カラス

あれやこれやを考えても
あれやれこれやれと言われても
あれもこれも出来なくて

なぜやる、の他人の問いも
やればできる、の他人の声も
搔き消してしまうくらいにシャウトしたい

なんのため?がつきまとい
本当の自分とやらに追いかけられ
結局楽しさが一番と
開き直るのもお手の物

何も考えず
何も期待せず
ただひたすら走っていた
がむしゃらだったあの頃にもどりたい

心の叫びに忠実に
その扉を開けてみたら
この梅雨のような鬱陶しさは晴れるのだろうか

窓越しから見る雨の雫
濡れるカラスを見て思う。

濡れて可哀想に。


可哀想なのはどっちなんだ?

目を合わせたカラスはそう言って羽ばたいていった。

窓を開けてカラスを追う
ベランダには屋根も柵もそこにあることを肌で感じる。

僕はまだ安全場所にいるのだった。



#小説
#書き物
#安全な場所も大事
#時には一歩出る勇気も大事
#そんな思い