東京ゲーム音楽ショー2024の戦利品を聴く
4/13(土)に開催された東京ゲーム音楽ショー2024に参加してきた。
今まではTwitterで感想をショートに語るに留めていたけれど、noteを始めた事もあり、せっかくなので戦利品を聴いた感想をまとめておきたいと思う。
主催者も出展者も、購入者からのサントラの感想を求めているとの事なので。
<筆者の東京ゲーム音楽ショー(以降、TGMS)履歴>
・初参加は2016年、以降2024年まで毎年参加中
・マイベストTGMS:2017年
・マイベスト散財TGMS:2017年
・2024年のCD購入金額:過去3、4番目?の額
TGMS2024イベントの模様
TGMS2024のイベント内容についても可能な限り触れておこう。
当日は筆者の都合で滞在時間が短かったため、今年のイベントについて詳細を説明する事はできない。TGMSを知らない人向けに紹介すると、
・ゲーム音楽に特化した年1回開催の物販イベント
⇒ 一般流通に先駆けての先行発売などもあり
・殆どのブースでゲーム音楽の作曲者自らが販売している
⇒ ゲーム作曲者と直接コミュニケーションを取れる貴重な機会
・イベントを盛り上げるためのライブ/トークショー
⇒ ZUNTATAやゲーマデリックなど、メーカー由来のユニットによるショートライブを堪能できる年も
と言った感じ。似たようなイベントとしては「M3」になると思われる。あちらが同人販売を中心とした裾野と間口の広いイベントだとすると、TGMSはメーカーや商業ベースの実績がある出展者にウェイトを置いている。(TGMS/M3両方に出展するブースもある)
例年と比較して客の入りは大きく増減はしていないものの、2024年は出展ブースが少なかった点だけが気になった。2023年以前は2階にも物販スペースが設置されていたので。
今年は、Bステージ冒頭のHiro師匠とMCU氏がMCをつとめるトークショーを少しだけ堪能させてもらった。
Hiro師匠はSEGAのベテランコンポーザー。MCU氏はKICK THE CAN CREWのメンバーとしてあまりにも有名。
Hiro師匠は長年TGMSのトークショーステージを担当。2024年も数々のゲストコンポーザーを招き、軽妙なトーク術でゲストの過去・現在・未来を聞き出していた。MCU氏もコアなゲーマーとして知られており、今回新たにHiro氏とタッグを組んでトークセッションを盛り上げてくれた。
その後筆者は会場を離脱したのだが、今年一番の後悔は、ZUNTATAのライブステージでニンジャウォリアーズの名曲「Duddy Mulk」を、元TAITOのYack.氏がメタルブラックの名曲「Born to be free」を演奏していたこと。今年ほど自分が分身できないのを呪った事はない。
戦利品の感想
TGMS2024で筆者がゲットした戦利品を聴いた感想をまとめておく。なお、筆者は音楽に対する造詣は決して深くないので、悪しからず。
Hello World
去年の「パノラマのステージ」に続いてリリースされた、真尾まおのニューシングル。90年代のアーケードゲーム音楽を代表するレーベル、サイトロンを彷彿とさせるCDのデザインもニヤリとくる。これぞゲーム音楽CD!という雰囲気を見た目からも味わう事ができる。
曲は前作よりもテンポアップし、真尾まおがゲームで活躍していた90年代っぽいメロディライン。解放感のあるサビと間奏が心地よく、シングルとしての役割をしっかり果たしている。
カップリングの「つきのさかな2024」は対照的にスローテンポ。こちらも、90年代の懐メロ感があるしっとりとした曲調。
NMK ARCADE SOUND DIGITAL COLLECTION vol.1
NMKが手掛けたアーケードゲームの音楽を収録するアルバムシリーズ。vol.1は「作戦名(オペレーション)ラグナロク」「ガンネイル」のカップリング。
お目当ては作戦名ラグナロクで、並木學(※今年から名義が旧字体の學に変更)氏の曲を無性に聞きたくなり、シティコネクションブースで売ってたら買おうと心に決めていた一枚。
クラブミュージックのようなオシャレな曲が多く、単体で聴くとシューティングっぽくないイメージ。しかしゲームプレイ中は決して邪魔にはならず、NMKの高難易度シューティングのゲーム性とも波長が合っている。
もう一方のガンネイルは、ゲーム中残ライフ0の間はずっとアラーム音が鳴り続ける仕様のため、曲が耳に入って来ないというコンポーザー泣かせな作品だった。
サントラでしっかりと聴く機会が得られたのは嬉しいところ。雷龍でも知られる秀谷和則(HIDE-KAZ)氏のセンスが光る、主旋律がくっきり際立つ曲群を堪能させてもらった。
SGMFes.2024 SUCCESS 45th ANNIVERSARY MUSIC
3月に行われたサクセスのミュージックライブを収録したライブCD。WASi303氏の代表作『サイヴァリア』のメドレーを演ったとは。しかも名曲「Earth」と「Eta」が聴けていたとは…!
そんな筆者のようなリスナーに向けてライブCDをリリースしてくれたのは非常にありがたい。
サイヴァリアに加え、コットンにMETAL SAGAなど、サクセスの誇る一押しタイトルの名曲群がライブの空気感ごとパッケージされており気持ちが良い。次回のライブ(いつ?)への導線としても機能している一枚。
机上のC30ミュージアム Vol.2
ナムコ黎明期を支え、『ワルキューレ』シリーズの作曲で知られる川田宏行氏が手掛けるC30(ナムコの音源)をモチーフとしたオリジナルサントラ。
80年代にリリースされたナムコのアーケードゲームを象徴する、丸みと透明感のある音色が耳に心地良い。この音源を使用して新曲を手掛けるという川田氏のポリシーと遊び心が詰まっているミニアルバム。
どことなくワルキューレシリーズを思わせるフレーズも織り込まれており、ワルキューレ推しの筆者は思わずニンマリ。楽しいミニアルバムだった。
ヘラクレスの栄光 サウンドクロニクル
『ヘラクレスの栄光』シリーズのI~IV(+GB版)に加え、アレンジCD2枚を加えた6枚組大ボリュームのサントラ。
制約の多いファミコン時代の中でキャッチーなメロディラインが映えるI・IIの曲。スーパーファミコンになり、表現力の向上を作品ごとに感じられるIII・IVの曲。そして、III・IVの曲を中心にオーケストラアレンジした追想録。ヘラクレスの栄光シリーズの曲群をほぼ網羅した作品に仕上がっている。
ヘラクレスの栄光シリーズは作品ごとに複数のメンバーが共同で作曲するスタイルだったのは意外。それでも作品ごとの曲調の統一感は取れているところはプロの仕事だと感じた。個人的には最近無性に聴きたくなっていた「II」のサントラをじっくり聴くことができて大満足。
ラジルギでごじゃる! オリジナルサウンドトラック
マイルストーン ⇒ クロン ⇒ RS34と渡り歩いているシューティングIPの一つ『ラジルギ』。そんなラジルギが3DSのDL専売で手軽に遊べるようになったシリーズ作『ラジルギでごじゃる!』のサントラ。
マイルストーンのシューティング曲を手掛けるユニット「k.h.d.n.」によるオシャレな曲群は本作も健在。筆者の印象では、リズム隊の音が際立っていて、メインメロディはしっとりしている曲が多いイメージ。本作はメロディが比較的前に出ており、マイルストーンシューティングの中でも楽しげな印象。
同社の『カラス』シリーズにあるような狂気を含んだフレーズは控えめで、全体的に聴きやすかった。マイルシュー(k.h.d.n.)のサントラ入門として聴くのにも良いのではないかと思う。
WiZmans World Re;Try SPECIAL SAMPLE CD
TGMS2024のシティコネクションブースでCD購入者にオマケで付いてくるCD。こういう気の利いた事をしてくれるブースもあるからこのイベントは止めらんない。
『ワイズマンズ ワールド』はDSでリリースされたジャレコのRPGで、筆者は全く存在を知らなかったのだが、シティコネクションでリメイクされる際にWASi303氏が原作を激賞していたこと、RPG部分の開発が世界樹の迷宮シリーズのプログラムを手掛けたランカースであることもあり、俄然興味が湧いてきた。曲の印象が良かった事もあり、俄然購入欲がふつふつと湧いてきているところ。
おまけCDなので3曲のみ収録。これだけで作品全体の評価はさすがにできない状況。3曲の印象はどれも悪くないので、ゲームと合わせてどう印象が変わるか興味をそそられる一枚だった。販促グッズとしても機能していると思う。
おわりに
イベントレポートと戦利品の感想は以上。ゲーム音楽に興味がある人なら是非とも一度足を運んで欲しいイベント。買いたいCDが見つかるかどうかという事よりも、ゲーム音楽に並々ならぬ興味を持つ同士たちが沢山いるのだという実感が得られる貴重な機会である。財布の紐が緩くなる事だけご注意。
ゲーム音楽をテーマに据えた記事は今回が初。次回も音楽に触れるか、選評に戻るか考え中。
次回もよろしくお願いします。
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