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②こども誰でも通園制度は、誰を救済する制度なのか?などを考えてみる

こども誰でも通園制度」は、月に一定時間(月10時間を想定)、親の就労要件を問わず柔軟に利用できる通園制度です。現在、国が創設を目指し、全国各地の31自治体、50施設でモデル事業が進められています。

ニュースでは、定員がすぐに埋まってしまったという「ニーズの高さ」と現場の「負担増」が報道されていますが本記事では、もう少しだけ掘り下げてみます。

9月21日に行われた「こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会」の資料から考えていきます。


モデル自治体からの聞き取りから考える

資料には、各自治体から聞き取りをしたり、視察等によって得た情報をとりまとめたものがありましたので、気になるコメントを抜粋し、補足します。ただ、箇条書きのアンケートのため詳細が不明なものもありので、疑問点も上げておきます。

◆東京都文京区(人口23.1万人)

「この料金だから使いやすいという声も多く、一時預かり事業との料金のバランスは検討の必要 があると考えている。」
本制度:週1回利用で月額5,000円 週2回利用で月額8,000円
●文京区の一時預かり保育の料金:1時間当たり800円
⇒10時間の利用で、一時預かりは8,000円になるため、週一回の誰でもの利用が料金5,000円で負担は低くなる。

◆岐阜県岐南町(人口2.6万人)

「休園になった保育所を活用し『多機能型地域子ども安心センター』を開設。しかし、1歳未満の子どもを施設では受け入れられない、施設までの距離があり通えない等により利用できないという課題があり、つながらないケースがある。」
⇒施設の形態によって受け入れ年齢に制限がある。
⇒導入施設が増えれば距離もの問題は解消される。

◆大阪府高槻市(人口34.7万人)

「担当は、幼稚園クラス30年のベテランではあるが、2歳児対応は初めてで、園の研修や意見交換を積極的に行っている。」
⇒保育園だけでなく、様々な施設がこの制度を取り組むためには、保育当日の労力だけでなく、事前の準備の現場の負担となる。未満児の未経験の幼稚園や一時預かりを行っていない保育園は、制度導入の障壁が高くなる。

◆香川県多度津町(人口2.2万人)

「保護者から定期利用への抵抗感や利用料負担への懸念の声があり、利用に繋がらないとの報告あり。」
⇒多くの地域がニーズが高いと感じているにもかかわらず、ネガティブな報告になっている理由を考える必要がある。例えば、

  • アプローチする対象が違うのではないか?(一時保育利用者にアプローチしている)

  • 現場もしくは自治体がこの制度に賛同していないのでは?

  • 地域によって需要に幅があるのか?


◆福岡県福岡市(人口164.1万人)

「障がい児の受入れに関しては、当日の預かり児童数を縮小することで対応。」
⇒誰でもというのであれば、大幅な配置基準の変更、もしくは、子どもの数ではなく、手間や労力に対する配置基準への変更が必要。
⇒利用者の優先順位はどのように決めるのだろうか?

◆長崎県東彼杵町(人口0.7万人)

「人口1万人に満たない地域で実施しているが、広域利用による近隣自治体からのニーズも高い。」
⇒長崎県では、1か所のみの実施のため、導入園が増えた時でもどれくらいのニーズがあるのかを把握する必要がある。

こども誰でも通園制度は、保育所、認定こども園だけでなく、小規模保育所、家庭的保育事業、幼稚園、地域子育て支援拠点などあらゆる施設で行われるため、今後は、良いも悪いも含めた事例が集まってくると思われます。

多くの事例が共有できれば、良い運用方法のアイディアも出てくるのではないでしょうか?



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