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【19才のシルバーリング】第4話 〜19才のジンクス編~


『19歳の誕生日にシルバーリングもらうと幸せになるんだって!!!』

当時、19歳になる年だった私たちの間では

そんな話をよく耳にした。

性格上、隠し事をしない私は何でも翔に話した。

もちろんその話もしたんだよね。

私の誕生日の頃って、ちょうど学園祭のシーズン。

うちの学校も、定かじゃないけど

11月の1・2・3日って感じだったと思う。

ウチのクラスは女の子ばっかのクラスだったから

“なんちゃって女子高生”でフランクフルトを売ったの。

言うまでもなく男性客が多かったけど(笑)

みんな、自分の高校の制服を着てきてて

いろんなのがあって可愛かった。

私もセーラー服着たかったなぁ。

(セーラー服の高校受験落ちたから行けなかったんだもん。)

私はどうせ着るなら

すんごく可愛い制服が着たくて

制服の可愛い高校の友達に借りて

現役高校生の彼、翔と一緒に学祭に行ったんだ。

着いた瞬間

『じゅり、わかんなかった~!超かわいい!!!
  本物の高校生カップルが来たかと思ったよ!』

ってみんなにすごく言われたのを覚えてる(笑)

今思うとさ、

高校卒業して1年も経ってないんだから、

高校生と大して変わらないよね(笑)

友人たちは口々に

『翔くん、超~カッコイイ!!!』

と、いつも写真かプリクラで見ていた翔に会えて興奮していた。

『いや~お姉さんたちのがキレイっすよ!』

ノリの良い翔のまわりには
いつのまにか友達の山(笑)

『ちょっと、じゅり、翔くん借りてっていい!?』

『いいよ♪連れてってあげて。』

私が快諾したものだから、

『ちょっとぉ~、私にも貸してよ~!』

『私が先だってば!』

と、翔の取り合い(笑)

『こんなキレイなお姉さんたちに囲まれて、俺幸せッス!』

本当にコミュニケーション力高いなぁ。

『良かったネ!ちゃんとお姉さんたちの言うこと聞いていい子にするんだよ~(笑)』

と私が言うと

『ハーイ♪』

と素直に返事する翔。

『いってらっしゃ~い♪』

あっというまに翔を囲んで両手に花で

みんなでどこかへ行っちゃったけど
(私が当番の間ね)

嫉妬なんてしなかったのは、

翔が軽い男じゃないとわかっていたから。

どれだけかっこ良くても、

私しか愛してないのをわかっていたから。

その自信だけはあったから

不安になんてまったくならなかった。

しばらくして笑顔で戻って来た翔は、

まさかの、ネイルアートされてて(笑)

『楽しかった~♪』っていろんな報告をしてくれた。

楽しかったって言ってたから良かったって思った。

『みんな、いろいろ連れてってくれてありがとね!』

友人たちにお礼を伝えた。

『翔くん、超いい子だね!おもしろいし、かっこいいし!
  まじうらやましいんだけどー!!!』

『翔、キレイなお姉さんたちに遊んでもらってよかったネ♪』

と翔の方を向くと

『うん!みなさんありがとうございました!』

と、翔もみんなにお礼を言った。

私は打ち上げがあったから、

残らなきゃいけなかったから翔とは一緒に帰ることが出来ないからと

途中で抜けさせてもらって

街中で翔とデートしてから、翔を先に見送った。

翔はどこ行ってもやっぱり人気者だった。

私の男友達の中にも“翔ファン”がいたくらいだったし(笑)

ホント男女関係なくモテる人だった。

私の中で完全パーフェクトな彼はまさに自慢の彼氏だった。

2日は私の19歳の誕生日だった。

1日から東京デートをして、

2日にディズニーランドに連れてってくれる約束だった。

誕生日を彼氏と一緒に過ごすのが、

生まれて初めてだった私は

誕生日に一緒にいられることが何より幸せだった。

いろいろ遊んでたら宿泊先には23時半くらいについた。

『早くしないと日付変わっちゃう!』ってすごくあわてているから

私も一緒にあわてた(笑)

どちらが先に言い出したわけでも、

口に出して確認をとったわけでもなくて

真夜中の12時ピッタリにひとつになった。

基本お笑い系の彼だから、

いつでもそんな調子だったけれど

重なりながら『HAPPY BIRTHDAY♪』を歌ってくれた時は、

さすがに一緒に笑っちゃったけど(笑)

ハタから見たらアホかもしれないけど、

それが私たちにとっては最高の幸せだったから。

まわりがどう思うかなんて関係ないし。

ベッドの上で、ひたすら幸せを噛み締めていると

『まだ終わってないよ!』って

履いたデニムのポケットの中に手を入れて、私の手をとった。

『じゅりたん、誕生日おめでとう♪』

私の左手の薬指に指輪をはめてくれた。

『え…なにこれ…どうしたの??…え…なんで???』

ディズニー連れていってくれるのがお誕生日会だと思っていたし、

貧乏高校生がまさかプレゼントくれるなんて思っていなかったし

嬉しすぎて言葉にならなくて涙が溢れた。

『あらら、せっかくのお誕生日に泣いちゃダメじゃ〜ん!』

『ありがとう!ほんとにうれしい!
  今までもらったプレゼントの中で1番うれしいプレゼントだよ!』

高価なダイヤモンドなんかより、ずーっとずーっと輝いていた。

『でも、なんでわかったの!?サイズぴったりだよ!』

シンデレラのガラスの靴みたいにフィットしてた。

『前にじゅりに指輪貸してって言ったでしょ?ちょうどいいサイズがなくてさー!
  それ持ってって特注で作ってもらったんだ!』

そう言えば翔は少し前になぜだか

私の指輪を貸してって持っていって

自分の物持っていてくれるのは嬉しかったし

何の疑問も持たなかったんだよね、私。

私の指って、なかなか市販のピッタリのサイズがないの。

そんな予想もしてなかった出来事=サプライズに

ただただ感激で、しばらく涙がとまらなかった。

➖ 1 9 歳 の シ ル バ - リ ン グ ➖

それは確かに幸せになれる、ジンクスの通りだったね。

その瞬間、私は世界一の幸せ者だって思った。

次の日のお誕生日ディズニーランドは

言うまでもなく、めちゃくちゃ幸せだった♪

ヒョウ柄の服ペアルックで

一緒にはしゃぎまくって

あんなに楽しいディズニーはないってっくらい

心の底から楽しかった。

それからかな、

私の理想のタイプが

“ディズニーランドで一緒にはしゃいでくれる人”

になったのは。

翔ってば、アラジンに惚れちゃって(笑)

アラジンのマネしてアラジンの人と一緒に写真撮ってたし(笑)

どの写真にも

私の左の薬指には、

翔から贈られた最高のシルバーリングが光っていた。



#創作大賞2024 #恋愛小説部門

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