心の空洞
私は子供の頃、母親に「みったくない」と言われていた。
たぶん、みったくないと言うより、寝癖が付いたままだったり、食べカスが口に付いていたりと「みっともない」方だったと思うけど、母親には本当に「みったくない」と言われた。何度も。
子供の頃に母親に甘えた記憶が無くて、きっと記憶が無い小さい頃は甘えていたんだろうけど。
その甘えたかった「心の空洞」が今も埋められなくて、優しい人と出会うと埋めたくなるようで、重たい人になってしまう。
私は大人だし、ほぼシルバーに近い年齢になってしまったので、こんなおばぁさんに甘えられたらさぞ気持ち悪かろうと、気をつけて気をつけて空洞を埋めている。
同じ母親に育てられた姉は「自分がして欲しくてして貰えなかったことを、自分の子供にしてあげたい」と言って19才で結婚した。そして、2人の女の子の母になった。
子供たちが小学生の時「親の自分が言うのも何だけど、うちの子の見た目は可愛くはない。でも、親としては可愛くて堪らない」と言った。
姉の子供、私の姪は姉が言うほど「可愛くない」と言うより、2人に似て普通の子供に見えた。どこの子供も稀に凄く可愛い容姿をしていたり、かなり残念なこともあるけど、姉が自分の子供が社会的には「可愛くない」と思っていることに驚いた。
私が母親に可愛がられなくて甘えられなかったのは、私の容姿が「みったくない」からだと思っていた。でも、普通の親はそう思ってたとしても、自分の子供は「特別」で可愛いものらしい。
姉の2人の娘は両親と祖父母に可愛がられて存分に甘えて育って、今は「与える」立場にスムーズに移行した。
空洞が埋まらないと、私は歳を取るだけで大人になれない。
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