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【19才のシルバーリング】最終話 ~思いもよらぬ再会編~

それから月日も流れ、

私はというと、結婚しようとしていた彼と別れ

それから2年以上誰とも付き合わない期間もあって

やっと付き合えた名古屋の彼とも

付き合ってみたら違うと感じて別れたばかりだった。

合わないとわかっていても、

想い続けた期間が長かったせいか、

別れてどうしようもなくつらかった。

付き合う時に

『最後の女にしたいから。』

と言ってくれた彼の言葉もむなしく、

終わってしまった。

久々に人と付き合ったから、

久々に別れも経験して、

自分でも、こんなになっちゃうんだというくらい落ち込んでいた。

そんな時、いつも支えてくれたのは

家族だったり、

まわりの大事な友達だった。

別れて1週間も経たない週末に

そんな大事な仲間たちが

私を元気づけるためにって

“じゅりちゃんを励ます会”を開催してくれた。

まだ毎日泣いていたから、

仲間の前でももちろん泣いたよね。

別れてツライ、寂し泣き

みんなの愛情を感じた、嬉し泣き。

そんな仲間がいる幸せをかみしめながら

お酒をすすませていた時だった。

なんかいつもとは違う気配を感じた。

やっぱりなんかあるのかな?

感じちゃったんだよ!

近くに翔を感じた。

たしかに翔の声がしたの。

私、

とうとうおかしくなったのか?

辛さのあまり、壊れちゃったのか?

翔のことはとっくに吹っ切れてるでしょ?

次の瞬間、

斜め前のテーブルに目をやると

翔がいたんだ。

幻覚でもない・・・

幻聴でもない・・・

本物の翔がそこにいたんだ。

すぐ近くに翔が座っていた。

【なんでこんなとこにいるの!?】

日本に帰って来てたの!?

今まで、どんなに逢いたくても

どんなに夢に出て来て欲しくっても

1度だって逢えたことのない翔が

すぐ手の届く目の前で笑ってる。

夢じゃないって確かめたくって、

一緒に居た親友の莉紗にそのことを伝えた。

『ホントだ・・・』

2人で大興奮した!

夢じゃなかった。

気持ちは引きずってなかったけど、

あれだけ大好きな人だったんだから

嬉しくないわけがない!!!

私は素直に喜んだ。

話しかける勇気もなくて、

ただただ見てるだけだった。

翔はまだ、私に気づいていなかったから。

『じゅりちゃん、別れてツライんじゃなかったの?
 なんでそんな幸せそうな顔でニヤニヤしてるの??』

一緒にいた男友達には事情を説明してなかったから、

不思議そうな顔をされた。

事情を知ってる莉紗は1人で笑っていた。

気になって気になってチラチラ見た。

翔の笑顔を見ているのは幸せだった。

私はうわの空になりすぎていたようで、

当時の事情を知らない友達には

『じゅりちゃん、もう別れた男だろ?』

と理解不能な反応をされていたけど

私のこの気持ちなんて、

その場で説明したってしきれないくらいわからないと思ったから

『ごめん、今日だけは許して!』

としか言わなかった。

翔がトイレに立った時に、

今しかないと思って、

私もトイレの方に行って翔を急いで追いかけた。

というより、身体が先に動いていた。

『翔!!!』

『お~!じゅり~!』

そこには眩しいくらいの笑顔で、再会を喜んでくれた翔の姿があった。

あの日、最後に翔に会ってから

約4年ぶりの奇跡の再会だった。

最後、あんな風にもう2度と会わないと言われ

別れたから、

冷たくされるんじゃないかと心配だったけど、

私の大好きな翔の笑顔で話してくれた。

変わってなかった。

『なにやってんの~?』とか

『久しぶりだよね~!』とか

『じゅりちゃん、お肉ついたんじゃないの~?』

と言われたりもした(笑)

いろんなを話をした。

4年も会ってなかったのに

そんなブランクみじんも感じなかった。

全然緊張もしなかった。

わだかまりもなく、

本当にあの頃のように普通に仲良く話せた。

いろんな話を

『なつかしいね〜!』

と笑い合いながら

あんなこともあったよね

こんなこともあったよねって

付き合っていた頃の話までした。

北欧にいた時の話も聞かせてくれた。

翔は、私に語ってくれた夢の通りの仕事をしていた。

夢を本当に叶えていた翔をすごいなぁって尊敬した。

昔、夢を語ってくれた翔に

『なんで翔みたいな子がそんな地味なことをしたいの?もっと表舞台で輝ける人なのに!翔ならなんでも出来るよ!』

と言ったことがある。

『俺は、世の中を救うスーパーヒーローになりたいんだ!地球や人のためになることがしたいから!
  それってなんかすげ〜かっこ良くね?』

翔の瞳はキラキラしていた。

『ふ〜ん、なんかもったいないね!
   翔はもっと目立った仕事をすればいいのに!』

翔こそ花形の舞台に立てる人だと思う。

翔みたいないろんな才能持った人が、地味な仕事している。

今でこそ、派手だから地味だからで仕事を図ることはない。それは社会に出てから身に染みてわかったことでもある。

翔の仕事は地球環境保護に関わる大事なお仕事。

どんなに地味でも大切なお仕事。

派手だ、地味だ、なんて関係ない。

そういう仕事こそ大切なんだ。

翔はそういう人なんだ。

打算的でなく、まっすぐな

私は翔のそういうところに惹かれたんだ。

カッコイイのに、

カッコつけずに、

どんなにダサイことでも

カッコ悪いことでも

自分の信念を曲げないで

一生懸命取り組む翔だからこそ、

あんなに愛せたんだ。

翔は、たとえどんなに地味だとしても

自分の仕事に誇りを持ってる。

仕事は大変だけどすごく楽しいって幸せそうだった。

それは夢を叶えてるから。

私にも、

それが伝わってきて

嬉しかった。

翔は別れたばかりって言ってたから、

あたしと同じだねって言って、

一緒に笑った。

別れてあんなにくよくよしてたのに

翔に会ったら、超元気になれるんだもん。

翔のパワーってホントにすごいよ!

『最後に会った時、翔、私に超〜冷たくしてきたよね~(笑)』

と打ち明けてみたら

『だって、じゅりが結婚するとか言ってんだもん!』

『え!?』

意外過ぎる返って来た言葉に拍子抜けしてしまった。

『結婚するって言ってんのに、俺の事忘れられないとか言ってるからさ~!優しくしたら、ずっと忘れられなくなると思ったから冷たい態度とったんだぜ〜!俺だって冷たくしたくてしたわけじゃねーよ(笑)』

膝から崩れ落ちそうになった。

『え!?そうだったの!?!?結局その時の人と結婚しなかったんだよね~。』

『おい~、そうだったのかよ(笑)』

というやり取りをして

ふたりで

また笑った。

なんだ!

友達みんなが言ってたように

翔が私を冷たく突き放したのは、

あれは翔の優しさだったんだ。。。

ホッとした。

そうだよなぁ~、

私の愛した翔は

あんなに冷たい男なんかじゃないもんな~って

しみじみ思った。

やっと納得できた。

やっぱり翔は翔だ!

私の大好きな翔だ!

それは、

未練があるとか

過去に恋してるとか

そんなんじゃなくて

純粋にひとりの人として大好きな人なんだ。

それは、きっとこれからも変わらないだろう。

翔と巡り逢えて、

最愛の翔に

最高に愛し愛されて

大恋愛できた、

ただそれだけでも

私が

この時代に

この世に

私として

生まれてきた

意味があるんだ。

私として

生きた

意味があるんだ。

あなたと出逢えて、

あなたと大恋愛できたこと、

人を愛することの喜びをを教えてくれたあなたに

心からありがとう。

この先、2度と逢うことがなくても

おなじ空の下、

私はあなたの幸せを

ずっとずっと祈っています。

  Нарру END


#創作大賞2024 #恋愛小説部門

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