ボクはやっと認知症のことがわかった


これ、おもしろかった。

数年前、NHKのドキュメンタリーで長谷川教授を見かけた。たしか独占取材とかなんとかの特番だった気がする。気合を感じた。

自らも認知症になったことを公表し、研究を続ける認知症の専門医。

まだ年齢的に認知症にはなっていないけど、
ひいおばあちゃんが認知症だったよな、
だれだれのおじいさん認知症って言ってたよな、
私のおばあちゃんが認知症になったらどうしよう。
とよくわからないけれど身近なこととして、そしていつか来るかもしれないこととしてずっと私の中にそれはあった。
それを生涯かけて研究してきて、自分も認知症になってなおそれを研究に生かしている。
とても興味深かった。

一度特番で見ていたから知ってはいたんだけども、今回読んでみてやっぱり印象に残ったのは

「認知症の人は何も分からないわけではない。
急にあちら側の人になるのではない。
調子のいい時もあれば悪い時もある。
悪い時は「確かさ」が分からなくなる。
いい時は判断ができる。
いい時に認知症の自分の姿を思い出して傷ついたりする。」

というところ。

幼少期、病院にお見舞いに行った時に見たひいおばあちゃんの様子を見て、認知症になった人は何も分からなくなるんだと思っていたけど違うみたいだった。

「よく分からなくても悪口を言われたり軽く扱われたり尊厳を傷つけられていることは分かる。」

「認知症は生活のこと。脳だけで起こっている病というより生活のこと、生活の延長という解釈が正しい。生活がままならなくなる病。
症状の進行を緩めるには周りのサポートが大切。」

なるほど。
この本は喫茶店で読んだんだけど、お客さんやマスターは認知症介護の話や友達が認知症で入院した話をずっとしていた。本当に生活のことだよなぁと思ったし、介護している側の話を聞くとやっぱり簡単な話じゃない、とも思った。

長谷川さんは認知症になってみて逆に良かったのは毎日が新鮮に感じられるところだという。
明日できることは今日やる。
終わりを考えずただやってみる、取り掛かってみる、途中まででもいい、ひとまずやってみる。
そうすればほんの少しでもやりたいことに近づいたことになる。

認知症にいいことはいい睡眠、ごはん、適度な運動、映画や読書、自然、絵を描いたりアートに触れる、などなど。

結局人間にとっていいことは決まっているんだね〜

本書は長谷川さんの話したことを新聞記者の方がまとめてくれてできた本なんだけど、(長谷川さんが認知症で一人では難しいため)この編集の方もほんとすごいよなぁ。

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