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【19才のシルバーリング】第6話 ~おなじ星編~

それから、そんな出来事を乗り越え

更に愛が深まった私たちは

どこに行くにも何をするにも一緒だった。

携帯電話を持たない派だった翔が、

やーっと私とまったく同じ(色もね)

おそろいの携帯を持ってくれた。

翔の友達と私の友達を交えて

一緒に遊んだりもした。

どちらかの家で一緒にご飯を食べたり、

翔の少し歳の離れた弟(翔よりカッコカワイイかも)に勉強を教えたり、

私の当時幼稚園児だった弟の面倒をみてもらったり、

外でも遊んだけどどちらかの家にいることも多くなった。

➖クリスマス➖

イヴも当日もモチロン一緒だったけど、翔を招いたの。

ママは翔のことが大好きだったから、

翔君も一緒にって言ってくれた。

何も知らなかったパパが帰って来た。

うちは、家族の誕生日やイベント事は

みんなで揃ってパーティーしてお祝いするのが習慣だったから、

両手にケーキの箱やら買い物袋いっぱい抱えて

早めに帰宅したパパは

翔が来ているのを知って、機嫌を損ねて外に出て行ってしまった。

大量のシャンメリーやケーキ、パーティーの食べ物を置いて。。。

翔は何かを悟ったように

『せっかくの家族の団らんなのに、俺がいたから。悪いから俺帰ります!』

って言った。

『まったく、ヤダね!翔君のせいじゃないんだから食べてって!』

とパパを怒った。

翔はずっと申し訳なさそうに、食べ終えたら早めに帰ると言った。

『翔君、せっかく来てくれたのに嫌な想いさせちゃってごめんね!』

『いやいや、ホントおじさんに申し訳ないです。なんか邪魔しちゃってすいませんでした。』

翔は母にも謝って家を後にした。

途中まで送る帰り道、

『なんだかホントごめんね!気分悪くしたでしょ?』

と私も謝った。

『おばさんはああやって言ってくれてたけど、俺はおじさんの気持ちがわかるから。
  ホントおじさんに悪かった。家族水入らずでクリスマスしたかったんだよ。
  あんなにいろいろ買い込んで楽しみにしてたろうに、嫌な気分にさせちゃって。
  だからじゅり、おじさんのコト責めるなよ、俺は平気だから!』

翔だって傷ついてたはず。。。

でもパパを悪く言うどころか

パパをかばってくれた。

翔はそういう人だった。

私にはパパのことわかってた。

私は一人娘(男の中に女の子一人)だから、

パパからの愛情はものすごいものだったから。

溺愛されてた。

だから私の相手が誰でも気に入らなかったんだ。

家族で毎年のようにパーティーしようと楽しみに家に帰って来たのに、

よりによって娘の彼氏がその中にいる。

最愛の妻も娘の彼氏の肩を持つし、

俺の居場所がないじゃないか!

おとなげないパパの態度が、

落ち着けば可哀相にも思えたけど、

その日の私は腹ワタが煮え繰り返るくらい頭にきた。

➖大事なクリスマスを台なしにされた➖

パパも同じかもしれないけど、悔しくて悔しくてたまんなかった。

『あんな態度してヒドイんじゃない?みんなで楽しくやればいいじゃん!!』

ママはパパの態度に怒ってくれたけど、パパは折れたりしなかった。

『あの日だって、翔君がずっとうちの子の面倒見てくれてたんだよ!』

そう言ったらやっと

『そうだったのか。悪いコトしたな。。』って言ってくれて、

次に翔に会ったら謝ってくれたり、やっと翔に心を開いてくれるようになってきた。

『あいつ、なかなかイイヤツだな!』

そんなことまで言うまでになってくれた。

まっすぐな翔のこと、ホントは好きな人間のタイプだし、

受け入れられないわけじゃなかったんだよね。

冬の熱海の花火を、

夏の熱海の花火よりも好きになったのは、

きっと初めて冬の熱海の花火を一緒に見たのが翔だったからだと思う。

夏の観光シーズンより、

あまり知られていない冬の花火の方が、

人は少ないから空いてるし

空気も澄んでるからめちゃくちゃキレイなんだ。

私は翔とだから、そんなにキレイに見えたって言い切れる。

一緒にブランケットにくるまって、

私は翔に包みこまれて、

ギュッてまわされた腕の隙間から見る花火が

最高にキレイだったし、

ぬくもりがあったかすぎたし、

最高な幸せのその時間が止まって欲しいと心から願った。

獅子座流星群は一緒に見れなかったけど、

もっともっとキレイなモノを
2人で一緒に見てこられたから、

もうそれで良かった。

映画だってそう。

それまで映画館で映画を観れなかった私が

翔とだけは観に行けた。

私はその時もずっと嫌がってたけど、

翔もなかなか引き下がらないから、

その執念に負けてやっと観に行ったのが

【タイタニック】と【アルマゲドン】

どちらもすごく良かった。

それは何度も言うけど、翔とだったから。

そんなある日、私たちにピッタリって感じた歌を見つけて

TSUTAYAで即買いした!

翔にそのことを話すと

『俺も、じゅりに聴かせたい歌見つけたんだ!!マジでいいぜ!』

『なに?なに?じゃあ、私の歌は次会う時に持っていくね!!!』

聴くまで内緒ねって、翔の部屋でCDをかけると・・・

『これこれこれ!!!俺が言ってた歌ってコレだよ!!!』

えっ!!!すごくない!?

この時また運命感じちゃったもん!

ふたりで感動して、

何回も何回も

壊れるんじゃないかっくらいリピートして聴いた。

自転車の2人乗りで歌う歌もこの歌ばかりになった。

『この歌、ふたりの歌にしようよ♪』

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動けなくなる...。
何度抱きしめ合っても
胸が"キュン"ってなるよ
"恋してる"とか
"好き"とかそんな気持ちじゃ
済まされないんだ

胸の奥で
ささやく声に
はげまされてここまで来たよ

星の数ほど
訪れる巡り逢いの中で
あなたが私を
たったひとり愛してくれたから
もう迷わない
くやしくて涙こらえる夜も
微笑む朝にも
やわらかいあなたの
声に抱かれてる

そう、この匂い...。
耳の後ろの匂い
昔から知っている
シーツの中で
会えない日の分まで
肌を 重ねて
私の瞳に
眠る光を
あなたが引き出してくれたよ

何があっても
この腕がちぎれそうになっても
離さない
守るわ
ずっとふたりで生きてゆこうね
たとえあなたが
女に生まれていたとしても
私の心は
必ずこの場所
たどりついてるわ

響いている...。
遠くても
あなたの声が

この東京で
交差点や駅のホームとか
あなたと私は
きっとすれ違ったりしていた
離れた空の
下で同じ時間 同じ星を
見上げて
タメ息もらしてたかもね
もう 離さないで

星の数ほど
訪れる巡り逢いの中で
気付けば
こんなに
いつも近くにあなたがいたよ

やっぱりそうね
くやしくて涙こらえた夜も
微笑む 朝にも
やわらかいあなたの
声に抱かれてた

引用:『おなじ星』 ~Jungle Smile~

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こうしてこれがふたりのテーマソングになったんだ。



#創作大賞2024 #恋愛小説部門

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