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もやもやする話①

現在のマンションに引っ越してきた頃の話。
娘の誕生日に自転車を買った。
アルミフレーム、アルミリム、クランクもハンドルもアルミ製で重量は約15Kgと非常に軽くデザイン的にも女の子用の自転車だ。
三段変速でライトは自動点灯、発電機が作動しても重くならないタイプで、当時のお値段は¥56,000だった。

中学の3年間、十分使用できると思っていた。
まもなくして5月の連休に入った時、マンションの指定の置き場から自転車が無くなっていることに娘が気付いた。マンションの自転車置き場は地下にあり、そこはマンションの玄関の鍵を持っている住人しか入れない。また出入り口も外部からはそれとは分からない構造になっている。そこから一体誰が持ち出したのか。

考えられるのは2通り。
①    マンションの住人が持ち出した。
②    外部の人間が住人の後ろに付いて、住人のふりをしてマンション内に入り込み盗み出した。

自転車に鍵をかけていなかった娘が馬鹿だと言ってしまえばそれまでだが、実際マンションの地下室に置いてある自転車に鍵をかけている人は少なかった。

娘の自転車は地下室出入り口から一番遠い奥の場所に契約しており、明らかに物色されたうえで狙われたとしか思えない。

ということで、マンション理事会に防犯カメラの記録映像確認許可を取り、理事会メンバー同席の下で調査することになった。

記録映像は1週間で上書きされていくが、娘が最後に自転車を使用してから6日後に無くなっていることに気付いたので、持ち出された映像は残っているはず。
とはいえ、3倍速で見ても1日分の再生に8時間かかる。理事会役員は交代で同席するはずだったが実際はそんなのには付き合っていられず、早々にマンション管理人と二人だけの調査になった。

結局この年のGW休暇は防犯ビデオの確認だけで終わってしまったが、それよりももっと残念な結果が待ち受けているとはこの時はまだ全く想像もしていなかった。

調査4日目に入ってやっと娘の自転車を持ち出した人物が特定できた。
やはり犯人はマンションの住人(子供)だった。
持ち出していく姿がしっかり残されていたが、帰宅時には何も持っていなかった(徒歩)。
どこかに放置したまま帰宅?
その後、残りの映像も調査したが結局自転車を持ち帰ってくることは無かった。

自転車は防犯登録しているので、警察に連絡し事情を話すと警察官一人がやってきた。地下自転車置き場の現場検証に2時間も付き合わされた(地下室の図面作成って必要?・・・・)。
その後、最寄りの交番へ出向き、防犯登録番号を伝え、どこかで自転車が見つかった場合の連絡先とかいろいろ書類に書かされたのだが、自転車がマンション内の地下室置き場から無くなっており、持ち出した人物も特定出来ているので、持ち出した子供の保護者に警察から話を通してもらおうと思った。もちろん現物(ほぼ新品)がすぐに戻ってこなかったら弁償してもらうつもりだった。

その時の警察(現場に来た警察官の上司っぽい人)から放たれた言葉に呆然となった。

①    未成年なので刑事事件にはならない(警察は介入しない)
②    持ち出しているが、持ち帰ってくるつもりだったかもしれない(盗んだとは言えない)
③    持ち出した先で別の誰かが持ち去り、持って帰れなかった可能性もあり
④    持ち出した先で、別の誰かが持ち去った場合、持ち去った人は落とし物を拾ったという扱いになるため、そのまま別の場所で乗り捨てた場合、盗んだことにならない(落とし物を別の場所に移動しただけ)。

結論としては、
「法的には娘さんが自転車を紛失しただけという扱いになります。持ち出した子供の保護者も全く無関係というわけではないので、どうしても我慢できないなら自分で交渉してください。迷惑料として1万円程度でも払ってもらえたら良い方じゃないでしょうか。」

はぁ?

盗まれた方が盗んだ相手に頭を下げに行って、少しでもいいから返していただけないかと頼みに行けと?
しつこく弁償を要求すると恐喝になる(鍵をかけなかったという自分の落ち度で紛失したのだから、赤の他人には何も要求できない)という解釈らしい。
日本の法律ってことごとく加害者保護のためにあるんだなぁと思い知らされた。

その後、マンション理事会から「理事会に無断で防犯ビデを閲覧し、住人のプライバシーを侵害した」として警告文書が出された。

理事会に事情を話し、役員同席(すぐにいなくなってしまったが)の下で調査を始めたので、警告されるのはおかしいと反論したが、「刑事事件ではないから役員が同席する義務はない、役員がいなくなってからも閲覧を続けたのはプライバシー侵害にあたる」というわけだ。

と、理事会とどうでもいいようなやり取りをしているうちに、再び地下自転車置き場から小型の自転車が無くなってしまった。

「マンション建物内であっても自転車には鍵をかけましょう」というチラシが全戸に配られ、マンション内のあちこちに施錠を促すポスターが貼りだされた、というオチ。

結局、娘の自転車は半年後に見つかって戻ってきた。隣町の私鉄の駅前に半年あまり雨ざらしで放置されており、もう乗れるような状態ではなかった。
せっかくの誕生日プレゼント、殆ど使うこともなく廃棄になってしまったが、いい勉強になっただろう・・・
と言いたいところだが、GWが来るたびに、もやもやが芽を出す。


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