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騒音のじぃ

うちの家族の中で、一番まともそうに見えて一番ズレているのが妻の義父、つまり僕の実父(以下、じぃ)だ。

うちは二世帯住宅で、1階にじぃ、2階に僕ら家族が住んでいる。母は他界している。

人間を4つにカテゴライズするのは好きではないが、AB型だけは別だと思う。

父は思い切りAB型気質というか、天才肌なのである。

天才肌の人間というのは、できない人間の気持ちを理解できないばかりでなく、他人の気持ちを理解する機能が欠落しているのだと思う。

僕たち夫婦とひとつ屋根の下で生活し始めて、その事実を改めて認識した。

とある朝、妻が、体調が悪く熱と頭痛がひどいと申告してきた。
あまりにもグッタリしているので、僕は仕事に出る前にじぃに申し伝えておいた。
「妻ちゃんが体調悪くて、特に頭痛がひどいから今日はサックスを吹くのをやめてね。」
じぃは了承してくれた。

じぃは趣味でサックスを吹いている。
しかしその腕前はひどいもので、一日中工事現場で過ごす方がまだマシと思えるレベルなのである。
ピアノの先生をしている姉のお墨付きへっぽこサックスだ。
そもそもサックスを防音設備の無い自宅で吹くのもどうかと思うが。
例え一流のサックス奏者の演奏でも、興味のない者からしたらただの騒音だ。

で、その日は結局へっぽこサックスを吹くことは無かった。
しっかりと約束は守ってくれたわけだ。

そう、約束は守ったのだが…

僕が帰宅すると、妻からとんでもない事実を聞かされた。

妻「あのさぁ、サックスは吹かなかったんだよ、吹かなかったんだけど、玄関で日曜大工始めてトンカチの音がバチクソうるせーんだが!」

マジか…

どうやらトンカチの音が頭痛には相当響いたらしく、妻は怒りを通り越して既に"無“になっていた。

僕はさすがに怒りを覚え、じぃに抗議をしに行った。

僕「ヘイファザー!サックスを吹かないでくれって言ったのは、大きな音を立てないでくれってことだぜ。頭に響くからな。それでトンカチったぁ、さすがにヘソで茶が沸くぜ!」

じぃ「え、でもサックスは吹かなかったんだが…そういう意味だったのか?」

え?僕の説明不足だったの?w

いやいやふざけるんじゃあないぜ!

逆に、なぜサックスをやめろと言ったと思った?
サックス音のみ、頭痛に響くとでも?

【ご飯はダメって言ってたけどチャーハンならいいよね】
→いいわけあるかい!
なのである。

思い返してみると昔からこういう人だった。
盲点をつくというか法の抜け穴を探すというか、それでいて誰も幸せにならない結果をもたらしてくる。
あーいや自分はやりたいことやって幸せなのか。

じぃはいわゆるサイコパスというやつで、人の気持ちに疎い一面があるのだ。

側から見たらただの「嫁へのイジワル」にしか見えない。
しかし本人にそんな気は全く無いところが厄介なのだ。

相手に戦う意志が無い以上、こちらもファイティングポーズをとれない。

この自分勝手さやズルいところがAB型の特徴だと思う。

世の中のAB型には申し訳ないが、僕が出会ったAB型は総じて天然でズルかったから仕方ない。


そういえば、妻と長女もAB型だなぁ…

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