カラス
あれやこれやを考えても
あれやれこれやれと言われても
あれもこれも出来なくて
なぜやる、の他人の問いも
やればできる、の他人の声も
搔き消してしまうくらいにシャウトしたい
なんのため?がつきまとい
本当の自分とやらに追いかけられ
結局楽しさが一番と
開き直るのもお手の物
何も考えず
何も期待せず
ただひたすら走っていた
がむしゃらだったあの頃にもどりたい
心の叫びに忠実に
その扉を開けてみたら
この梅雨のような鬱陶しさは晴れるのだろうか
*
窓越しから見る雨の雫
濡れるカラスを見て思う。
濡れて可哀想に。
可哀想なのはどっちなんだ?
目を合わせたカラスはそう言って羽ばたいていった。
窓を開けてカラスを追う
ベランダには屋根も柵もそこにあることを肌で感じる。
僕はまだ安全場所にいるのだった。