タイトル4

北海道のB級アイスホッケーをみてみよう(4)ゲームシートとあなたの思い出

あの試合、なにがあった?
この試合、今どうなってる?

試合を振り返るとき/経過を知りたいとき、我々が頼りにするのが記録であり、速報。
社会人アイスホッケー(特に北海道の)はどこでそれを得られるか?という話と、観戦の記憶はどう残す?という話。

中継とか速報を期待してはいけない

野球やサッカーといった大人気&大正義スポーツと比べて、厳しい環境にあると言わざるを得ない日本のアイスホッケー。ですが、アジアリーグでは各チームがYouTube試合中継やSNSでの速報を行っています。

社会人ですか?映像中継はありません(泣

日本アイスホッケー連盟(総本部)の主催する全国大会ですと、試合速報があります。(注:北海道アイスホッケー連盟にこの機能はありません)

速報画面の例がこちら。(縦に非常に長いため分割しています)

画像5

大会、対戦カードの概要と、第1~3ピリオドの得点、総得点、試合経過(得点とペナルティ)、出場選手…といった情報があります。

ただ、このような速報を行っているのは総本部ぐらいで、人員に余裕のない北海道以下地方のアイスホッケー連盟では、試合速報を行いません(行えません)。
試合終了後に、公式記録を「ゲームシート」という形で提供します。これは総本部でも同じです。

上記の試合のゲームシートがこちら。

画像6

うわ、目がチカチカしてきた。後でかんたんな読み方を説明します。

ゲームシートの入手方法

ゲームシートは、各大会会場で、試合後に、印刷したものを配布していることがあります。
また、各主催連盟のホームページで、大会情報(大会結果)一覧から見たい大会を選択すると、PDFファイル形式のゲームシートをダウンロードできます。
(試合毎に掲載している場合も、大会全部をまとめて一つのファイルにしている場合もあります。)

全国大会→日本アイスホッケー連盟

北海道の全道大会→北海道アイスホッケー連盟
※ただし、J-Ice North Divisionは苫小牧(沼ノ端)開催分が苫小牧アイスホッケー連盟に掲載されるのを除き、原則としてゲームシートが公表されていません。

各地方の大会→その地方のアイスホッケー連盟
各地のアイスホッケー連盟はこちらをご参照くだだい。

ゲームシートの読み方

公式記録には当然、記録方法の手引きがありまして、それをご覧いただくのが一番間違いありません。

以下、日本アイスホッケー連盟の、「JIHF Game Sheet 簡易版 記録マニュアル」および「JIHF19 記録マニュアル」(2020.1現在)をもとに、簡単な読み方を掲載します。

マニュアルは改定されるものですから、最新版はこちらからご確認ください。

【簡易版】
北海道内の大会だとこの形式がほとんどです。
出場選手の背番号、氏名、ポジションを一読でき、
ゴールとペナルティを時系列で読むと、試合の流れをつかむことができます。

画像6

上:第3ピリオド残り23秒で同点、延長戦で決着がつかず、ペナルティショット・シュートアウトにまでもつれ込んだ試合の例。

【正式版】
簡易版と比べて、ゴールの詳細(数的有利/不利、ゴール時に氷上でプレーしていた選手)などが追加されています。
なお、ペナルティショット・シュートアウトを行った場合や表に書ききれない事項がある場合は裏面に記します。

画像5

ペナルティ一覧はこちらが参考になります。

別に読めなくてもいいのだ

このゲームシートは、試合を理解する有力な手がかり(特に北海道の社会人アイスホッケーでは唯一無二と言っていい手段)でありますが、完全読解できなくても構いません。必ず目を通すべきとも思いません。

自分が必要とする情報を読み取れれば、それでいいのだ。

勝ち負け、誰がゴール/アシストしたか分かれば十分なら、この程度の短文でもしっかり伝わります。

【第91回北海道アイスホッケー競技選手権大会(B級)】
11月23日 に札幌市の月寒体育館で行われたVS DYNAXとの試合は
2-1で勝利致しました。
詳細は下記の通りです。
_
G 岩槻 A 横山 末廣
G 阿部 A 村上 山口(航)
GK 山口連

一方で、そのゴールはどの位置からどんな軌道で入ったのか?選手(GK以外の)はいつ入れ替わった?ということは、ゲームシートを見ても分かりません。

風の速さでプレーが進み、切れ間なく攻守の入れ替わるアイスホッケーで、氷上のすべてを記録するのは極めて困難です。
試合を伝えるために必要な項目を吟味したものがゲームシート、そう捉えていただければと思います。

自分の感じたものを残そう

さて、この北海道B級アイスホッケーの世界、ゲームシート以外の結果情報は多くありません。
チームからの情報発信は大きな差があり、報道も競技そのものに加え社会人というカテゴリゆえに強くない。(地方紙はよく取材してくれている印象ですが、ネット記事有料のところが多いです。)
試合について語っている人もめったにいません…いません……(砂になる音)

それは、観た人が忘れてしまうと、「あのときのアレ、なんだっけ?」を取り戻すのが困難であることを意味します。

ゆえに私は提唱します。
何でもいいから、観たもの感じたものを残してほしい。

「なんかすごかった」でも、「このゴールのときの連携にしびれた」でも、「推しが尊かった」でも、もちろん「おもんねーわ」でもいい、その体験を大事にしてください、できれば、記録してください。
(つまらないものは残さないと思いますが…)

メモでも写真でも。
他人に見せなくてもいい。備忘録で構いません。
それは自分のため。でも、試合を観てきたよ!って感想を見つけると、選手や中の人はきっと喜びます。表には出さなくても。

【少々個人的な話】
私は、ここ4年ほど、Twitterで北海道内の社会人野球の実況めいたことを行っています。
なぜそんなことをしているか?……底抜けのあほなので、起こったことを帰宅する前に忘れてしまうのです。

野球だとこういう結果表示が一般的なのですが、誰が出場し、どんなプレーがあったかまでは記してくれません。だから、自分でメモする。(ざんねんながらスコアシートは書けません…)

画像5

個人的2019年ベストゲームの一つですが、これだけでは投手戦の末サヨナラ勝ちとしかわからない。9回裏にはこんな事が起きています。

そして昨冬から飛び込んだ社会人アイスホッケーも、やっぱり私があほなことがわかりました。しかも、J-Ice North Divisionは苫小牧開催以外ゲームシートが載らないという。
じゃあ自分で記録するしかあるまい、と試行錯誤しています。

自分が楽しかったー!と感じたことを、後からそうそう、あのときは楽しかったー!と振り返れるように。

たのしい!を強くするために

【話を戻そう】
自分語りが過ぎました。

試合の見方ってものに定めはありません。
アイスホッケーに限らず、どんなスポーツでも、運営と試合進行と他の観戦者を妨げない限り、楽しみ方は自由で豊かであっていい。

真剣に見てもあくびしながら観てもいい、帰路についた瞬間他の話題にシフトしてしばらく忘れちゃってもいい、ただ、あなたの感想は、あなたにしか生み出せないものだから、大切にしてほしい。

展開をよく覚えてないから、ルールや選手がよくわからないから、そんな理由でしまい込むのは、もったいない。
そのままふわっとした記憶でもよいですが、ルールを知ったり、出場選手やその経歴を調べたり、あの日観た試合を振り返ると、その競技はもうちょっと楽しく、思い出深くなるかもしれません。

そして、あなたがたのしい!を語るとき、強い記憶はきっと背中を押してくれることでしょう。

そうした意味で、この記事が社会人アイスホッケーをご覧になる方の一助となれば幸いです。