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なぜ「障がい福祉」という「仕事」を続けているのか ③

「第3章 性欲は障がい児にもある」

(注:今回は性について真面目に書いていますが、内容を不快に思われる方もおられるかもしれません。途中不快になられた方は、読むのをお止めください。)

【 当たり前を受け入れるのは、当たり前じゃない 】

「食欲、睡眠欲、性欲」人間の欲求。
どれも何かを考えて要求してる訳じゃない。考えようが考えまいが、身体が、いや、脳が?自然の摂理で欲している。
なぜかタブー視される「性欲」。
なんで?当たり前じゃん?個人差はあれど、ある年になってくれば基本あるでしょ。

けれど、やはり「我が子の性」を目の当たりにするのはショックなのだろう。私が小学生から支援していたCさん(男性)が高校生になり、性をだすようになった。中学生から知っていて高校生で妊娠したDさん(女性)。どちらの母も自分が子どもを産んだように、「性欲」があるとは思わず、ショックをうけ、到底受け入れられていなかった。

【 性欲を隠そうとすると課題がうまれる 】

まず、Cさんのお話。
中学3年生くらいになると、陰部を触り下着から出すようになった。射精ももちろんする。母は速攻で私やヘルパーさんに連絡をしてきた。日頃からこまめに会いに言っていたので、母の話を聞きに訪問。

訪問すると、まるでおもちゃかのように陰部を触っていた。私は「そういう年齢になったんだなぁ。」なんて思っているそばから、「○○!やめなさい!」怒号がとんだ。

同居している祖母の方は「男になったんじゃ」で終わり。

そう、重度心身障がいである彼も「精神年齢は子ども」でも、「成長(身体)年齢は年相応」な訳です。ばぁば(当時の呼び名)の言う通り。もしかしたら、孫だから受け入れ易かったのかもしれません。

ただ、性欲は障がいや病気等があるない関係なく、誰にでもあるもの。当事者になるといきなりなくなる?そんな訳ない。

が、受け入れられない母。
「性欲自体を否定しても解決しない。思春期の男の子と同じですよ?彼の部屋が必要になってきたのでは?」と言ってみた。
が、母はやめさせたいし、許容するばぁばにご立腹。


あなたは我が子に「性」について、いつ誰がどのように伝えようと考えてますか?

私にも子どもは居ます。
いきなりこんな質問とんできたら、詰まるかもしれません。が、私は小学校高学年か、おそくとも中学生の間には話をします。映像や物を使うかはわかりませんが、必ず男女両方の性と、避妊などについてしっかりと。

決して学校の文句を言っている訳ではないのですが、学校が全てを教えてくれる。というのは難しいと思います。

ならば、子どもが心身共に傷付かないために、親や保護者、それに価する人など周囲の人からの性教育が必要なのではないでしょうか?

母に「やめさせようとすると、外など母が見てない所で発散しようとするかもしれせんよ?」、つまり、痴漢ととられる可能性がありますよ、と伝えた。
母は知らなかったようだが、ばぁばは知ってた。母に見つかれば怒られることがわかった彼は、日々祖母の部屋にいき、祖母の前で行為をしてた。

それを知った母は大激怒「なぜ止めさせない」と。
でも、徐々に「仕方ない」となり、彼の部屋は元々あったので、「下着を脱ぐとき、○○を触るときは自分の部屋に行きます」を家族も支援者も言い続けました。外でのサービス時はゴムのズボンではなく、ヒモで結ぶズボンにするなどの工夫もしました。

すると、人前で下着を脱ぐことなどはなくなりました。しかし、私が彼を支援していたのは高校2年生まで。女性との距離感や接し方、重心の彼にどう伝えていくか、どうやって性欲の発散をしていくか、そこまで一緒に考えられなかったことが、今でも心残りです。

今も障がい分野の福祉職員ですが、こういう課題は今も目の当たりにすることが多いです。

もっと、「性」についてざっくばらんに、当たり前のこととして話せるようにしたいなぁ‥
なんて日々考えています。

【 連絡がきたのは産まれる2ヶ月前 】

さて、続いてDさん。
中学生の頃から彼氏がいること、性行為をしていることも知っていました。当時は支援についていたわけではなく、私の施設のサロンに遊びに来ていて、そんな話を聞いていたのです。そして、彼女の場合は母が性にルーズ。それを見たり、母の行為中車で待たされたり。そら、母の真似しますよね。

これは早いこと性教育を誰かがせねばなぁ‥
なんて思ってました。

それが私の失敗、至らなかったことでした。もっと早く「誰か」ではなく「私が」していればよかった。

彼女が高校卒業半年前頃、市の保健師さんから連絡があった。
「Dさんが妊娠している。学校などで話し合った結果産むことになっている。予定日は2ヶ月後、サービスの用意をしてください。」

あぁ、、と思いました。
と同時に、産むと決めた時になぜその話し合いに私を呼んでくれず、手続きだけしかも2ヶ月前に連絡?とも思いましたね。

彼女の場合はサービスが使える準備に約3ヶ月かかります。特に病院にかかってないこと、使うための材料がまだまったくそろってないこと、諸々で早く見積もって3ヶ月です。保健師さん、、知ってるよね?(←文句じゃないよ)

お相手の保護者は産むのに反対している。お互い母子家庭。父に当たる子も障がいがある高校生。その子の母も障がいがある。

もちろん、宿った命は大切です。
けれど、適切な環境(どちらもごみ屋敷&猫屋敷)で育てられない上で、どんなシミュレーションしたの?何個も何個もした?

でも猶予はない。
ではどうしたか。

民生委員さん、相手の相談員さん、私、などでゴミを片付け、DIYをしてリフォーム、赤ちゃんを迎え入れる準備をしました。網戸も作りました。人生初ですよ、木枠から網戸つくったの。

ある人は子どもは児童相談所に引き取ってもらう、母子寮に入った方が、、なんて意見もありました。しかし、必死に協力してくれた方々は私の「蜘蛛の糸でも繋がっているなら、引き離したくない。」という意見に賛同し、協力してくれました。

ただ、これは私のエゴだったのかもしれません。でも、答えがわかるのは、赤ちゃんがもの心ついてからかな‥

と、何とか出産までに家の準備は間に合い、産後はサービスも利用者しながら子育てを。でも身体は年相応でも、小学生が子どもを育てるのと同じ。やはり引き続き繰り返し繰り返し、育児の指導を私を含め毎日(土日祝含め)誰かが日中訪問して指導しました。

色々ありつつ、子どもを保育園に預け、彼女は福祉就労。しかし、やはり次の課題が。

【 2度目の妊娠 】

お子さんの父とは籍を入れず生活していましたが、職場で彼氏ができたと聞いていました。そして、ある日確認していると「生理が少しおくれているかも?」というので、簡易検査薬を一緒に買いに行きました。結果は「陽性」。

彼と二人で私に会いにきて欲しいと彼女に言いました。彼女は次の日彼と私に会いにきました。

まず二人の意見を聞くと「産みたい(産んで欲しい)けど、1人だけでもしんどい、生活できないと思う。」でした。彼女の母もお呼びしました。

悲しいことですが、結論は堕胎することとなりました。

後日彼女の母がとある病院を予約してきました。急性期病院でした。すごい金額です。払えるのか?と思い訪ねると「他に病院を知らないから」。払える金額を聞き、産婦人科に連絡しまくりました。やっとこさ見つけ、一度診察に言って納得できるか確認し、彼女はその病院で堕胎手術を受けました。

私を鬼と思いますか?

産むなとは言ってません。
ただ、産んだらとも言ってません。

決めるのは彼女たちなのです。
そして、傷つくのも彼女たち。
そして、私は病院をさがした。

彼女たちは、その後もお付き合いをしていくとのことで、私は避妊のことなど彼女の母も交えてはなしをしました。

ただ、彼女たちについても、支援から外れたのでその後はわかりません。

望んだときに、育てられる環境で子どもを宿して欲しい。切に願っています。

さて、今回は私の至らない部分「性」について書かせていただきました。
個人情報保護のため、フェイクの部分もありますが、障がい分野の「性」、いや、いまの子どもたちは発達も知識も早い。障がいに関係なく、しっかり性教育や体験の場が必要なのかもしれません。

すみません、、ここは私もまだまだなので、今後も学んでいきたいと思います。

みなさんも、大切な子や大切な人を守るため、今一度性教育について考えてみてください。

そして、もっと「当たり前の話題」として、性の話ができたら言いなと思っています。

久々の投稿の上随分長くなりましたが、お読みいただきました方ありがとうございました。
「性」についてはまた書くかもしれませんが、今日はここまで。

では、また次回。

さて、どう生きよう。

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