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セミが怖い

姫路に行った時のこと。姫路駅から姫路城に向かって歩いてると街路樹からシェイシェイシェイとセミの鳴き声が聴こえた。わたしが良く聴くのはミンミン。「関西はセミの種類も違うのね」と現実から離れての旅行感が更に大きくなった。

翌日は赤穂へ。大石神社には人がいっぱいいたのに赤穂城址は誰もいない。◯△の狭間を見て「可愛い」と思ったのも束の間、何故か殺気を感じた。「私は狙われてる」。

城址内は雑草が膝まで茂り特に何も無い。お城のスタンプを押そうと一歩入るとシェイシェイのセミの声が聴こえた。シェイシェイシェイシェネシェネシネシネシネ……。「死ね死ね死ね」私にはそう聴こえた。

私は浅野派では無く吉良派。それがバレたに違いない。スタンプを押してすぐに赤穂城址から逃げ出した。

『吉良版忠臣蔵』(森村誠一)を読んだ時に吉良上野介の言い分がよく分かった。戯曲になったが為に吉良さんは悪者になり、現代のドラマでほ吉良さんを嫌な爺に演じる俳優の上手かったこと。そもそも赤穂浪士の討ち入りだって敵討ちと言うより、寝込みを襲うなんて卑怯極まりないと思ってた。

赤穂のセミにすっかり嫌われたと思った数年前のシェイシェイは今年になって近所の公園でも聴こえるようになった。

セミが怖い、何度も言おうセミが怖い、うぉううぉうセミが怖い〜。

セミの声が聴こえなくなったら夏も終わり。時間が経つのが早すぎるのも怖い。



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