映画

最近は映画をたくさん観ている。
昔はテレビがないしネットもないから映像というのはそれだけで人を感動させるものだった。私の世代はYouTubeやニコニコ動画で素人が映像を手軽に公開出来るようになった最初の世代だったので、完成された商品としてではないサブカルチャーとしての映像作品はむしろ身近なものだった。そういった座視からすれば名作と言われる映画のB級感はむしろ新鮮さからはほど遠く、反骨的なロックな精神は、ありきたりな大衆の作り出す有象無象の一つに過ぎないようにも思える。それほどに近頃の映像作品は誰もが作れる身近な生活の一面でしかなくなっている。
その作品の素晴らしさを考える時は、その時代背景を知ることが欠かせない。簡単に作れるものより作るのが難しいものの方が苦労が忍ばれるだけ感動を誘う。結局のところ共感の問題だ。映画は監督の心象風景を具象化したものだし、スタッフは具体性を高める為のファクターで、つまりは沢山の人が強くそこに関わる程に曖昧な妄想に肉が付いていくという仕組みになっている。これは現実でも変わらない。
人は孤独でいると小さな世界に閉じ込められている状態で、客観性のないその世界は予想しやすく飽きやすい、慣れてしまえば現実は味の抜けたガムのようなもの。

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