上田久美子先生の手のひらでコロコロされるのが好きだった

宝塚歌劇の沼に浸かって、早いものでもう1年半以上経つ。
沼に浸かってから何度も、「なんでもっと早くハマらんかったんやろ…なんでこのタイミングでハマったんやろ…」と思った。主に退団される生徒さんや過去の作品に対して。
まさか、演出家の先生に対してそう思う日が来るとは思わなかった。

好きな演出家先生のおひとりである、上田久美子先生が3月末で退団されていたことが報道された。
報道を知ってから、1時間くらいぼーっとしてしまった。個人的にははなちゃんの退団発表に次ぐショックの大きさで、久しぶりに勢いのままに文章を書き殴りたくなり、ノートPCを開いてnoteを書き始めた。
という訳で勢いでウエクミ先生演出の好きなところを書き殴っているだけですすみません。

ウエクミ先生演出の好きなところ。
・独特の世界線の場合でも、世界観の作り込みが深くて破綻している部分が無く、舞台上のどのシーンのどこを切り取っても全てに意味があるところ。(BADDYとかBADDYとかBADDYとかfffとかfffとか)没入しやすいし、観劇中にふと我に返る瞬間が無い。(色々考えながら観ていて我に返っている場合ではないこともあるけど←)
型にはまってるけどはまってねぇ…という斬新さとそれでいて「宝塚歌劇」の枠からはみ出さない、この2点が両立しているところ。(BADDYとかBADDYとかBAD(ry )BADDY、ショーであれだけがっつりストーリーあること自体珍しいと思うけど、まさかデュエダンまでストーリーに組み込まれているとは…という初見の衝撃は忘れないと思う。
一つの作品の中で複数の物語が関連しながら輻輳していて、観る度に新たな気付きを得られる文学性の高さ。社会風刺があったり、人間(が生きていく上で)のざらりとした現実を突き付けられるあの感じも(元気が無い時に観るものではないとは思いつつも)好き。長編小説を読んでいるような気持ちになる。脚本を読んで余韻に浸ったり色々考えたりしたいが為にル・サンクを買ったこと何度か…(というか生で観た作品全部買ってんな…)
舞台機構・セットの使い方、作り方、舞台の見せ方。(fffでのオケピの使い方、ルードヴィヒとナポレオンの和解?のシーンの隊列の見せ方、謎の女が「人類の不幸」を歌い出すところの演出、桜嵐記での人物紹介、楠正行の最後の戦いで桜の花びらが吹き出す演出、その場面の銀橋の使い方、など)上手く表現できないけれど、個人的には演出面において「劇場で観られて良かった!!」と思うことが一番多い先生だった。

宝塚歌劇の舞台でこれ以上新しい作品を観られないのは残念ではあるが、これからも演出は続けられるとのことなので、また新たに演出された舞台を拝見し、先生の手のひらでコロコロされる機会があることを楽しみにしたいと思う。すみれコードというベールの無い世界でのウエクミ先生演出の舞台を観るには、相当の覚悟が必要かもしれないが。

#上田久美子 先生

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