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公立短大の4大化は人材流出を加速させる!!

1週間ほど前に、公立短大の4大化に関するニュースが出ていましたので、これらについて考えてみたいと思います。

南日本新聞の記事で、鹿児島県立短期大学の4大化について議論されているという記事です。
この議論は、長年されているようですが、財務の問題と近隣私大への配慮がネックとなり実現していないとのこと。

私大再編のキーワードは4大化共学化公立化です。
昨年度から、4年制大学や共学へ移行する保育士養成校のニュースが頻繁に出ていました。大学関係者に話を伺うと、これらが必ず上手くいく訳ではないとのことです。
さらに、大学が生き残っても保育学部がなくなるという可能性もあります。
そうなれば、地元で保育士を育成することができなくなります。これで地域の暮らしを支えることができるのでしょうか。これは、保育だけでなく、医療や介護にも言えることかもしれません。

さて、今回のニュースは、公立短大の4大化というかなりレアなケースです。
全国には、15校の公立短大があり、太字が保育士養成校です。(※岩手県立大学短期大学を2校でカウントしています。)
ですから、鹿児島県立短期大学は保育士養成校ではありません。

  • 旭川市立大学短期大学部

  • 岩手県立大学盛岡短期大学部

  • 岩手県立大学宮古短期大学部

  • 山形県立米沢女子短期大学

  • 会津大学短期大学部

  • 川崎市立看護短期大学

  • 大月短期大学

  • 岐阜市立女子短期大学

  • 静岡県立農林環境専門職大学短期大学部

  • 静岡県立大学短期大学部

  • 三重短期大学

  • 島根県立大学短期大学部

  • 倉敷市立短期大学

  • 大分県立芸術文化短期大学

  • 鹿児島県立短期大学

今後、これらの大学の4大化の議論が出てくる可能性がありますが、公立というだけあって、保育士養成校で言えば、旭川市立大学短期大学部以外は、入学定員はほぼ充足しています。(こちらの短大は、2023年に効率化されたばかりなので広報が足りなかったのでしょうか。)

鹿児島県立短期大学は、1922年に鹿児島県立第一高等女学校(鹿児島県立鶴丸高等学校)の専攻科として創立、1950年短大設置。元々は鹿児島県立大学に併設されていたが、後に独立。男女共学。現在、日本最南端の公立短大となっている。 文学科、商経学科のほか、生活科学科では、栄養士の資格取得ができる。

wikipedia

鹿児島県立短期大学だけでなく、その他の公立短大も、現時点ではある程度充足しているとはいえ、これからの少子化を考慮すると、当然、4年制大学へ移行した方が良いという意見は出てきます。
ニュース内の「短大では管理栄養士の受験資格が取得できない」という業界内の意見はもっともだと思います。

しかし、保育士養成校の公立短大が、4大に移行することで、県内私立短大との併願関係が崩れ、地元学生の県外流出が起きたという話しも聞いてます。

そもそも、ニュース内の「近隣私大への配慮」とは、私立大学と比較して学費の安い公立大学に学生をうばわれてしまうということです。税金を使って民間企業(私立大学)を圧迫することになりますので、議論が進まないのはこの辺りが一番の原因ではないかと思います。

私は、部外者なので財務の見通しは分かりませんが、少し前に出たニュースはこのあたりが背景にあるのではないでしょうか。


保育人材確保において、地域が、今採るべき戦略は、
①保育士養成校を潰さないこと
②新たな人材育成プランを実行することです

そのために、ひとつひとつの施設の採用だけでなく、長期的な視点での地域人材育成戦略をとらなければ、「人材不足の現場しわ寄せスタイル」から抜け出すことはできません。



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