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茹で栗をもらった

ついに私も流行病にかかってしまった。

一時39.6°まで上がった熱も、1日も経てば薬も飲まず平熱に下がり、案外平気だなと思っていた。
が、熱がきついとかよりも、シェアハウスの特性上、自分の部屋に1週間篭りきりになることの方がきつくて精神的に割とやられた。
籠ってる時は「1週間しっかりとした言い訳付きでゴロゴロできるわーい」な気持ちで、今まで履修してなかったワンピースを300話くらいまで読んだりして楽しい気持ちだったけど案外やられるもんだ…

部屋にこもってる間に祖母と電話したりして、会いたくなったりした。コロナが流行ってからおばあちゃんちに泊まりに行ったりしていなくて、一緒にご飯作ったり食べたり出かけたりしていたことが懐かしくて恋しい。

祖母はちゃんとした人なのでコロナが終息するまでは会えないと言っている。移しても怖いし仕方ないけど、元気なうちに会いたい。コロナの終息っていつなの?

風邪+1週間部屋に篭り切りで体力と気力を失った上におばあちゃんと話して会いたくなってしまった私は、無性におばあちゃんのご飯が食べたくて仕方なくなった。

「人の作ったご飯が食べたぁい妖怪」になった私は近所の「いこい」という喫茶店へ。

この港町で一番長くやっている喫茶店。品のいいマダムがお店を切り盛りしていて、私のお気に入りメニューはバタートーストセット。
これまた品のいい盛り付けのゆで卵の乗ったサラダに、デニッシュトースト、旬の果物、淹れたてのコーヒー。
全部すごく美味しくてほっとする味。
マダムのファンと思われるおじさんたちも足繁く通う人気店。
ここのサラダはうちのおばあちゃんが「今日はちょっとお洒落なサラダにしようかね」と作ってくれた時のサラダと似た味がする。

こうやっていつきても変わらず美味しいトーストセットとコーヒーを出してくれる場所って本当に尊いなーと感じた。

「お、日が照ってきたね」「ほんとやね」「そろそろ帰って洗濯しようかね」「今日から暫く晴れみたいよ」
おじさんがコーヒー一杯を飲む間に交わすマダムとの会話。このコーヒー一杯と少しの会話で元気を貰ってるお客さんが沢山いるんだろうなと思った。

帰り際にマダムに今日はやっぱり元気がないねぇと声をかけられた。
そんなに分かりやすいのか自分と反省していると、栗を5つ袋に詰めて「茹で栗やから、気をつけて包丁で割って、そのままスプーンで救って食べてね」と渡してくれた。
なんか嬉しくてちょっと泣いちゃいそうになった。
誰と食べようかな。

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