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IPO審査のツボ・歩合給・完全出来高給の割増賃金計算の支払いに注意!

Co.Co.Labo経営・社労士事務所×(株)HRテックの代表を務める特定社会保険労務士の阿久澤と申します。

このnoteでは業界経験16年目・累計600社以上の支援実績を持つ私が人事労務関係のコンテンツを企業経営者・人事に抜けて発信しております。

本日は歩合給・完全出来高給の割増賃金について書きます。

職業柄、多くの企業の賃金台帳を目にします。

賃金台帳を点検すると、9割以上違反が発生している論点があります。

歩合給の割増賃金はどのように計算するのでしょうか?

「えっ 歩合給に割増賃金は発生するの?」

と9割以上の方が疑問に思います。正確に表現すれば仮に完全歩合制(フル・コミッション)の場合でも割増賃金は発生します。

新規上場(IPO)の労務顧問を支援していると「労務DD」と呼ばれる違反が生じていないかを事前に点検するのですが違反率が高いのがこの論点です。

実際に歩合給に割増賃金が発生する事例をみてみましょう。

例)月給20万円(基本給)・営業歩合5万円

仮に月平均所定労働時間数が160時間で、残業を5時間おこない月の総労働時間が165時間だったとします。

給与計算では、次のような計算式で給与計算・割増賃金計算をおこないます。

①20万円/160時間(月平均所定労働時間数)=1,250円(時給換算額)×5時間×1.25=7813円(1円未満端数切上)

②5万円/165時間(総労働時間数)=303円×5時間×0.25=378円(歩合給による割増賃金)

①+②=今月の割増賃金となりますので

7813円+378円=8191円

となります。②の部分が実に多くの企業で認識として無い上に、有名給与ソフトの全てがこの部分の給与計算に対応していないという実情があり、多くの企業で法令違反が発生してしまっています。

実務上の対応としては、「条件式」を給与計算内に設計し、上記の計算ロジックを設定することで対応をしています。

上場(IPO)準備企業の労務DDをおこなうと、この論点の違反が非常に多い事にびっくりします。そして多くの企業で遡及支払いになってしまいます。

更に注意なのは「フルコミッション(完全歩合制・完全出来高制)」にも上記の法令は適用されているという点です。

運輸・運送業、生命保険会社等でフルコミッション制・完全出来高給を設定している企業は珍しくないです。

特に運輸・運送業では出来高給を設定する企業が非常に多いので注意です。

この歩合・出来高給の割増賃金にどのように対応すべきかのかは、個別にご相談ください。













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