【メンバー紹介】労働と仕事と活動のはざまで。ここにあるでこころの形を知る。野嶋佑宇
今年で4周年を迎える、ここにある。今や4歳になった私たちですが、自分たちの力だけで今の姿になったとは到底思っていません。これまで目をかけて手を差し伸べてくださったみなさまのおかげで、今の私たちがあります。
そんなみなさまに「ありがとう」を伝える機会をつくりたい。そんな思いで、11月11日の周年祭に向けて、今少しずつ準備を進めているところです。周年祭に先立ち、メンバー紹介を始めました。私たちのことを知っていただく機会になれば嬉しいです。
ここにあるのことを知らない人に、ここにあるのことを説明するのは難しい。安易に「地域イベントのコーディネートや運営をしている団体」と表現することが多いが、誤解やズレを生んでしまっていることは自覚の上だ。この記事を目にする方ならご存じの通り、ここにあるがつくりたい価値は「地域イベントのコーディネートや運営」にとどまらないからである。
ここにあるとの出会い
私自身は、そこそこの規模の日本企業に籍を置きながら、プロボノとしてここにあるに関わらせてもらっている。ここにあるや藤本さんと出会った2022年当時、私はいわゆる「ふつうのサラリーマン」として、会社や業界に閉塞感を覚えながら勤めていた。
息苦しさから逃れる選択肢としては、飼い殺し/しがみつきの共依存関係(デッド)または個人事業主として脱法副業か転職(アライブ)の選択肢しか見えていなかった。
そんな折、たまたま同僚に呼ばれて参加した有志の社内勉強会で藤本さんと出会った(社内の勉強会と聞いていたのに、ラフなヒゲの知らん人がいることに戸惑ったことを覚えている)。
その後、藤本さんやここにあるの活動に興味を持ち、軽い気持ちであまがさきキューズモールでのイベントを中心にスタッフとして関わり始めた。そのことをきっかけに、あれよあれよという間にここにあるのつくる世界観に巻き込まれていったのだ。
学びと出会い
ここにあるで活動をする中で、気付いたことが2つある。ひとつは、課題に対しては“挑む”より“遊ぶ”姿勢でアプローチする方が、解決への道が開ける可能性が高いということだ。
ひとつ例を挙げたい。例えば、「フードロス」という社会課題。大量に生産される食材、買いすぎてしまって消費し切ることができない食材があり、食べられないまま捨てられていく。一見課題に注目すると是正すべき無駄が目に留まる。
一方で、この課題を生み出している現在の流通システムや資本主義社会をすべて否定するには、あまりにもそこから得られている便益は大きい。生産者側も消費者側も、ある程度この課題を仕方のないものと受容することで世の中の制度が成り立っているのだ。
このような課題に対して、ここにあるでは「サルベージパーティ」をコーディネートするという手法をとる。サルベージパーティとは、使いきれない食材を持ち寄って即興で料理を考え、調理するプロセスもたのしみながら、最後に一緒に食卓を囲むというイベントだ。特に興味深かったのは、このイベントの会場がまちのスーパーマーケットの一角にあるキッチンスペースにあったことだ。
一般的にスーパーマーケットは食材の流通の場であり、事業として売上や収益を優先順位の高い位置に置いているはず。そのスーパーマーケットでフードロスに対する課題提起とは、よくよく考えればトガっている。
しかし、このイベントで初めて出会った人々が、各々のできることをして楽しみながらご飯をつくり、ともに食卓を囲む様子を目にすれば、誰でもこの活動が意味のあることで、施設にとってもメリットが大きいことが直感的にわかると思う。
秩序や多数の利益のために構造化してしまった課題を真っ向から変えることは難しい。挑む姿勢でぶつかっても、秩序を守り、利益を得ている多くの善良な人には響かない。ここにあるがつくる場は、遊びがあるように思う。
ふたつ目は、人との出会い。インターンやプロボノとしてここにあるに携わっている人、イベントを一緒に運営したり、イベントに参加したりしてくれる人。ここにあるに関わることでたくさんの出会いに恵まれた。その出会いの中には、私自身と同じように企業に勤めながら活動している人や、同じ会社の中で想いを分かち合える仲間も含まれている。
2022年の閉塞感に苦しむサラリーマンには見えていなかっただけで、世の中にはたくさんの人がいる。そんな人たちがが有機的につながることで、新しいこと・おもしろいことが日々生まれていることに気付くことができた。
それは私にとって大きな希望であり、ここにあるで一緒に活動することで、私もその生態系のひとつの細胞として作用できていれば嬉しいと思う。
労働と仕事と活動のはざまで
コロナ禍でリモートワークをしていた頃、尼崎のここにあるの事務所に出勤して本業の仕事をしたことがある。ふたつの株式会社、ふたつの場に同時に存在を許された、不思議な瞬間だった。
小さな問いを言語化できる環境、拾ってくれる環境、無視しないでいい環境。そして、深い話をできる友達のような心理的安全性。これからも企業勤め人という文脈から、仕事で遊ぶように、ここにあるで場を紡いでいきたい。
▼ここにある周年祭イベントページ
▼求人情報
▼ここにあるが向き合い続ける社会への問い
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?