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【19才のシルバーリング】第2話 〜はじまり編〜


えへへって笑ってた彼が、そう、あの時のアコガレの彼だったの!

もうビックリも何も、同じ空間にいるのが夢みたいで

他に5人くらい同じ部屋にいたけど

その彼しか見てない自分がいた。。。

《この時間が止まればいいのに》

この日は練習したんだか、してないんだか覚えてナイ。

どうにもこうにも彼にくびったけだった。

その彼は翔っていう名前なのを知った。

翔は、私に

『じゅりサンって大吾と付き合ってたでしょ??』

と言った。

『うん、知ってたんだぁ・・・』

ガッカリしたように私が言うと、

『付き合ってた時からよく大吾とかいろんなヤツに話聞いてたから知ってたよ!』

と笑った。

なんかちょっと知られたくなかった。

➖っていうか、アコガレの彼がモトカレの親友だったなんて➖

だからすれ違う時に、親友の元カノの“じゅりサン”って知ってて
ニヤニヤしてたんだってその時に初めて気づいた。

話してると、翔は偶然その日か前日に別れて失恋したばかり。

私はというと、高3の冬に付き合った彼が東京へ進学して
人生初の遠距離恋愛に耐えられなくて別れたばかり。

その中にいた1人の友達にコッソリ

『1回だけでいいから、あの子と2人きりで遊びたい!!!』って頼んだら

『いいよ、俺に任せといて!』とニコニコしながら快諾してくれた。

帰りたくなかったけど、家に帰ると知らない番号から電話がかかってきた。

『俺だけどわかる?』

『え!翔君!?どうしたの!?』

まさかイキナリ電話が来るなんて思ってなかったから本当にびっくりした!

ドキドキしながら話したことを、今でも覚えてる。

あの土手ですれ違ってた時からずーっと憧れてたことを話した。

1度だけでいいから2人で会って欲しいということを伝えたら

買いかぶりすぎ~誰かと間違えてるんじゃないの?って笑ってたけど

『いいよ♪』

って意外なほどすんなりOKをもらえた。

ウソみたいだったし、夢じゃないか何度も何度も確認した(笑)

ドキドキしながら待ち合わせの場所に行った。

間違いなくあの時の彼が目の前にいる。

幸せだった。

彼はすっごく人懐こい性格で、イイ意味でバカになれる人で、
ふざけてばっかりいて、見てて飽きなかった。

ドキドキしてる私を横目に、隣でとびっきりの笑顔で無邪気に話しかけてくるし、

そんなことされたら完全に好きになっちゃうじゃんよ。

ってか、とっくに好きになってたし。

大好きだった。

2人だけで会えるなら、1度だけで良かったハズだったのに

人間って欲が出てくるんだね。

これで終わりたくはなかった。

ずっとずっと憧れてて夢みたいって話したら、

ほっぺにチュッてしてくれた。

もう、どうしたらいいかわかんなくなっちゃうよ!

固まって動けなくなった。

ホントにホントに夢でもなんでもいいから

出来ることならば時間を止めたかったよ。

私は、その時ずっと悩んでた恋愛の相談をなぜか彼に話したんだよね。

・遠距離になって別れた彼氏にヨリを戻したいってずっと言われて悩んでること。

・お互い好き同士だったのに、男友達を全部切らなきゃ付き合ってくれない人がいて、
 男友達切ること出来ないしどうしたらいいのかわからないこと。

・そんな時に翔と奇跡的な再会をしてしまって、気持ちが翔の方に向かっていること。

どうしたらいいのか、本気でわかんなくて、頭の中がゴチャゴチャしてた。

だから思ってることを、すべて素直に話してみた。

翔は私の話を黙ってずっと聞いていてくれた。

惜しみながらも帰りの時間が来て

帰りたくなかったけど帰路についた。

家に帰ると、また夜に電話くれた。

会えて夢みたいにうれしかったことや会いに来てくれてありがとうと伝えていると

『昼間の話なんだけどさー』

『昼間の話??』

突然言われたことが何を指しているのかわからず聞き返した。

『モトサヤするとか、男友達切るとか・・・』

ああ、その話か!とわかり、

『あー、ホントどうすればいいか答えが見つからないよ…』

と答えるや否や、

『・・・にしとけば?』

なんて言ったのか本当に聞こえなくて、

『え?聞こえなかったから、もう1回言って?』

すると翔はさっきより少し大きな声で

『だから~、俺にしとけば??』

ハッキリとそう言った。

『・・・・・・・・』

予想もしてなかった展開についていけるわけもなく

言葉が出てこなくなってしまった。

『聞いてる??』

翔の言葉に我にかえる。

『何言ってんの!?そうやってまたからかってるんでしょ〜!』

照れ隠しなのか、私から出た言葉はまさかの受取拒否。

本当はうれしかったのに、動揺しすぎて素直に聞けなかった自分がいた。

だって、本気にして冗談だったとしたらバカみたいじゃん。

フザケたりばかりだったし、本気なわけないと思ったし

初めて2人で会ってほっぺにチューしてくるくらいだから

軽い人なのかもしれないって思ったし

言い方にも真剣みがないし・・・

そしたら

『なんだよ、それ。そんな風に思ったんだったら、もういいよ、切るね。』

って、なんでかわからないけど怒り出して

ホントに電話を切っちゃった!!!

少しだけ落ち着いて考えてみたら、このままで良いわけないと思って

電話をかけ直してみた。

『さっきはゴメンね、本気で言ってくれたの?』

翔は少し拗ねていたような声で

『そうだよ、俺冗談っぽくしか言えないから!俺ってそんな信用ねーの!?』

と、まだ少し怒っているように感じた。

『・・・冗談かと思ったんだもん!!っていうか、本当に私でいいの!?』

『いいよ♪』

それでもまだ信じられない私は、

『なんで私なの!?会ったばかりなのに本当にいいの!?』

と確認した。

『何度も言わせんなよ~(笑)イヤなら無理して付き合わなくてもいいよ?』

これが彼の精一杯の勇気だったんだなって、今ならわかる。

『無理なんかしてないよーーー!!!嬉し過ぎて信じられないんだけど!!!』

なんでそうなったのかわからないし、

頭の中を整理できていなかった。

あとから聞いてわかった話なんだけど、

彼も一緒にいて、私のことを好きになってくれて

他の男に渡したくなかったんだって。

なかなか真剣な態度ができなくて

ついおちゃらけちゃうから、軽いとかすごく誤解を招くんだって。

のちのちに軽い男なんかじゃなかったのがわかるんだけど♪

それでもまだ現実味が湧かない私は、

ひたすらこの幸せな現実を確かめたくて

『私は翔の何??』

『俺の彼女♡』

こうして、私たちの恋愛は始まった。




#創作大賞2024 #恋愛小説部門

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