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【転スラ】21巻の展開予想+各キャラ深堀り

ネタバレ注意

この動画は『転スラ』Web版最終話・書籍版20巻までの致命的なネタバレ及び投稿主の意見や考察が多分に含まれます。未読の方や考察などが苦手な方はブラウザバックを推奨します

また本記事では天魔大戦の両陣営を便宜上、天軍・魔軍と称し、書籍21巻迷宮侵蝕編の展開考察と各キャラについての掘り下げを行っていきます。

書籍21巻の展開考察

物語のラストスパートとなる天魔大戦編。
これまでもイングラシア王都、旧ユーラザニア跡地、魔道王朝サリオンと、戦場を変えながら続いている大戦ですが、20巻終了時点で続いている戦場は、ルベリオス防衛戦に加え、リムル消失前に始まったと思われる魔国連邦の迷宮戦と詳細不明のギィとヴェルザードの戦いの3つが考えられます。

Web版との対照

これら3つの戦いについて考える前に、書籍版でまだ回収されていないWeb版の話をまとめていきます。Web版の天魔大戦編全64話の内、およそ34話分の内容がすでに大幅に加筆修正された形で書籍版の中で回収されています。そして表の赤字のものが今後回収される可能性がある話と考え、これらの情報から21巻の展開を予想していきたいと思います。

新旧項目対照表

21巻の展開考察

最近の書籍の構成にはこのようなテンプレが見られます。

序章:敵サイドのキャラの話
一章:前巻からの戦いの続き
二章:リラックス会話タイム
三章:次の戦いの発生と発展
四章:クライマックス
終章:意味深な終わり

特に18巻から20巻で顕著に見られるこのテンプレと、先ほどまとめた、書籍でまだ未回収のWeb版の話から、21巻はこんな感じの構成になると予想してみます。

序章:ゼラヌスの現在
一章:北の地(?)にて
二章:リムル消失の反応
三章:ルベリオス防衛戦
四章:迷宮への侵蝕
終章:イヴァラージェ

自信はないですが、ざっくり根拠を述べていった後、
この展開予想に沿って各キャラの深堀りをしていきます。

まず序章「敵サイドのキャラの話」ということで、以前からゼラヌスが活躍すると言われている21巻では、現在所在不明のゼラヌスについて描かれると予想します。第2候補でヴェルザードも考えられると思いますが、

第一章「前巻からの戦いの続き」で登場すると思います。
現時点ではその様子は詳細不明とされていますが、まず間違いなく世界のどこかで戦っていると考えられ、その場所もやはり北の大地と考えて問題ないと思います。正直ここの戦いは、さらに次の22巻かとも考えましたが、彼女の使う『時間停止』は、他の戦場にも影響を及ぼします。特に、ダグリュールが時を止める理由がなくなった今、“停止世界”で活躍すると思われるシオンのためにも、彼女が時を止めるまでの流れの描写は必要だと考えます。

第二章「リラックス会話タイム」
リムル消失に対する配下の反応と侵攻してきた敵への対応、主に迷宮内での話、というのが二章になると予想します。一章との時系列上の齟齬も最小限に抑えられると思います。

第三章「次の戦いの発生と発展」
ヴェルドラ介入から決着までのルベリオス防衛戦。シオンの覚醒やジャヒルの介入、悪神の復活など、これまでの伏線を回収する展開が多く見られると思います。

そして第四章「クライマックス」
やはり第一章の続きとなる迷宮侵蝕パートになると思います。Web版と似通ったメンツですが、ゼラヌスが途中参加し、Web版と同様リムルが帰還する流れになると予想します。

最後に終章「意味深な終わり」ということで、いよいよイヴァラージェが動き始めるのではないかと思います。次巻は最終巻と言われていますし、最終決戦に参加するためにもこのあたりで大きな動きを見せてくれるのではないでしょうか。

各キャラの掘り下げ

もちろん20巻のサリオンでの戦いのように、Web版にない場所での戦いが盛り込まれる可能性もありますが、この動画ではこの予想に沿って各キャラの深堀りをしていきます。

一章:北の地(?)にて

序章のゼラヌスは後で触れるとして、まず第一章の予想、ヴェルザードとギィについて。

ヴェルザード

20巻で圧倒的な覇気を見せた“白氷竜”ヴェルザード。

まさに鎧袖一触、表紙の竜形態すら見せなかった彼女ですが、Web版の流れをかなり踏襲している20巻を読む限り、彼女が『嫉妬之王』の所有者と見るのが安牌な気はします。そして『忍耐之王』と統合して権能を進化させるためには、現在消失中のリムル(シエル)が帰還する必要があるため、念願のギィとの本気の勝負は巻を跨いで前後半に分けられ、その前半が21巻一章に、後半は22巻になると予想します。

またこの戦いですが、彼女ら二名のみになるとは考えにくく、この場で確実にギィを消したいと考えそうなフェルドウェイと支配されながら暴走しているミリムの乱入も予想してみます。となるとヴェルグリンドも参加しないとバランスが悪くなり…大怪獣バトルの様相を呈していくことになってしまいますね。

“白氷竜”が司る『停止』と究極能力の『固定』の相性は、“灼熱竜”が司る『加速』と『支援』と同様に非常によく、彼女に象徴される冷気系の攻撃はその権能の副次的な効果、つまりその本質を彼女は未だ見せていないと言えます。作中ではリムルが不気味と感じていた彼女の真の実力が、いよいよ描かれるのではないでしょうか。

ギィ・クリムゾン

そんなヴェルザードに対する“暗黒皇帝”ギィ・クリムゾン。

Web版で三大能力の1つとされた彼の『傲慢之王』ですが、ミリムの『憤怒之王』がWeb版同様『魔素増殖炉』なため、『傲慢之王』もまた他者の権能の再現と考えていいと思います。そのため、12巻で彼が使用して見せた“時を止める能力”は、ヴェルザードの『忍耐之王』を再現して使用したと考えられ、ルドラの権能の再現なども期待できるのではないでしょうか。

また彼の武器について、ミリムに譲った神話級:天魔ですが、書籍ではヴェルダナーヴァ製の神話級最上級とされています。Web版では代用として“星の核”という最硬度の物質を鍛えた“世界”という虹色の光を放つ最強の魔剣を使用しています。“星”と言えば、20巻ではギィがこのような発言をしました。

「この星は創造主の力で創造されたため砕ける事はない」

書籍20巻 P179

仮に今後“星の核”が書籍で登場するとなれば、その性質はこの力の影響を受けたものになると予想してみます。究極の金属とはまた別由来の不壊属性、とも言えると思います。

フェルドウェイ

見事リムルを“時空の果て”に飛ばして見せたフェルドウェイ。

彼の使った“時空超激震覇”は、Web版でラスボスのユウキが最終決戦でリムルを追い込んだ、作中最強格の技と言えます。

これがどういう意味を持つのか。

彼こそがユウキに代わる書籍のラスボスだということなのか?
最終決戦前に使用した彼はユウキ以上のラスボスとなるのか?

私は逆の意味を持つと思います。

まずユウキの要素を与えられたのは、彼だけではありません。ゼラヌスが操る暗黒物質はかつてヴェルダが使用したものです。このことからWeb版のラスボスの要素を分け与えられたのが、書籍オリジナルのフェルドウェイとゼラヌスという存在であり、彼らは書籍版がWeb版を超えるために最終決戦前に置かれた引き立て役である、そう捉えることも出来ると思います。

確かにフェルドウェイは強者ですが、彼が強者であるほどに20巻で明言された“この先の未曾有の危機”が大きくなる。その危機がなんなのかは、動画の最後の方で考えていきます。

ミリム・ナーヴァ

「覚醒」したフェルドウェイに対し「暴走」するミリム。

やはり転スラの一番の魅力はその美しい対比にあると思います。天使系最強の『正義之王』と、それと対になる『憤怒之王』。創造主が最初に創った使徒と、最後に生んだ一人娘。20巻のカラーイラストはそのすべてが詰まった最高の一枚だと思います。そして本編では、二名は支配関係にあるのもまた皮肉ですね。

20巻では創造主の力の大半を受け継いだと言われたミリム。
この受け継いだ力とは、『憤怒之王』以外を指すのではないか、というWeb版の逆張り考察を以前したことがあります。悪魔系は本人の欲望により後天的に宿ると考えられるからです。

では具体的に、受け継いだ力とは何なのか。
今は明確な答えは持ち得ませんが、色々考察できると思います。

例えば、現存する竜種は究極能力の他に自身の属性を持ちます。
『停止』『加速』『暴風・破壊・腐食・滅び』
では“星王竜”ヴェルダナーヴァは何を司っていたのか。それが星粒子という物質を操作する能力かもしれません。またリムルは“地”属性ではないかと推測していました。

とりあえずで“竜種”の属性について考えてみましたが、他にも彼女の今後の活躍と共に色々考察できると思います。みなさんはどう考えますか?

ヴェルグリンド

20巻四章で少しだけ登場した“灼熱竜”ヴェルグリンド。

その後はまったく描写がなくなり、詳細は不明のままです。同じく詳細不明のギィとヴェルザードの方が危険と考え、途中からそっちに向かったとすると筋は通るかなと思います。

帝国編から登場し、権能も詳細に描かれている彼女ですが、未だに『星護結界』という新技を見せるなど、底を見せない、または見えないほどに成長し続ける彼女に今後も期待です。特にミカエルとベニマルが模倣して使用した加速励起のオリジナルである彼女の“本物”に期待したいところです。

二章:リムル消失の反応

続いて第二章の予想、リムル消失への反応について

現在迷宮内で迎撃行動が取れる守護王は、十二名の内ディアブロ、ゼギオン、クマラのわずか3名のみ。あとは八階層を守護する蟲の女王、アピト。上位の守護王と同程度の実力者である、ベレッタ。他にサリオンで気絶したベニマルとソウエイもいますが、治療中の守護王と同様、とても万全とは言い難い状態です。また迷宮内には未だ療養中のクロエと子どもたち、その護衛をするハクロウ、サーレやグレゴリーもいます。

対する天軍はディーノ、ピコ、ガラシャ、ヴェガ、マイ、そして現在消息不明のゼラヌスが参戦すると予想し、彼らが迷宮でどう活躍するのか、順に深堀りしていきます。

また四章は二章の続きと予想するため、まとめて扱います。

ディアブロ

Web版と異なりリムル消失の近くにいなかったディアブロ。

管制室からモニタリングしていたとも十分考えられますが、果たしてどんな反応を見せ、そしてどんな行動をとるのか。Web版では、ゼギオンが彼をこのように分析しています。

「半身を失った程度で主の仇討ちを諦めるような愚者か?」
「何か理由があると、何故思わない?」

  Web版 200話「それぞれの反応」

書籍では、リムル消失はディアブロにとって寝耳に水。であれば仇であるフェルドウェイの元へ向かうと思われます。15巻ではフェルドウェイを殺す手段を用意すると発言し、19巻でも対処可能であると読み取れる発言もあります。彼も参加するとなれば本当に大怪獣バトルになりますが、ミカエルを上回るミリムを上回るフェルドウェイに対し、ディアブロは上回ることができるのでしょうか。

個人的にはリムルの『虚無供給』に期待できないのもあり、彼の『誘惑之王』を使った戦いが見られたら胸アツですね。

ベニマル(ソウエイ)

19巻で張られた強化フラグをリムルの『虚無供給』で回収し、Web版と同様の陽光黒炎覇加速励起を披露したベニマル。

ここまで20巻でWeb版の流れを踏襲するのであれば、迷宮でも四重複合絶技を披露する気もしますが、どうなるか。どちらにせよ今はガス欠だと思われるので万全とは言い難く、ソウエイも『並列存在』を使っただけに消耗が気になります。

リムル消失下では、一番の指揮権限を有するベニマルには、迷宮に加え各地を監視し、司令を出す責任が生まれます。ソウエイとモスを使った指揮が次の活躍になるかと思います。

とか言って前回の予想は大きく外した結果になりましたが… 今回も確証はどれもないので話半分程度でお願いします。

ゼギオン

ディアブロ・ベニマルと共に三頂点を成すゼギオン。

以前出した動画とまったく同じ内容の話になりますが、20巻の蟲魔王ゼラヌスに関する新たな記述などから、ゼギオンは、ゼスの弟にあたるゼラヌスの直系でありアピトは、次世代の女王として誕生した個体と考えられその根拠にいくつかの類似点が挙げることができます。

例えばゼラヌス・ゼス・ゼギオンは全員が甲虫型であり、ゼラヌスとゼギオンの身体と能力は非常に似通っています。ピリオドとアピトはコロニーの母体としての機能を持ち、彼女たちは十体ほどの強力な蟲型魔人を生み出しています。20巻でピリオドは消滅しましたが、ゼラヌスは撤退し、続く21巻、迷宮侵蝕編で活躍するとされているため、迷宮の守護者であるゼギオンとの邂逅が期待されます。

ミリムと互角のゼラヌスに対しどのように対峙するのか、現在迷宮に侵入しているディーノとの再会と合わせて彼の最大の魅せ場になるのではないかと思います。

アピト

次世代の女王として誕生したと思われるアピト。

書籍では指揮官型ではなく英雄型を選択したことにより、女王蜂としての魔蟲を生み出す権能は失われましたが、それは本来意図された彼女の役割を逸脱するということであり、これからは先代の女帝ピリオド、そしてWeb版の彼女とはまた違った道を歩むことを示しているとも考えられます。

速度特化型の彼女が率いる子供たちはどんな力を持つのか、帝国戦から変わったと思われる彼女の迷宮防衛戦に期待です。

クマラ

直近ではピコを迎撃し、オルリアを圧倒してみせたクマラ。

19巻では神性を獲得し、戦闘経験も重ねて成長し続ける彼女。現在迷宮に侵入している天軍のピコとの再戦が期待できる一方、やはり気になるのは16巻でディーノがこぼしたこの発言。

「もしかして、滅界竜イヴァラージェの血統なんじゃー…」

16巻 P78

そして19巻と20巻では、幻獣族に関してこんな記述も。

様々な特性を持つ厄介な相手

20巻 P78

個としての戦闘能力に特化し、滅多に群れることはない。

19巻 P11

オベーラは格上との戦闘を念頭において指揮していた。

20巻 P78

このような特徴を持つ幻獣族の生みの親がイヴァラージェです。そして“個に特化した様々な特性を持つ”といえば、クマラの八部衆を連想してしまうのは私だけでしょうか。

先ほどゼラヌスと直系のゼギオンの類似性を挙げましたが、それと似たようなものを、この2者からは感じます。
もしもイヴァラージェが個人主義の幻獣族を統率したら…
もしもイヴァラージェがクマラのようにすべてと合体したら…

イヴァラージェが眠りから醒める時、何が起きてしまうのか、血統の繋がりを持つかも知れないクマラに影響はあるのか。皆さんはどう思いますか?

ベレッタ

ラミリスの副官であり守護者でありパシリでもあるベレッタ。

元の黒の上位悪魔から金属生命体へと至ったベレッタですが、侵入中のディーノとは一度敗北した因縁があるとも言えます。覚醒したことでターミネーターのような流体金属の身体とポケモンのダイスチルみたいな攻撃手段も獲得しました。

ここで1つ、完全に個人的なロマンの話をしたいと思います。根拠は一応ありますが、読み飛ばしていただいて問題ないです。
書籍の天魔大戦はWeb版とは様々な異なる要素があります。色々ある中で特に気になってしまうのが、19巻の銃士隊と、20巻でゾンビやスケルトンが使っていた銃火器の数々です。これらは魔国の地下迷宮で極秘開発されているものになります。
なにが言いたいのかというと、ベレッタの書籍版の要素として、身体で銃を創る、というロマンの可能性を提唱したいのです。銃身と弾丸は身体を構築する究極の金属、火薬は核撃魔法、それを身体の各所に現出させ、近接格闘に織り交ぜて闘う。
これは迷宮統括者にして研究好きというベレッタの属性、そしてかの名銃を由来としているベレッタという名前、そのすべてを活かせるアイデアでは?と閃いた話でした。

理論武装した考察ばかりですが、こういう話もたまには。

クロエ・オベール

迷宮内の自室で急激な進化の後遺症を癒やしているクロエ。

厄介なのは単純なガス欠や負傷ではなく後遺症ということ。完全に癒やし切るためには、まだ時間が必要だと思います。

主人公サイドの魔物の方が馴染みあるため忘れがちですが、人間は進化してもその身体は急激に変化したりはしません。“聖人”に至っているヒナタは未だ睡眠を必要としており、人が肉体構造を変化させるには長い時間を要するとのこと。“聖人”どころか“神人”に至っていると思われる彼女が、神智核:クロノアと一体化して急激な進化を果たしました。

Web版では“半神半人”という名前も登場していましたが、ここで一度、“勇者”と“人の種族”について考えてみます。

人間は“勇者の卵”を孵すことで“真なる勇者”に至り、魔物は“魔王種”を発芽させて“真なる魔王”に至ります。この“勇者”や“魔王”というのは種族名ではなく、称号や段階、役割などを指し示すと考えられると思います。

そして“仙人・聖人・神人”は人の進化先、種族名であり、魔物の大鬼族で例えるなら“大鬼・鬼人・妖鬼・鬼神”、といったもので“真なる魔王”とは別という話だと思います。
“勇者”になる種族が人間しかいないので混同しがちですが… 

ではWeb版の“半神半人”とはなんなのか。
書かれ方的には“真なる勇者”の上、と読み取れますが、その特徴は霊力を循環させた“精神生命体”であること。種族の話ですし書籍では精神生命体は珍しくありません。そもそもですが“神人”とネーミングが被っていますし、『多重存在』のように、もし書籍で採用されるとしてもその設定は大幅に変更が加えられたものになると思います。

話が逸れましたが、ではクロエはどう進化するのか。
神智核であるクロノアと一体化するということは、その演算能力やスキルを統括する権限を持つことになり、それは19巻の少ない描写からもある程度読み取れます。

さらに後遺症という描写から肉体構造が変わったこと、つまり情報生命体の更に上の段階の存在を暗示している、そう捉えることもできるのではないでしょうか。

子どもたち・ハクロウ・サーレ・グレゴリー

Web版ではイングラシア王都にて活躍した子どもたち。

20巻で迷宮の安全な階層にいると書かれていましたが、わざわざそう書くということは何かあるということです。先述の幹部たちに比べると心許ない面々ではありますが、行動不能のクロエを狙う邪龍獣一体程度を相手にして、協力して撃退するような活躍を見せてくれると予想します。

特に勇者の資質を秘めていると言われているケンヤには、次世代の勇者として光るような活躍を期待したいですね。

ラミリス

星の管理者である妖精族の女王、ラミリス。

彼女が生まれながらに持つ固有能力『迷宮創造』は、創造神が神ではなくなった際に失った権限の一部であり、『砕けない星を創造する力』を限定空間で再現する権能、といった感じの能力と言えるのではないかと思います。

しかし、ラミリスは星の管理者として生まれた女王であり、その権能の影響範囲が最初から迷宮という小さな空間内だけとは考えにくいと思います。
そのため彼女の固有能力は、堕落と同時に劣化し限定的になったのではないでしょうか。

堕落して“迷宮妖精”となり能力は『迷宮創造』になった。であれば堕落する前の完全体、“精霊女王”の時の能力は、星そのものに働きかける管理者に相応しいものであり、原初の青が認めるほどのものだったと考えられると思います。

Web版では完全体となって原初の魔法を使った彼女ですが、設定が多く追加された書籍では様々な可能性が考えられます。

ガイア

“星王竜”の転生体にして竜族の起源である、“精霊竜”。

精霊竜が死後ミリムから祝福を受けて成った、“混沌竜”。
そして保護した混沌竜の魂から新しく生まれた、ガイア。
Web版ではさらに竜核を得て、“地帝竜”ヴェルガイアへ、
数奇な進化の道を歩んだミリムのペット、ガイア。

書籍でも同じく“竜種”へと進化するかは分かりませんが、迷宮侵蝕編の鍵を握る存在になる可能性は十分あります。『地』属性の全長50cmの小竜がどう物語に関わるのか。余談ですが、“星王竜”と“地帝竜”って似ていますよね。

ディーノ

Web版同様、似たような面子で迷宮に向かうディーノ。

Web版では生体神格化を行い精神生命体になりましたが、書籍版ではディーノたち天使は最初から精神生命体です。

しかしWeb版で彼が言い放った「神格武装発現」は、20巻のオベーラが言った「神気解放」と重なる言葉です。オベーラはその言葉を合図に、武装に魔力を循環させ、武装本来の性能を引き出し、本気を出す準備としました。

そして彼の本気には「神格武装発現/神気解放」の他にも、Web版で使った本来の獲物である二振りの神話級の神剣、そして書籍版の権能『至天之王』が含まれると思われます。

この『至天之王』とは、ディーノが持つ奥の手であり、ヴェルダナーヴァが創り彼に与えた天使系の権能です。前回の迷宮戦ではその権能の『創造』を披露した一方、無論それだけが全てではない、とも書かれていました。

では他にどんな権能が考えられるか。

アスタルテとは、かつて偉大な女神から悪魔に貶められた『創造』と『破壊』を司った存在とされています。Web版のルシフェルからの変更も妥当と言えるほど、その二面性はディーノというキャラにピッタリであり、また『至天之王』を奥の手としている理由も伺えます。

『破壊』などという見るからにヤバそうな力があれば、その忌々しい思い出というのも想像に難くありません。またその忌々しい過去の掘り下げにも期待できますね。

ピコ・ガラシャ

20巻ではかなり存在感薄めのピコとガラシャ。

彼女たちの重要なポイントは、やはり天使系の究極能力『厳格之王』と『栄光之王』の2つになるかと思います。ザラリオとオベーラが最近やっと獲得した天使系の権能をディーノと同様最初から与えられていた可能性も考えられ、そうであった場合、堕天族となった3柱の素質という面で彼らの特異性が語られるということもあるかもしれません。

しかし一方で、その戦闘能力は守護王に抑えられる程度と、他の敵サイドの長命種と同様に劣っているように見えます。こうした敵サイドと主人公サイドの技量の差を見ていると、重要なのは経験の長さではなく密度、そう思わされます。

思えばリムルの配下が特訓する環境がおかしいのです。死ぬ気の特訓ではなく、死んでも特訓ができる迷宮は既巻でも度々書かれているように異常な環境です。異界で同じ相手と数万年ずっと戦っているよりも本気の命のやりとりを数年している方が強くなる、というのも分からなくもないような気もしてきます。

ピコとガラシャに関して言えば、監視者として働き、戦いに身を置いてない分、経験は少ないと考えられます。彼女たちの権能が、それを補うことになるのでしょうか。

マイ

混成軍団30万の唯一の生き残りであるマイ・フルキ。

原初ですら不可能な『瞬間移動』を実現させながらも願望を叶えられず、天軍の便利屋となっていたマイ。Web版ではリムルが全能になる最後のピースと言え、書籍版でも最終決戦前に救われると思っていましたが、20巻の展開によって話が大きく変わってきました。

彼女の『瞬間移動』がWeb版で注目されていたのは、リムルが時空の果てから帰る際の鍵となったからです。しかし、書籍20巻ではリムルと彼女が接触する前に、リムルは時空の果てに跳ばされてしまっているのです。

リムルに『瞬間移動』を得る必要がなくなったことが今後マイが救われないことの理由にはなりませんが、少なくとも必然性は失われた、ということです。でも個人的な感想を言うなら救われてほしいですね。

ヴェガ

フェルドウェイの理解者として存在感を増すヴェガ。

Web版の大戦では序盤早々に退場し、迷宮への侵食には彼の『邪龍之王』を与えられたゼロが向かっていました。書籍版では、ゼロは受肉の儀式でオーマの血肉となり、そのオーマもイヴァラージェに怨念ごと喰われました。
その怨念から生まれたイヴァラージェの知性・感情にはゼロの残滓も含まれるのでは…という話は置いといて、

書籍のヴェガは退場することなく『邪龍之王』を携え、ノリノリで迷宮を攻略しに出向くことになりました。『邪龍之王』を使いこなすことができないと酷評されたあのヴェガが、迷宮を侵食することが出来るのかどうか。

次に掘り下げるゼラヌスと一緒に考えたいと思います。

ゼラヌス

序章にも登場するのではないかと予想するゼラヌス。
言葉も流暢になりましたしモノローグも出来そうです。

安住の地の獲得が蟲魔族だけでは不可能になったため、フェルドウェイに便乗し漁夫の利を狙うというのが、計算高い彼が取りそうな行動ではないかと推測して、戦いが始まっていない迷宮戦に介入すると予想します。

というのは建前で、ここまでフラグを立てといてゼギオンと会わない訳がないので迷宮に来ると思います。ゼギオンとの邂逅、そして対決、楽しみですね〜

ミリムより格下のような書かれ方をしていましたが、特筆すべきは星粒子を相殺した、彼の暗黒細胞です。

“暗黒増殖喰” “侵食出来る” “『結界』すら突き破って”

20巻 P106

迷宮侵蝕編に向けたと思われるこのワード郡からも考えられるように侵蝕の主役は彼と思われます。ではヴェガの『邪龍之王』による侵食はどうなるのか。

この2名ですが身体の構造が非常に似通っています。ヴェガは魔性細菌、対するゼラヌスは暗黒の微細粒子、彼の技名からもウイルスの性質があるとわかります。このバクテリアとウイルスの関係性という視点から、何かしらそれっぽい展開考察も出来るかもしれません。

私は専門外なので、別の視点からも考えてみます。

ゼラヌスは暗黒細胞で身体を構成していることから、ゼギオンと同じ半精神生命体のような状態だと思われます。守護王には精神生命体が多いのにゼギオンはならないのか?ゼギオンはリムルに与えられた肉体を大切にしているため、それを脱ぎ捨てることなく肉弾戦に特化しています。しかしゼラヌスはその肉体を脱ぎ捨て完全な精神生命体になることも出来るため、今後の彼の自由度は高いです。

例えば自身やヴェガが侵蝕した迷宮部分に憑依し、狂邪竜ゼロのような脅威になる可能性はどうでしょうか。色々考えられると思いますが、皆さんはどう考えますか?

三章:次の戦いの発生と発展

続いて第三章の予想、ルベリオス防衛戦について。決着まで行くと予想して、各対戦カードを順に見ていき、彼らがどう活躍するのか、考察していきたいと思います。

ルミナス・バレンタイン

Web版と同様、絶望的な戦いを強いられているルミナス。

しかしただ同じという訳でもなく、書籍の彼女の起源となる亡き神祖から「最高傑作、可能性の塊」と称されていたなど、新しい強化の伏線とも言える記述も多くありました。その強化について、以前このような可能性を考えていました。

1.複製体と呼ばれる彼女が持つ、神祖に酷似した能力
2.信者の演算領域を利用した、規格外の霊子攻撃
3.情報子の操作能力を活かした、停止世界への適応性
4.他の高弟たちに倣った、インド系の新たな権能

19巻の頃の考察ですが、割とイイ線いっていたと思います。

1.は20巻で「力を吸収する権能」というヒントが出ました。彼女が持つ『生気吸収』の能力と似通っていると考えられ、さらに言えば『色欲之王』の効果の1つとも似ています。仮に『生気吸収』が先天性の神祖と似通った種族特性で、『色欲之王』が後天的に適正によって得た権能とすれば、その親和性は高く非常にマッチしていると言えます。

2.は20巻で完全な形で回収されました。

3.も情報生命体までではありませんが、高い適応性を見せ、“停止世界”を認識するレベルにまでは到達しましたが、適応し切る前にヴェルドラが来たのでここまでですかね…

4.はカスリもしなかったですね。今ですら属性山盛りなのでこれ以上加えられるのは、ここまで来ると考えにくいのかも知れませんね…

といった反省も踏まえた上で、これからの考察として、

5.“神祖の血槍”は彼女の武器ではないのか?
6.“神祖の血槍”を通した超強化が見込めるのでは?

という考察を追加でしていきたいと思います。

“神祖の血槍”はジャヒルが神祖から賜った神話級ですが、ジャヒルに遭ってないように思われる描写が見られます。そのため、本来この“神祖の血槍”は娘のルミナス用に神祖が調整した専用武器だったのでは、という考察です。

現在“血槍”を持つジャヒルはサリオンから撤退しており、今後因縁あるルミナスの元へ向かうことも考えられます。その結果ルミナスと“神祖の血槍”が邂逅する展開や、槍に秘められた存在値で強化される展開も期待できます。さらに細かい根拠などはジャヒルの掘り下げで行います。

シオン

ルミナスと同じく絶望的な戦いを強いられているシオン。

Web版と違う点は、彼女は既に種族的覚醒を経ており、この時点ではもう闘霊鬼へと至っているということです。にも関わらず、今後シオンが覚醒する可能性があると、20巻でダグリュールが話すシーンがあります。

この覚醒は書籍では何を指し示しているのか。

まず1番に考えられるのはWeb版の『暴虐之王』です。闘霊鬼の彼女ですが、究極能力は未だ獲得できておらず、この戦いで期待できる彼女の最大の魅せ場だと思います。しかし究極能力を持たない、必要としないダグリュールがシオンが究極能力を獲得していないことを嘆くでしょうか。

彼の言う覚醒が、究極能力でも種族的覚醒でもないとすると、それはもう、書籍版オリジナルの未知の展開となりますが、そうなると“技術”の覚醒しかないのではないかと思います。

ダグリュールの技術は、明らかにシオンとは次元が違います。視認すらできないスピードや触れることもできない闘気の壁。魔国随一の脳筋である彼女がここまで出し抜かれるのは、Web版と全く同じ描写ですが、やはり違和感があります。見えている世界が違いすぎる、何かトリックがあるのでは。そう思わずにはいられないのです。巨人の古の技術などの新たな設定が登場するのではないか。彼女の〈神気闘法〉に関連した何かが起こるのではないか。色々考えられると思いますが、皆さんはどう考えますか?

ガドラ

シオンと共にダグリュールに挑み続けていたガドラ。

アダルマンから魔力を借りていたWeb版とは大きく異なり、書籍では正式にリムルの配下となり、金属製悪魔族として魔素量もアダルマン以上となり彼に並ぶ魔法を披露しました。気になるその種族特性は明言こそされませんでしたが、おそらく物理耐久力が高く物理で戦える悪魔というのが金属製悪魔族というマイナー種族の特徴だと思います。

魔法で自分たちにバフをかけて物理で殴るというスタンスは、進化前のベレッタと全く同じ、というのはどうなんでしょう。中途半端に強くしたせいで持て余しているようにも見えます。

また、彼らの『魔法無効』に苦戦する魔法職のガドラですが、ウルティマがフェンに対し使用している虚無系魔法の他にも、物理魔法:神之怒などは彼らに通用する魔法と考えられます。シエルが管理する魔法を自由に閲覧できる『魔道之書』を持つガドラであれば、これを利用して戦えるのではないでしょうか。色々考えましたが、彼にはこれしか可能性がないと思います。皆さんはどう考えますか?

ヴェルドラ=テンペスト

当然のように時間停止の影響を受けなかったヴェルドラ。

最強の“竜種”だったら…と受け入れそうになりますが、では“竜種”は最初から情報生命体だったのでしょうか。また停止世界で動けるではなく時間停止の影響を受けない、という書かれ方にもなにか含みがあるように感じます。

もし“竜種”が情報生命体より上の存在だとしたら、その異常な不死性や影響を受けないという書かれ方にも、かなり具体的な根拠や説明ができるような気がします。例えば同じく時間停止の影響を受けないダグリュールは、Web版では究極生命体という書かれ方もしていました。彼の強さを形容するためのただの表現かもしれませんが、今後使われる可能性が完全にないとは言えないでしょう。

またヴェルドラ個人についても考えたいことがあります。ミリムの話でも触れた“竜種”の属性についてですが、先ほど言った“暴風竜”の暴風・破壊・腐食・滅びは、厳密には“暴風竜”の属性ではなく効果と書かれており、彼が本質的に何を司っているかは明言されていないのです。“白氷竜”の『停止』、“灼熱竜”の『加速』に並ぶ、“暴風竜”ヴェルドラに相応しい属性に期待です。

またこれとは別に後天的に獲得した『混沌之王』は、書籍では初お披露目であり、新たな『並列存在』など、常識はずれの戦いがどう進化するのか、期待できます。

ダグリュール

圧倒的なパワーでシオンたちを圧倒するダグリュール。

かつて三兄弟は一個の巨人、とあっさり明言された彼は、“世界の破壊者として暴れまわる悪神”と表現されました。神話ではその後、ヴェルダナーヴァに敗北して改心し、王妃キサラと出会うことで落ち着いた性格になった…と。

悪神と言えば、ジャヒルがフェンを見て発したセリフが、「チィ、太古に封じられし悪神かよ。」というものでした。そして神祖から聞いた話では、破壊の限りを尽くした後、ヴェルダナーヴァに封じられた悪神である…と。

またガドラは「神話の時代、悪神を竜帝が封じた。」三兄弟のうち二人は改心したが、一人は凶暴な性格のままそのため、神の鎖により封じられた…と。

このことから、フェンとは巨神から分けられた三人の内、悪神の部分を抽出した存在だったではないかと考えます。もしくは色濃く出た人格と言っても良いかも知れません。

ダグリュールは王としての威厳を備えたメインの人格、グラソードは技量に重きを置いた理性的な側面、そしてフェンは悪神時代の凶暴で野性的な側面。これらを統合した人格が“反逆之巨神”ダグリュールで、Web版の三面六臂の姿とは異なる形になると予想します。またその性格の割合も、例えば各々の存在値に比例する、そんな風に考察してみても面白いのではないでしょうか。

ウルティマ

フェンを相手に善戦を繰り広げるウルティマ。

ディアブロから時間停止の対策方法を聞いていた彼女は、ダグリュールが時を止めた際には“停止世界”を認識し、ルベリオスの座標情報を“魂の回廊”を経由して送り、ヴェルドラの時間停止中の遠距離転移に一躍買いました。

彼女が時間停止中に動けるようになったかは不明ですが、これは相対しているフェンが、時間停止を使用しているダグリュールとのタイマン勝負に勝っていることもあり、フェンとウルティマも動けると考えられると思います。

そうなると問題になるのは最後のグラソードですが、相対するアルベルトは“停止世界”を認識できそうになく、グラソードだけ動けない、という予想になるかと思います。今ひとつ釈然としませんが、皆さんはどう考えますか?

話は戻ってウルティマについての話になりますが、前巻の考察では、ダムラダの使う闘気による“毒”と彼女が生成する『死毒』の2つの毒が使われるのでは、と予想してみましたが、まさかの虚無系魔法とは…

では地獄の虚無とは何か。地獄と言えば悪魔界ですが、そこに虚無という存在があるということなのでしょう。またこの虚無系魔法:虚無消失獄の対となる霊子崩壊と、20巻から遂に猛威を振るい出したリムルの『虚無崩壊』。接触するエネルギーを消失させる特性の虚無系魔法と、エネルギーを喰らう吸収系の性質を持つ『虚無崩壊』。何らかの関係性が見えてくるような気もしませんか?

アダルマン

ウルティマ嬢に「ホネ」呼ばわりされるアダルマン。

書籍版の中でもいくつかの伏線が張られていたように、Web版と同様に“聖拳導師”としてウェンティと合体し、強靭な肉体を使った肉弾戦をフェンと繰り広げています。圧倒的格上の攻撃に対応し続ける神業を魅せる彼ですが、フェンの持つ聖魔封じの鎖が今後の不安要素と言えます。

このフェンに対して彼と戦うウルティマ嬢は後衛として暗黒魔法:虚無消失獄を使ったフォローを行っています。20巻で頻出したこの〈暗黒魔法〉ですが、主に悪魔族のキャラ達のステータスの〈魔法〉の欄に書かれていた用語であり、物語上ではほぼ新出語句です。その具体的な内容は、他のステータスの〈魔法〉と同様に不明でしたが『空想物質』と虚無系があると判明しました。

今回アダルマンが使用した『空想物質』に似たものに、悪魔族の固有能力『物質創造』というものがあります。前者はテスタロッサが魔法で具現化した“炎の鞭”が、後者はリムルの衣や悪魔達の武器が該当すると思われ、同じ内容ですが一応の差別化はされている、と思います。

魔法もスキルの1つ、とはよく言われていますが、これまで魔法は〈〉スキルは『』で囲われていたので、暗黒魔法の極意『空想物質』というのは、個人的には違和感を覚えてしまいます。ニッチ過ぎている自覚はあるのでこのあたりにします。

フェン

かつての“反逆之巨神”だったダグリュール三兄弟。

中でもフェンは悪神の側面が強い人格なのではないか、という予想を、先ほどダグリュールの話でしましたが、創造主がその凶悪性を分散しようと人格を分けたのなら、その力にも偏りが出るように分けられたと考えられます。

「その力とは魔素量、技量、権能の3つの総合力である。」

16巻 P227

リムルの言うこの3要素を三兄弟に照らし合わせると、魔素量がフェン、技量がグラソードに偏っていると言え、3つ目の権能がダグリュールに偏っているのではないか、そう考えることも出来るのではないでしょうか。

Web版では、合体する前のダグリュールが持つ権能は、『硬質防御・武器破壊・存在破壊・魔法無効・防御無視』と他の兄弟に比べても多様で“偏っている”と言えます。また書籍版では『時間停止』に類する権能も考えられ、Web版にないオリジナルの設定や活躍に期待できます。

長く情報をチョイ出しされてきた巨神の考察でしたが、結果として、フェンの考察をダグリュールの話でして、ダグリュールの考察をフェンの話でしてしまいました。話の流れってあるので仕方ないですよね!

アルベルト

剣王グラソードとの一騎打ちを繰り広げるアルベルト。

ルミナスからもジリ貧と見られているこの戦いですが、彼が今後一杯喰わせることができる要素はあるのか。グラソードの『武具破壊』を受けない彼の神話級は、長剣から霊剣になっており存在値も60万を誇ります。神話級の武具の潜在値は100万とされているため、まだまだその性能を引き出すことは理論上可能です。

また『不老不死』はまだ権能を付与できる余地があると言われており、今後気になる要素ではあります。

グラソード

いきなり存在値が1000万になったグラソード。

愛刀の両手大剣に存在値を封じていたとのことで、色々な前提が覆るような新たな強化の仕方ですが、自身の一部とも言われているその両手大剣について、頑なにその銘を明かさないのはなんでなんでしょう。

またその剣技は力を封じていたことで鍛えられており、分かたれた当時より強くなっていると考えられます。再び悪神が復活する時、その強さはどうなるのか、そう考えると伏線がまだまだあるような気もします。転スラは噛めば噛むほど味がするのでいいですよね。

ルイ・ギュンター・バサラ

バサラを迎えるルイとその手助けに向かうギュンター。

ギュンターはルミナスの姉弟といえる高弟の一人であり、ルイもおそらくは吸血鬼族の始祖にあたると思います。対する“四椀”のバサラは巨人族の始祖にあたるなど、三者とも神祖の手で作られたという共通点があります。

彼らの強さですが、バサラの存在値が100万強。これとギュンター達がほぼ互角という感じらしいです。風精人の始祖であるシルビアさんが200万弱なので、神祖の作品は大体このあたりなのかもしれませんね。

またギュンターよりルイの方が実力で勝るとされており、そのルイは血液製の魔粒子を攻撃手段としていますが、この魔粒子、血魔噴霧と同じ物質ではないでしょうか。血魔噴霧とは“神祖の血槍”の権能の1つでもあり、吸血鬼族も技に使ったりする可燃性の特殊な物質です。ルイも“神祖の血槍”も神祖の作品であるならば、同じ権能が備わっていても不思議ではありません。

また血魔噴霧が“血槍”の権能の1つとあるように、ギュンターと同じ権能も備わっているのではないか、といったことも考えることができると思います。バサラについては詳細な描写はあまりありませんが、神祖繋がりの関連性は期待したいポイントですね。

ジャヒル

そして神祖と言えば、高弟第一位のジャヒルです。

彼はサリオンでの攻防戦で身の危険を察して撤退し、その際、先述の血魔噴霧を使った攻撃を行いました。また彼はサリオンの攻防戦の前にルベリオスに対し、ルミナスへの私怨から派手な陽動作戦を仕掛けていました。

神祖を弑したルミナスを神敵と呼ぶ彼の執着心は、乗っ取った風精人の王の“娘”であるカガリに対し、力と美貌、名前、性別を奪ったことからも伺えます。そんなジャヒルであれば、次巻でルベリオスに向かい、ルミナスをその手で直接葬ろうとすると考えられます。

もしそうなった場合、先ほどルミナスの話で触れた、“神祖の血槍”が重要になるのではないでしょうか。私の考察の通り“血槍”がルミナスのものだとすれば、グラソードのような武器を通した強化も考えられます。まして“神祖の血槍”の存在値は破格の1000万。彼女専用の強化素材が詰まっているのではないでしょうか。

神祖絡みのキャラが渋滞するルベリオス防衛戦なので、今は亡き神祖への更なる言及にも期待したいところですね。

ヒナタ・サカグチ

現在イングラシア王都の後始末を行っているヒナタ。

明言されていませんが、各国要人の護衛や国民の誘導、都市の損壊に対する最低限の保全作業などが考えられ、ルベリオスに戻るには4日ほどかかるとされています。

ヒナタは聖騎士団の団長、西方聖協会の顔であり、これらの放棄は信用問題になるため、今は呼び戻せない。しかしそうも言っていられない最悪の状況が今なので、ピンチのルミナスのために戻るのではないかと思います。

神話級の武器と解析系の究極能力、2000年分の技量、それらを備えた当代の“勇者”として覚醒したヒナタは、ルベリオスでどのような活躍を魅せてくれるのでしょうか。

その他

最後にその他、気になるキャラ達について。

エルメシア(ガゼル)

20巻で追加された究極能力その1。エルメシア。

「エラルド公爵とは英雄の“格”が違う。」

8巻 P117

「ガゼル王の比にならない『英雄覇気』を纏う。」

9巻 P94

リムルには“魔王級の実力”と評されていた彼女ですが、これは“魔王種級”か“覚醒魔王級”のどっちなのか。天候系最上位とされる究極能力『風天之王』を獲得し、神話級:円月輪刃を自由自在に操っている描写からは、後者の“覚醒魔王級”であったと判断できると思います。私はてっきり前者の“魔王種級”だと思っていました…

政治力も究極レベルの戦闘力も併せ持っておきながら、なにが「役割分担できているのだそうだ」なんですかね。ガゼル王は究極レベルに至ろうと試行錯誤しているのに。ですが、初代グランが究極を持っていたという話なので、風精人の彼女が持っているのも道理と言えるのでしょう。また三代目ガゼルも獲得することが出来るのでしょうか。今後益々加速する大戦のどこかで回収してほしいですね。

カガリ・ティア

20巻で追加された究極能力その2。カガリとティア。

厳密には究極授与である『楽天奏者』と『予言之書』は、『正義之王』を使った究極付与とは字面が少し異なります。伏瀬先生が付与と贈与の違いを語呂だと言っているので、授与と付与の違いにも大した意味はないと思いますが、今回の2つは究極能力のような『〇〇之王』ではなく、究極贈与の『真贋作家』や『魔道之書』に似ているため、贈与と付与の中間あたりが授与なのではないかと思います。こうした1字の違いで差別化しているのはすごいですよね。

レオン・ザラリオ(レイン・ミザリー)

20巻で追加された究極能力その3。レオンとザラリオ。

彼らの新しい権能の壊れ具合は書かれている通りなので、ここでは『能力改変』の方法と名前について言及します。

まず今回シエルは『正義之王』の権能の一部を利用して、天使系の極細回路から彼らの権能に干渉し手を加えました。ならば彼が全ての天使系にアクセス出来るのかと言うと、もちろん不可能です。理由は“天使長の支配”の影響範囲が限定的だからであり、今思えば19巻の解説はこのための布石だったと言えます。これも予想できた展開…だったのでしょうか。

そして彼らの権能の名前、スーリヤとメーティスについて。スーリヤは、ヴァーユと同じくインド神話に登場する神で、太陽神の一柱、とりわけ『光輝』の側面を強調しています。てっきり神祖関連のキャラが獲得するのがインド神話系と思っていましたが、あまり関係ないのかも知れません…

またメーティスは、ギリシャ神話に登場する知恵の女神で、同化したゼウス神の体内で善悪を予言すると言われており、『審罰』の名に合っている神なのではないかと思います。

最後にレオンとザラリオの今後についてなんですが、まずレオンは流石にエルドラドに帰ると思います。そうなると、おそらく現在ギィに留守を任されているレインとミザリーが各地の戦場に介入できるようになり、いよいよ彼女たちが参戦するのではないかと思います。私は最後の悪魔系2つはこの2名だと思っているので、個人的にとても楽しみなところではあります。

話が逸れましたが、続いてザラリオの今後について、20巻4章の最後に非常に意味深な描写があります。

「この先の未曾有の危機に備えて」

20巻 P355

サリオンに駐屯する彼も関わるほどの危機とは何なのか。最終決戦であれば、やはり局所的な戦いになると思われ、こう言ってはなんですが、彼が参戦するとは思えません。その前段階、天使軍にも勝るほどの基軸世界を襲う危機… また動画の最後にまとめて考えたいと思います。

マサユキ【ルドラ】

19巻で主役級の活躍を魅せたマサユキ。

現在は王都で住民の対応を行っていると思われる彼は、20巻ではフェルドウェイに大きく警戒されていました。確かにルドラの力を一時的にでも宿せるというその権能は、それだけで最強の一角になり得る強力な究極能力です。

しかし、マサユキがここから何も成長しないかというと、流石にそれだけでは最終決戦に挑めないのではと考えます。成長といえば、彼が悩まされる珍しい成長痛の“魂痛”。原因はルドラを宿した後遺症の他、様々とのこと。「ルドラを宿した後遺症」というのは大体わかります。では「その他にも様々な理由」とは一体何なのか。

19巻で、ルドラが消失する際にこんな記述がありました。

「権能が切れると同時に、ルドラの“人格”は消えるが、その記憶と経験はマサユキの心に蓄積されて残る」

19巻 P295

つまり、使用する度に作中最強と言えるルドラの技量が彼の中に蓄積されるということなのではないでしょうか。さすがに失われた権能の再現は『英雄之王』を使用する必要があると思いますが、ルドラの技量だけであれば、その記憶と経験から再現できるのではないかと思います。

権能を使わずとも強く、いざという時に権能で強化する。それがマサユキの成長の果てではないかと考えます。

リムル=テンペスト

19巻の終章、フェルドウェイの手により消失したリムル。“時空の果て”に跳ばされた彼は帰って来られるのでしょうか。

Web版ではマイの権能から解析した『瞬間移動』から新たに、『あらゆる時空を超え、望む地点へと到達する事が可能な力』を手に入れ、時を越えて同じ時間と場所に戻ってみせました。

しかし書籍では、鍵になるマイとは未だ接触していません。そのため『瞬間移動』もありませんが、その代わりとして、ヴェルグリンドが行ってみせた『時空間跳躍』があります。この権能は、一度指定した存在を発見するという効果を利用し、ルドラの“魂”を座標地点として時空間を超えて追跡するもの、そのため任意の時空間に“跳ぶ”ことは不可能というものです。

これはヴェルグリンドが異界で時間の縛りなく自身と向き合い、『炎神之王』を完全に自分のものにした結果得た力と言え、『能力改変』を行ったシエルでさえ知らなかった能力でした。そして現在“時空の果て”に跳ばされたリムルですが、ヴェルグリンドと同じ、時間に囚われない環境にいます。かねてより『解析』を行っていましたが、リムルも同様にこの機に時空を跳躍する手段を手に入れるのではないか、そう考えることもできるのではないでしょうか。

またヴェルグリンドはどんな時でもルドラの“魂”を発見することが出来たのかというと、そういう訳でもなく、“魂”を宿す者が危機に陥り、その輝きを放った瞬間に発見することが多く、間に合わないこともあったとのこと。ではリムルにとっては誰かというと、ヴェルドラであり、彼が危機に陥った時に、その輝きを辿って帰還を果たす、という展開を予想してみます。

また“時空の果て”で『時空間跳躍』を習得する他にも、19巻にてコンプリートした美徳系と竜の因子の解析も同時に回収してくれるのではないかと思います。20巻では忙しいからか一切触れられませんでしたが、今後リムルを強化するにあたって無視できない要素です。特に竜の因子は、3つ揃えば星王竜の肉体を再現できると言われていた代物で、リムルはこれを19巻で揃えており、ヴェルダナーヴァと同じ肉体を得る可能性があると言えます。

そしてヴェルダナーヴァが創造した14個の天使系の内、上位の“七つの美徳”に加え、残り7つの天使系についても、『救済・審判・支配・刑罰』の4つが揃っていると考えられ、最後の3つも大抵のことが可能な迷宮へと侵攻しているため、純粋な権能、天使系の14個全て揃うんじゃないでしょうか。もちろん揃うとしても帰還後になり、仮に揃ったとしてもただ単に情報化されるだけという見方もあると思います。しかし、その揃える理由は作中でも真剣に議論されており、それなりに天使系に執着していた輩も過去にはいました。ここまで持ち上げられたからには、別枠の権能として、一個の究極能力に纏められてもいいのではないでしょうか。それこそ執着していたミカエルを軸にしてもいいですし…

そして権能と言えば、『虚無崩壊』及び『虚無供給』です。19巻では吸収系と書かれていた『虚無崩壊』でしたが、やはり16巻にもあったように無尽蔵のエネルギーでした。では吸収系というのはエネルギーの性質を指すのでしょうか。そうであれば、先ほどウルティマの話でも触れたように、暗黒魔法で召喚される“虚無”と似た性質を持つことになり、また虚無系魔法の対とされている神聖魔法:霊子崩壊からも、『虚無崩壊』となにか関係があると考えられるのではないか。虚無系魔法の起源、またはその究極が『虚無崩壊』とすれば、地獄の虚無についても1ネタあるように思えます。

そして最後に、竜魔刀についての謝罪がありまして… いつかの動画で孔が3つ空くとか言った気がしますが、そんな3つ空く予定だとか、どこにも書いてなかったです。勝手に空目して勘違いしていました。ほんとにすみません。書かれてない事を勝手に推理してしまうのは致命的なので、今後ともこれまで以上に気をつけていきたいと思います。

この動画ではそれを避ける意味合いもあって、セリフ丸々引用している箇所は巻数とページを示しています。普段メモを見て話しているので本当に面倒くさかったですが、どうせなのでよかったら皆さんの考察の参考にしてください。

イヴァラージェ

最後に“滅界竜”イヴァラージェについて。

20巻では滅界竜に関する新しい情報はありませんでしたが、「この先訪れるだろう未曾有の危機」という核心的な言葉は、滅界竜を含めたこの先の展開を考える上で非常に重要と言えます。

攻める優先度が比較的低いサリオンに影響が出るということは、基軸世界の全域にまで及ぶ危機であるということが推測でき、妖魔族も天使族の軍勢もそれほど脅威に成り得ないとすると、残りはもう幻獣族でしか軍勢での危機はないと考えられます。

ではここで幻獣族について、その概要を振り返ってみます。

幻獣族は異界に封印されたイヴァラージェの魔素から生まれた、神の創り出した失敗作とも称される知性も意思もない種族です。狡猾で好戦的、闘争本能のまま戦いと破壊に明け暮れ、群れることはなく同士内でまで戦いが繰り広げられる有様。しかしその分、個に特化した強大な戦闘能力を有しており、個々が様々な特性を持って支配領域の拡大を狙っています。

その強さは、幻獣族を担当したオベーラ軍の戦死者の多さや、満天の陣形、格上を意識した彼女の指揮などから分かります。また意思を持って生まれた幻獣族の個体がゼラヌスであり、時間をかければ物質世界でも具現化できる蟲魔族と同じく、蟲魔族の起源とも言える幻獣族も半精神生命体であるため、物質世界の基軸世界にも同様に侵攻できると考えられます。

そしてそれは、経緯は不明ながらも“妖魔郷”という幻獣族のクマラの故郷が存在したことからも分かります。またそれ以前に、以上の幻獣族の特徴がクマラと違い過ぎて困惑している方もいると思いますが、実際そう書かれており、その違いこそが、クマラが血統と呼ばれる由縁だと考えます。

そんな厄介な幻獣族の王であるのがイヴァラージェであり、19巻にて滅界竜は“邪神への進化”の眠りに就きました。この進化と祝福によって滅界竜と幻獣族が知性と意思を獲得し、統制を覚えて一体となり、基軸世界に侵攻して来たとしたら、それは「未曾有の危機」と呼んでいいのではないでしょうか。この進化の具体的な内容は現状なにも判明していませんが、知性や意思の他にも、クマラの固有能力のような権能の獲得、人化の習得、“竜種”への進化などされて嫌なことは多いです。

この過去最大の災厄“邪神”へと進化するだろう滅界竜を、フェルドウェイは世界を滅ぼすための手段のひとつとして考えているようですが、認識が甘いと言わざるを得ません。

そして最後に1つ、滅界竜について気になる点として、ユウキが消えたタイミングと、滅界竜が眠ったタイミングが時系列的におおよそ同じだろうというものがあります。描かれているのが18巻終章〜19巻終章と丸一巻跨いでおり、一見わかりにくくなっていますが、これもわざとなんですかね…

ユウキがどうやって生き残るのか、滅界竜にどう接触するのか、想像もつきませんが、関連性を疑わずにはいられません。皆さんはどう考えますか?

おわりに

そんな感じで、終わりにしたいと思います。

気になるキャラは粗方触れられたのではないかと思いますが、なにかありましたらコメントしていただけると嬉しいです。かなり長い記事になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。


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