辞めた奴をまだ気にしなきゃいけないのか本気でわかりません。むしろ怒っているそよがおかしいとこの時は本気で思ってます。
愛音は祥子の今の優しい顔も知っているので気まずさは感じていそう。
燈は傷つけるつもりはなかった。というより何で傷つけてしまったのかは永遠に知らないままで一生を終える可能性すらあり得ます。
それでも、傷つけてしまって燈自身後悔した。
だから、2人は謝りに行きます。(しかし、話し合うつもりは本人に無く)
その一方、そよはショックで学校を休んでしまいます。
そして、時間が経ち冷静に振り返ると、そよのなかに今までは必死で気づかなかったとある仮定が浮かび始めたのだと思います。(あくまで憶測です)
それは、”私以外にCRYCHICの再結成を願う人はいないのでは”です。
その後のシーンでその仮定は確定に変わってしまうのですが。
きっと学校を休んでいる状態はこの先の展開が思い浮かばずに迷子になっていた。そしてこの仮定が頭によぎり始める。それを信じたくない・否定したいそんな感情で一回迷子から脱したのではないかと思います。
実際にSNSがブロックされていたかはわかりませんが、ブロックされていることよりもCRYCHICが求められていない事実に気づいてしまった。それがかなり心を動揺させたのではないでしょうか。
実際そよはMyGO!!!!!のメンバーの中でも愛音に次ぐ共感力の高さがあります。その理由は#9で深く掘り下げられますが、簡潔にまとめると人に頼られるのが嬉しいから、人が自分に何を求めているのかを察知する能力が高かったし、愛音の失敗と一緒でその分野で間違えるなんて想像もしてなかったのでしょう。
実際にCRYCHICでの祥子の脱退時の様子は明らかに本心を隠していたし、強がっていたのは事実だと思うし、#7までの様子なら未練も残っているように描かれています。
睦の「バンドなんて楽しいと思ったことない」発言もカラオケの笑顔を見れば何か裏がありそうと考えるのも不自然ではありません。
燈だってCRYCHICを辞めたのは本望ではないことは間違いないし、立希は燈が入れば帰ってくると確信していた。
ただの思い込みではなく、ちゃんと推測できる範囲での確証があるのでそよが判断を間違えてしまったのはしょうがないとは思います。
ただ、最大の誤算は祥子と睦の事情が想像よりも根が深そうであったこと、
燈と立希が想像よりも愛音に気持ちを寄せており、CRYCHIC以上に今のバンドに居心地の良さを感じていること、この2つをそよが理解できていなかったことです。
前者はともかく、後者は愛音を燈と共に追いかけずに水族館のシーンを知らなかったり、立希を探さず夜の逃走劇の結末を目撃していないことなど肝心な場面で最後に踏み込めなかったことが敗因であり自業自得でもあります。
これは余談ですが、我々神の視点にいる視聴者から見れば、そよは独りよがりで自分の意図にあった解釈しかしない思い込みが激しい性格に映りますが、(実際にそのような性格でもあるのは事実ですが)このBanG Dream! It’s MyGO!!!!!のキャラクターたちは性格上「こういうことが前回あったんだよ」という共有がされていない可能性が高いので実は視聴者が知っている情報をキャラクターは全く知らないという状況が考えられます。
誰がどの時点で何の情報を持っていて、判断基準となっているのかというキャラクター視点でアニメを見直すと面白い発見が多いのでおすすめです。
また別の、出会い
MyGO!!!!!の物語とはあまり関係ない気もしますが、この2人の出会い(正確には再会)も#8の見どころでした。
打算だらけの愛音とそよのバンド結成。その時の小見出しにも出会いと名付けましたが、今回の小見出しとの関係性は想像にお任せします・・・。
こちらは愛音とそよとは違い、祥子は打算あり、初華は好意があってという出会いのシーン。それでも本心を隠すことのない美しい庭園での2人。
幼少期での思い出含めて闇を感じさせないシーンになっていたと思います。
傷つけた
本人にはその意図はなくとも、(むしろ善意)祥子を傷つけてしまった事実に後悔する燈。
今まではバンドの活動に関しては自分の気持ちを自分なりに表現すれば、結果的にはうまくいっていたことばかりだった。
だから迷わないでできたこともあった。
でも今回ばかりは失敗してしまった。
どんな仕打ちを受けてもバンドという居場所を教えてくれた祥子に感謝こそあれど恨みなんてあるはずもなく。
前回の記事では祥子との決別の意図で春日影を燈は歌ったのではないかと推測しましたが、#8で明かされた燈の心情も踏まえるのであれば決別という中に今までの感謝も含まれていたのでしょう。私たちはもう大丈夫、だけど今までありがとう。そう春日影で伝えたかったのかもしれません。
失敗しないと思ったら失敗してしまった。自分の中に少しだけあった自信にすら燈は疑念を抱いてしまい、迷子になってしまう。
そんな異常は他者から見ても明らかで。
そんな異常をいち早く察知し、楽奈は燈への興味を無くしてしまいました。
楽奈としては失望の感情が当然一番強いのでしょうが、それに加えせっかく見つけた居場所もすぐに環境が変れば簡単に失ってしまう悲しみと諦めもあったのではないでしょうか。
ちなみに、燈と愛音が会話している場所は燈の自宅、それも自室です。
燈に限らず、BanG Dream! It’s MyGO!!!!!において親族以外の他者を自宅に招く行為は非常に意味があることなので注目して欲しい箇所です。
ただ、今回の燈の自宅に愛音が招かれるのは、今のところ製作による立希を少し揶揄う意図と愛音に対する信頼の表現ぐらいのものだと思われるのでそこまで深くは考察しませんが。
最悪で、残酷な決別
前回、燈は本人なりに美しく祥子と決別しました。(結果は別として)
しかし、そんな状況でも決別しきれないそよはその諦めの悪い醜さからか、
酷く残酷な結末をもって祥子にCRYCHICの終わりを告げられます。
#7の段階で修復不可能だと気付けば、私以外に誰もCRYCHICの復活を望んでいないことに確信を得て諦めれば、こんなに辛いことは知らずに済んだのに。本当に皮肉だと思います。
睦の良心の呵責を利用して祥子とようやく話し合えたそよ。
もともと、#7で2人がRiNGを訪れたのはそよと話し合いで決着をつけることだったので睦を不必要に傷つけてしまうそよは本当に何をやってもうまくいきません。普通に一度やったように羽丘で待っていれば良かったのに。
なぜ、話し合いすら拒否した祥子がライブを観に来てくれたのかを考えないで誰かを傷つける手段を行使する。
出会って最初の話題が春日影を弾いたのは自分の意思ではないという言い訳であり、それはつまり春日影を届ける判断をした燈への叱責と同義であり、誰かのためにCRYCHICを復活させたいならあり得ない思考。
当初は理由も言わず、バンドを終わらせてしまった申し訳のなさからそよや燈を避けていたのでしょうが、
この場面においては醜いそよに対して感じているのは、怒りを通り越した強い呆れと元バンドメンバーに対する深い失望であることが祥子の「おためごかし」という言葉から感じます。
お為ごかしとは、誰かのためにしているように見えて、実は自分の利益しか考えていないことを指す言葉です。
瞬時にそよの真理を見抜き、この言葉を返す祥子には絶対的強者であることが本能に刻まれるほどの怖さがあります。
それでも祥子はまだマシで、
そよを気にかけながらも、こういった場面では全く援護しないどころか背後から致命傷ばかりを与えてくる睦。
かなり不気味に映るのは私だけでしょうか。
祥子はまだ感情が読める。だから祥子周辺の情報を集め、その事情次第とそよの立ち回り次第ではCRYCHICの復活はあり得ない話ではなかったはずです。しかし、そよは祥子との残された接点が睦しかなかった。
そよは他人の思考を予測して立ち回るのは得意です。それでしか自分が求める結果は返ってこないから。しかし全く感情や言動の根源が見えない子はお手上げです。常識も経験則も全く役に立たないからです。
そういった意味では「全部、睦ちゃんのせい」というそよの言葉は間違いではありません。
ただそれも祥子や睦が悪い。と断じたところで何も結果は変わらない。
祥子や睦をみんなで断罪すればMyGO!!!!!は再び1つまとまれますか。
祥子や睦の事情を知り解決できればMyGO!!!!!の物語はハッピーエンドを迎えることができますか。
その答えは、決して”否”です。
その段階を終わらせたのが#8ではないか。
そんな今後の展開を告げるかのようにこの決別にシーンは幕を閉じました。
総括#8
ようやく#8の総括に入れました。本当はもっとコンパクトに#8をまとめて#9に厚みを持たせていく想定でした。そよ(これは#8で一番語りたかった)だけにスポットを当てていくだけのつもりが、書いてるうちに燈や祥子、睦など語りたいことが溢れてしまいました。さらにこれでそよについての細かい考察は#9でも残っているので愛音と立希と比べても厚みがあり過ぎます。ただ、予定外でも祥子を詳しく考察できたのは良かったと思います。祥子はこれ以降暗躍側に回ってしまうので。#8ではようやくCRYCHICに一つの決着がついた回なんだと思います。(ただそれが最悪の形だっただけで)それに加えてそよ以外の4人の方にも不穏な雰囲気は流れるしでなかなかに#7からの落差がすごいです。ここで多くを総括して話すより#9の振り返りも済ませてからの方が書きやすく・読みやすいと思うのでここはあっさりめで終わらせて次にいきましょう。
#9 解散
あらすじ
依存
BanG Dream! It’s MyGO!!!!!にはその言葉自体は#12までは(たぶん)登場していませんが、裏テーマと言ってもいいくらい重要なワードがあると思っています。それが”依存”です。
燈と楽奈はそれぞれ求める居場所に依存してしまうし、愛音は他者評価、立希は燈に強く依存しています。
勘違いして欲しくないのですが、依存することは悪いことではありません。
人は依存なしには生きられません。依存は時に憧れや自身の存在価値などにも直結する生きる渇望であると思っています。
しかし、時に依存は本来の人間の善性までも塗りつぶす怖さもあります。
そよの依存は大きく自身の心を歪ませた原因になったと思います。
そよの依存それは”他者から頼りにされる”という快感でした。
愛音の他者評価も本質的には同じです。ただ愛音の場合は失敗を経験して誰からも必要されない環境を一時的にも体験したことと、他人のために自分を偽ることはしなかったことに違いがあります。
愛音は他者評価のために自分は変えず、自分を評価してくれる環境に変える。
そよの場合は既に構築された人間関係=環境を大事にし、環境に合わせて自分を変える。
この違いが人格形成に大きく差をつけることは誰でもわかります。
愛音は自身の信念は変えない。だから燈は憧れた。
そよは自身の信念が薄っぺらくなる。だから祥子には見捨てられた。
では、なぜ他者から頼られることに依存してしまったのか?
それが#9の冒頭で明かされました。
そよの家庭環境は決して恵まれたものではありませんでした。
理由自体は不明ですが、父と母が離婚し、その親権は母が所有した母子家庭であったことが明かされます。
(離婚の理由はいつも語っていますが、MyGO!!!!!の物語ではあまり重要ではなく、離婚して母子家庭で育ったそよという事実のみが大事です。ただ、#13やアニメ以降の話で明かされる可能性は高いですが)
そして驚くことに長崎家は母子家庭となった瞬間に一気に富豪になっていきます。
その理由も断言されてはいませんが、母子家庭であることは確実っぽいのでお金持ちと再婚ではなさそう。そして娘思いの母だが帰宅が遅い、電話での普段とは違う社会人としての振る舞い、服装などを見ると離婚からわずかの期間で正当な手段で稼ぎ上げたと考えるのが自然でしょう。
個人的な推測にはなってしまいますが、考えられる可能性は2つぐらいでしょうか。1つはもともと優秀な人物であり、若い頃から世界的企業で稼ぎを出し続けていたが夫と出会い産休・育休で退社。しかし、夫が貯金を何かしらで使い潰し生活のために離婚。昔のツテで再び社会復帰した。2つ目はもともと優秀で人望があり、国会議員に当選。電話でのトレードの会話は仕事とは別の収入源の会話。
一ノ瀬家の一軒家から短い期間で東京の一等地の高層マンションの高層階であれほど広い部屋がある家に住めるなんて話そうそうあり得ません。
ただ、これもMyGO!!!!!の物語にはそこまで関係ありません。大事なのはお金や広い家、毎日お腹いっぱい温かいご飯は食べられる生活は手に入ったけど一人ぼっちの時間ができてしまった。
そよは心優しい子なので、自分のために必死で働いてくれる優しいお母さんにはその正直な気持ちは話せませんでした。
その苦しみ・辛さ。
これを我慢し続けたそよは本当に強い子であると言えます。
ただ、そよが耐え続けられたのは日常のほんの短い時間ではあるけども心から幸せを感じられる瞬間があったからです。
それが自分がお世話することによって大好きな人が笑顔になる瞬間です。
それは家でのお母さんから中学の同級生。部活の仲間。お世話する人の絶対数が増えれば、その幸せを感じる時間も比例して増え続けます。
そのうち笑顔を見る喜びが、誰かの笑顔を作っている=支配している自分が好きに本人も知らないうちに変容してしまったのかもしれません。
そんな生活をしているとある誘いを受けました。
豊川 祥子。
前回は暴走するそよを立ち上がれなくなるぐらいに打ちのめした、睦に感情移入していた人にとってはダークヒーローに見えるほど強く勇ましい姿を見せましたが、やっぱり諸悪の根源はこの子だと改めて認識させられます。
#8やこの回想の後のそよの言動は決して庇えるものではないですし、特に燈や愛音の気持ちを考えるとそよに怒りの感情を向けてしまうのもしょうがないとも思います。
でも、それほどにそよにとってはCRYCHICという居場所はかけがえのない居場所であった。なぜそんなに大事にするのかもこの回想を知ると見えてきてなかなかに恨みきれないキャラクターであると思います。
でも、当然この疑問も浮かんできます。ただお世話する関係性に依存しているだけならなぜ、MyGO!!!!!はダメでCRYCHICにこだわるのか。
おそらく#13での燈とそよでの会話で語られる気がするのでその時に改めて考えていこうと思うのですが、
今の段階での個人の予想としては単純にMyGO!!!!!のメンバーが嫌いなんだと思ってます。それは燈と立希も含めて(CRYCHICに頃から)。
予想でありながら根拠もないわけではなくて、放送前の広告ポスターで唯一#12までで登場していないセリフ「燈ちゃんの歌詞、前から苦手だった」も愛音の燈の愛称がともりんになったことで完全にそよのセリフであることが確定したのでそれも踏まえると的外れになる予想でもないと思います。
CRYCHICに拘ってはいるけど、実は祥子に拘っていただけなのではないでしょうか。
そよの依存は何度も言った通り他者から頼られることです。でも今までの対象はお母さんであったりクラスメイトや部活での仲間。自分が偶然所属したコミュニティの中で頼ってくれるだけでした。
しかし、祥子は違う。偶然一緒にバンドを組んだのではない。
祥子は”自分をわざわざ見つけて、祥子から自分を選んでくれた”
そのことがそよにとってはかなり特別なものであったのだと思います。
だからこそ、その祥子に直接”あなたはいらない”と言われてしまうと自分がこれから何をしていいかわからず、迷子になってしまった。
本来なら知らなかったその感覚=幸せを教えておいて、知ってしまった後に急に切り捨てる。祥子を諸悪の根源と言った理由はこれです。
不器用、再び
#6の感想で私は立希の本当の欠点は劣等感ではなく、不器用であることだと述べました。
それを特に強く感じるのは実は#6より#9です。
BanG Dream! It’s MyGO!!!!!は基本的にポジティブな思考で自ら率先して行動すると成功する確率が高いです。
というよりアニメに限らず、創作物である以上バッドエンドの作品以外はたいてい自ら行動して大成功という展開には忠実であるべきだと思ってます。
例えば、#6で愛音と燈は立希のことを思い立希を探し回り、愛音は逃げた立希と逃走劇を繰り広げた。そこで愛音が躓いたのが外ではなく階段だったら。立希と愛音が大怪我をしてライブ出演は中止。立希の性格上愛音と燈に見せれる顔がないと余計に閉じこもってしまう。こんな展開をBanG Dream! It’s MyGO!!!!!において求めている視聴者は果たして多いのか。
それをやってしまうのはまずいとわかるのでそれを避けます。
しかし、立希の場合はこの法則が通用しないのです。
立希は#8ではいつもの強がりでそよの捜索にも祥子との謝罪にも全く関わろうとしませんでした。
そよがCRYCHICに執着していることに立希は薄々勘づいていながらも気づかないふりをしており、他のメンバーに至っては全く知りません。
そよが裏で別の顔をしているのを知っているのは視聴者のみです。
#8では勝手に帰ってくるだろうし、その時にでも謝ればいいと楽観的に捉えていたのだと思います。
しかし、燈はそよと楽奈はもうバンドに戻ってこないのではないかと心配し、それは何より燈が悲しむことを改めて理解したことでことの重大さにようやく気づき始めます。
ちなみに、燈がそよは帰ってこないことにこの段階で気づいているのはもちろんその独特ながら何かを感じ取る能力が高いことと祥子脱退時の空気感に近いことが大きな理由ですが、自分の足でそよを捜索した結果、そよが長い間高校を休んでいる情報を掴み、そこに異常さを感じたからです。MyGO!!!!!のキャラクターたちはこういった最低限の行動すら強がりなどで行わないので情報不足になり問題が複雑になっていく。そんな現代社会に通じる構図をうまく作り上げています。
何回も執念深く伏線を張っていた立希と燈の歩道橋のシーン。
ようやくその伏線が回収されます。それも今までは真ん中付近で折り返し必要以上に燈の自宅=心に近づかないようにしていた立希が初めてそのラインを超えて光の当たる部分に進むという完璧な覚醒演出です。
そして、今まで避けていた睦や劣等感を抱える立希にとって一番関わりたくないはずの姉にまで頼るという強がりの立希がプライドを捨ててまでそよに会いに行く。この成長は感動してもいいと思います。というより劣等感は完全ではないにしろ、乗り越えたと言ってもいいと思います。
そしてついに直接対決へ。
この前のシーンで燈と愛音を無視する。完全に越えてはいけないラインを越えてしまった旧友と仲直りをするために自身の弱さを乗り越えたキャラクターが単身で乗り込んでいく。間違いなく立希の勝利演出です。
そして結果は・・・
そよの勝利でした。
というより立希の完全敗北です。
そこでそよは視聴者は既に知っていたけどキャラクターは誰も知らなかった事実を話します。
それは、
・今までのバンド活動はCRYCHICの復活のためであったこと
・愛音と楽奈は切り捨てる前提だし、その上で愛音を利用したこと
・CRYCHICの復活が頓挫すれば燈の心情などどうでもいいこと
・もはや春日影の怒りをもつほどの興味もバンドにないこと
流石に立希の気持ちとしては動揺しても無理はありません。
それでも燈や愛音を騙した怒りでチープな理論武装しますが、結局は立希も燈のいる居場所のためにバンドを、そして愛音を利用している現状を見抜かれ完全に言い負けてしまいます。本当に”最悪”です。
このそよの立希への攻撃は立希は許せないと言っているが、結局は本質は同じというブーメランでしたが、#5での愛音がライブしたくないためを燈を利用したことで愛音を叱責したことにもブーメランになっており、その時からそよは心の中で「立希ちゃんも人のこと言えないのに」という気持ちを持ち続けていたのかもしれません。だから瞬時に立希に向かって同類であることを示せたのだと思ってます。
ちなみにこの時のそよの「全部、ウソ」という発言。本心であること言われれば本心であること自体は間違いないと言ったところでしょうか。
ただ、申し訳なさもない笑顔やCRYCHIC以外どうでもいい=MyGO!!!!!での活動中に何も感じることがなかったということが本心かと問われるとそれは嘘であるように感じます。
そよはよく爪を触る癖があるという設定が強調されて公開され、実際にそれを強調して描かれています。そしてそのシーンは愛音を利用するためだけに近づいて本心を隠したシーンに多かった印象があります。
「人は嘘をつく時に癖がある」よくテレビではそれで手品を行ったりしていますね。実際に私も嘘をつくときではありませんが、人前でスピーチを行うときは話している内容に合わせて手を動かしている自覚があります。その方が硬直しているより緊張も和らぎますし、言葉も頭に浮かびやすい感覚があるからです。燈を演じてくださっている羊宮さんもトークショーや配信、動画付きラジオなどで見かけた時に好きなものを語るときに身振り手振りをしながら楽しそうにお話しされている姿が印象的でした。
長々と何が言いたいかというと、人は嘘をつく、発表する、熱弁するそういった会話シーンでは無意識に何か癖を出してしまっていることが多いということです。
そして#9でのそよと立希の会話シーンではやたらとそよは立希から目線を外す、自分の髪をいじるなどの仕草が多いです。
これが何を意味するかは推測でしかないのですが、見て、聞いたセリフが全てであると断言して終わらすには勿体無いシーンです。
崩壊
まだまだ立希の不器用さが続きますが、長くなりすぎてしまうので一回区切りましたが、ほぼ続きからです。
そよの本心を知り、立希は「あいつはもうダメだ」と諦めてしまいます。
でも燈とバンドは続けたい。そのために手段を変えます。
その手段とは新たに優秀なベーシストを招集することでした。
海鈴をバンドに誘う。
一般的にこの答えは間違いではありません。
前のベーシストがバンドをやる気もなく、特に邪魔もしないのであれば諦めて放っておく。そしてツテがあるさらに優秀なベーシストに依頼する。
優秀なギタリストの楽奈までいない状況なので普通のバンドであれば立希のこの行動はむしろ称賛されるべきことでしょう。
しかし、燈のためのバンドで、燈のためにした行動であるのならその一般的正解は今回においては絶対にしてはいけない答えであることは立希本人も理解しているはずなのに、この答えしか思い付かなかった。
これが立希の不器用の真骨頂です。
結局海鈴のベースでは燈は歌いませんでした。
本来なら激務の中バンド練習にツテがあるというだけで付き合ってくれて、なのにギターは初心者、ボーカルは頑固で歌わないし、自分の目の前で険悪な会話を繰り広げる。そのまま立希が絶縁されても文句言えません。
なのに、話がまとまった後にまた呼んでくれるなら参加すると言ってくれたり、バンドの辛さをたくさん知りながら自分の演奏を拒否した燈に応援の言葉をかけてからその場を去った海鈴の人の良さが光ります。
そんな海鈴が去った後という最悪なタイミングで立希はそよの本心を燈と愛音に打ち明けてしまいます。隠し通すよりはマシだと思いますが、あまりにもタイミングが悪すぎます。
愛音からしてみれば、ただでさえそよの裏切りにショックを受けている状況の中で自分も燈をそよのように利用した罪悪感が蘇り自己嫌悪。それに加えそよのベースじゃなければ歌うことを拒否した燈を目の前で見た後だと燈は自分よりもそよとバンドがしたがっている。そう解釈してしまったのかもしれません。
失敗した完璧じゃない自分を知っている。それでも愛音がいいと自分を選んでくれた燈。そんな燈から逃げたくないと心から決心したから頑張ったギターの練習。でも燈は私よりも大事な人がいる。
”燈ちゃんは私を選ばないし、選ばれる資格も私にはない”
そんな愛音の気持ちが「私、いらないんでしょ」「燈ちゃんは、そよさんとCRYCHICやりなよ」に込められていると感じます。
当然、燈はそんなこと微塵も考えていません。
燈の心情はただ純粋に#4の頃から一切変わっていません。
愛音、立希、そよ、あの時一緒にバンドをやると約束したこのメンバー誰1人欠けることなくバンドをしたいその一つのみです。
だから海鈴のベースでは歌いたくないし、一緒に約束してくれた立希がそよを諦める決断をしたことに不信感を抱いてしまいます。
そよは睦に向かい「してほしいことは何もしないのに、余計なことばかりする」と発言していましたが、立希も少し似ている気がします。
「してほしいことに気づくのが遅くて、頑張ってやってみると状況が悪化しがち」立希が不憫でなりません。
燈のした約束は最初のライブまでが期限だったので約束は果たしているのですが、そよは#7のライブ直前に燈に今日のライブが終わってもこれからもバンドをやると言ってくれた。それが本当に嬉しかったのだと思います。
なのに現実はこんなにも残酷で。
「こんなことなら バンドなんてやりたくなかった」
正直に言って私自身も目を背けたくなるほど辛いシーンでした。
アニメ放映前からMyGO!!!!!のライブを見て、感動して、
そこからどんどんキャラクターが好きになっていて、
そんな中燈のこの発言、絶対に言ってほしくないセリフでした。
これはもちろん脚本や製作への文句という意味ではなく、
覚悟してはいたけど、この台詞が溢れてしまうほどの燈の悲しみ。
それを見たくなかった。自分が耐え切れないから。
こんなに辛い思いをするならBanG Dream! It’s MyGO!!!!!を見なければ、
MyGO!!!!!の存在自体を知らないままだったらこんな気持ちにはならなかったのに。一度この言葉が自分でも浮かぶほど本当に辛いシーンでした。
総括#9
ようやく#9が終わりました。本当に辛くて辛くてたまらない回で、それでも語りたい部分が多くあるからあまり思い出したくないシーンもたくさん思い出して、その度に自分の心が擦れてはひび割れていくのを感じながら言葉を繋いでいました。よく#9の放送された後に5th Liveをするって気持ちをどう整理すればいいんだというのが話題になりました(本当にただの偶然)。実際にそよを演じる小日向さんはかなり悩んでいたことをライブ中のMCでもお話しされていました。しかし、個人的には少し助かったという気持ちが大きかったです。土曜日のライブまでふとした瞬間に燈の涙や愛音の「あぁ」が脳裏にフラッシュバックしてくるのでそれを最高のライブで上塗りできないと結構辛い時間が続いていたと思います。それにこんな惨状からでも立ち直れるという確証も持てましたし。何より#9の後に聴く焚音打はそれはそれで感動があります。
ちなみに、今回の感想記事のタイトルはどん底。前回の奮激に続く本編中に登場するワードではないものから適したものを考えました。奮激よりも直球などん底ではありますが、これには2つの意味があります。1つは当然最後のスタジオの様子はどん底以外の何物でもないという意味です。
そしてもう1つ。これは#10の展開のネタバレにもなるので本当は次回に回すつもりでしたが、記事を連続して見てくれる保証もない中で次に回すのは傲慢な気がするので少し喋っちゃいます。(次回でも同じようなことを話します。)どん底。それは最も低い底の部分。言い換えると今まで足元が見えなかったり地面だと思っていた足元が力を入れたら崩れ出すことはなく、しっかりとした固い地面にようやく足をつけることができたということ。今まで踏ん張りたくても踏ん張れなかったとある少女がやっと踏ん張れる環境(というより踏ん張るしか無くなった)になったということ。
どん底には最悪な展開になってしまったという意味と最悪な展開になったからこそ動き出せるチャンスも作った。そんな次回の主役のための舞台を準備したのが#8と#9であると思いタイトルに選ばせてもらいました。
と、#8と#9の感想はここまでです。
覚悟はしていましたが精神的にも、書いてる文字数的な意味でも辛い感想記事でした。最初の余談でも文字数が多くなったとはいえ2話分で14,000文字超えは少しやりすぎたなと思いました。
ただ言い訳させてほしいのは、このBanG Dream! It’s MyGO!!!!!のように少ない登場人物で濃密なストーリーのアニメの感想記事となると後半につれ感想が膨大になるのはしょうがない部分もあります。最初の方は喋りたいけどそれはネタバレに繋がってしまうという理由である程度短くできるのですが、逆に言えば喋りたいことが全部後半に溜まってしまうということと同義であって。
基本的に私は感想記事はある程度絶対書きたい部分だけは決めてそれ以外は結構その場のノリ=アドリブで書いてます。そして話数が進むにつれアドリブ部分が増え続けています。そもそも絶対書きたい部分ですらその場のノリで書きたい情報量が増え続けています。ただこの方針を改める気も全然なくて。きっと長すぎて見ていられないという方も多いことでしょう。それは本当にごめんなさい。でも私は書きたい・伝えたいと思ったら全部書きます。書こうか迷うなら書きながら迷います。ここまで製作側の熱意が伝わる作品も珍しいです。なので私も全力で感想を書きたい。そう思わせてくれたのがこの作品の#10や#12のお話しです。
次回の#10の記事は#7ように一話分のみで勝負しようと思います。#10はそうじゃないと話せません。そして多分また長くなります。全てに人に好きになってもらう感想記事よりも誰かの記憶に残って、自分ももう少し頑張ろうと思える感想記事を目指して次回も頑張っていこうと思います。
おまけ#4
ここからは需要があるかわからないおまけコーナーです。
本編を読んで疲れたら迷わず飛ばしてくれて構いません。
今回は「潜在表明」です。
今回潜在表明を選んだ理由は実はそよと潜在表明は結構関係性が明示されているからです。
実際に4th Liveではメンバーそれぞれが一曲ずつ歌詞を読み上げていく台詞がありましたがそよの担当は潜在表明でした。他にも全国の本屋でMyGO!!!!!の栞を配布するキャンペーンでの栞もそれぞれ裏側に歌詞の一部が掲載されますがそよの栞の裏は潜在表明です。
ちなみに他のメンバー(左 4th Live:右 栞の裏)は
・燈 音一会:迷星叫
・愛音 名無声:壱雫空
・楽奈 影色舞:無路矢
・立希 迷星叫:影色舞
と言った感じでそよと潜在表明のペア以外はみんな一致していないのです。
そよと潜在表明の関係性はやはりその音楽性の繋がりが予想できます。
潜在表明は基本マイナーコードでAメロ、Bメロで進んでいき、サビで一気にメジャーコードに転調するなかなか面白いコード進行ですが、マイナーコードで暗い曲調が長く続き、その効果をより増幅されるため低音のベースが他の曲に比べてだいぶ活躍している曲になっているのです。
一度はライブで生演奏を聴いてほしいです。本当にベースの低音がずっしりと自身の心臓に乗り掛かってきます。
そして潜在表明といえば、今では曲数も増えMyGO!!!!!の色と言っても過言ではないポエトリーリーディングが初めて取り入れられた曲です。最初この曲を聴いたのは大阪での3rd Liveでの初披露の場でしたが、声出し禁止の中ここまで会場がざわめく空気になったのは初めてでした。曲が凄いとか好きな曲調だとかそんな次元じゃなく、最初はただただ衝撃と低音と溢れでる苦しい歌詞の暴力に殴られ続けられるだけというよくわからない感情になっていました。曲が終わると何か凄いものを目撃してしまったと呆然としていました。
影色舞と潜在表明が初披露された3rd Liveは今でもMyGO!!!!!は必ず凄いバンドになると確信した今でも思い出深いライブです。
と、ここまで話すと少し怖い曲と感じるかもしれませんが、(それも否定しません。結構狂気も混じった曲だと思ってます。)実は最後まで聴いていると勇気をもらえる曲でもあります。
燈を演じる羊宮さんと愛音を演じる立石さんは気分が落ち込んで自分を元気ずけたいたいときはMyGO!!!!!の曲ならあえて暗い曲である潜在表明を聴いているとインタビューでもおっしゃっていました。
「僕の声を 抱えて歩いた」の歌詞。燈らしく声と比喩されていますがこの声は自分の嫌いなところであると思います。自分の嫌いなところは自分にずっと憑いてきて離れてくれない。そんな僕を周囲は後ろ指差し、憫笑し冷評してくる。決して痛みを感じないわけではない。むしろ誰よりも痛みに弱い。それでも必死に立っているだけ。本当は辛いに決まっている。
最近でもありましたが、(あえて言及はしません、読んでくださる方も断定などはしないようお願いします。)自分への批判の声に悩み自ら命を絶ってしまい、悩んでいるなんて分からなかったと周りから後で言われる。そんなニュースが珍しくもない現代社会。その苦しい心の叫びを結構言い当てている歌詞だと思いませんか。
逃げたいとか泣きたいとかそんな感情言葉が追いつかない。心の中で叫んでも反響するだけで誰にも気づかれない。だけど叫べないことはもっと辛い。
単語として並べるだけで本当に今でも誰かが同じことを思い助けを求めているのではないかとすら思えてきます。
ここまでだと本当に辛い曲です。
でもラスサビからの歌詞は少し変わってきます。
ここからの歌詞が本当に好きなので全部載せます。
「僕であろうとするために この痛みがあるのなら 見失わないように 抱きしめている 誰かが望む理想(いろ)には僕は変われない だから 何度だって 這い出した 声抱えて 生きる」
自分では嫌いなところも結局それ含めて自分だから捨てられないし捨てたくない。誰かに理解されなくても自分だけはそれを愛したい。自分の好きも嫌いも全部受け入れる。それを批判されて苦しんでも、その苦しみでさえ大事にしたい。理想論かもしれないけど忘れないでいたいそんな考えさせられる歌詞です。
そしてこの歌詞はやはり燈の叫びなのだろうと最初は思っていましたがアニメを見た後だと誰かのために自分を偽り続けて最終的には迷子になってしまったあの少女にも通じる叫びなのではないかと思ってしまいます。
そんな歌詞が羊宮さん演じる燈からポエトリーリーディングでかなり感情的に表現される潜在表明はMyGO!!!!!の隠れた名曲であり続けてほしいと思います。
おまけは以上です。
今回の記事はここまで、
気に入ったら次回も読んでくれると嬉しいです。
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