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コテージへの道のり

建物が好きです。建物といっても、私の愛は主に古い建物に向かいます。札幌には古民家と言えるほど古い家はないのですが、それでも木造の風情ある家屋が所々に残っています。時折それらをチェックしては、「ああ、ここも壊されてしまった…」と嘆き悲しむこと幾たび…これは現在進行形のことです。

古いアパートの一室で営まれているパン屋さんに足を運び、うっかりその隣の部屋にカフェを開いたのは南仏から帰った後でした。そのアパートが放つオーラが気に入ってしまったのです。隣の空室を借りてくれる人を探している、というオーナーに、鼻息も荒く「その空室で民泊をしたい。」と持ちかけました。周辺が閑静な住宅街であることなどから断念したのですが、すでに私はこの建物が手放し難くなっていました。結局やったこともないのに、カフェ稼業に手を染めることになりました。(この話もアホすぎてうけるので、またの機会にゆっくり書くかもしれません)

古いアパートの一室をカフェにした


壁面を書棚にしてもらった

気心の合う内装業者に出会い、建物を改装していく過程は今思い出してもワクワクする経験でした。床が腐り、梁には蜂が巣を作っていたボロアパートが、見違えるように素敵なカフェに生まれ変わりました。

しかし結論として、経営などしたこともない、ど素人の私にカフェの運営は無理でした。致命的だったのは、全くお菓子作りやコーヒーに興味が持てなかったこと。今月も赤字かー、私なにやってんのかなーといつも思っていました。(ホントに何やってんだか)

そんな中でも、私は家人とともにニセコの土地探しに余念がありませんでした。リタイア後は、羊蹄山の見えるところでゆっくり暮らすという夢は健在でしたから。

ある時ニセコの広大な土地が格安で売られているのを目にし、ニセコの不動産屋さんに見せてもらうことにしました。しかしその土地は、「水道もひかれていないし、崖のように落ちている土地だし、住むには難しい。」とのことです。(安いには理由がある)「ここより、ずっと良い土地があるよ」と連れて行かれたところは、T字路に突き当たった角地で人の背丈ほどもある草がぼうぼうと生えていました。ここが今のcoboushiが建つ場所です。

土地の購入を決めた後は、カフェをやりつつ建築士を探しプランを立てる作業が始まりました。

ある日、カフェがテレビの取材を受けました。放映日は二月某日。テレビに出た後は行列ができるほど混むというので、放映の次の日、カフェの女の子と大量の仕込みを済ませ、万全の構えでお客を待ちました。しかし、その日はコロナという得体の知れないウィルスに対応すべく、北海道知事が初めて「緊急事態宣言」を出した日だったのです。そんな日にカフェに来る酔狂な人は、ほとんどいませんでした…。

「これはカフェは辞めろという神のお告げだな。」
カフェ経営が重荷になっていた私には、またとない言い訳が降ってきたようなものです。こうして、カフェをクローズした私は、ニセコの別荘作りに一直線に邁進して行くのでした。

余談ですが、今でもこの建物は私の英語教室として使っております。

coboushi


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