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ナミノート
照りつける日差しが、キラキラと波を輝かせ、私の背中にも暑い視線を注いでいる。
ビート板よりも何倍も大きな板に上半身だけを乗せて浮いている。
背中に注がれる視線が後々私を苦しめるなんてことをこの時は考えない。
押し寄せる波に揉まれて、その大きな板から落とされる。
まるで、お前は俺には勝てないと、笑われているように。
その大きな波を越えて、私も穏やかな沖に向かいたい。
キラキラ光る波の上、ゆっくりとそこで寝ていたい。
*
波を超えるにはどうしたらいいの?
下を潜ればいいのさ。
大きな波が来たら板を下へと向けて潜るのさ。
頭の上でポコポコと音がするはずだ。
その音が消える頃水面に上がると波は過ぎているよ。
そうか、下の潜るのか!
言われた通り波の来るタイミングで下へと潜る。
板とともに跳ね返され、波の渦へと巻き込まれる。
身体がどこを向いているのかさえ分からぬまま、板を手繰り寄せ水面へと這い上がる。
それでも、沖でくつろぐあの人を見ては波へと立ち向かわざるを得ない。
押しては返され、押しては返され、
そのうち、波の中にいることさえ窮屈にならなくなる。
何度挑んだのだろうか。
やっと、沖へとたどり着いた。
波のない、穏やかなこの場所。
ここで寝てしまいたい・・・。
その欲求とは裏腹に
あの波に揉まれたい自分もいる。
揺れる体、どんな抵抗も跳ね返す大きな力
私は無力なんだと教えてくれる。
やがて大きな波が来た。
足を動かし波に乗る。
必死にたどり着いた沖からこの岸までは
あっという間であった。
私はまた、荒波にもまれながら
無力な自分を愛していく。
*