第54回全日本アイスホッケー選手権大会(B級)北海道予選会④ 釧路厚生社対苫小牧市役所
2019.12.22(日)釧路厚生社3-2苫小牧市役所
(1-0、0-0、2-2)
2019年12月に旭川市で行われた、社会人アイスホッケー、第54回全日本アイスホッケー選手権大会(B)北海道予選会の観戦記です。
経過とふんわりぼんやり雑感を綴ります。
これまでのあらすじ
全日本アイスホッケー選手権(B級)は、毎年3月に行われる、全国の社会人B級アイスホッケーチームの頂点を決めるトーナメント戦。優勝チームには全日本選手権(A級)の出場権が与えられます。
予選会出場は次の5チーム。
・日本製鉄室蘭アイスホッケー部(室蘭スティーラーズ)
・釧路厚生社アイスホッケーIHC
・タダノ
・苫小牧市役所アイスホッケー部
・DYNAX
試合は、5チームから1つをふるい落とす「敗者決定トーナメント」。
①~④の順に試合を行い、勝ったチームはその時点で本戦出場権が決定します。
これまでの3戦で日本製鉄室蘭、タダノ、DYNAXが代表権を獲得。残る一枠を釧路厚生社と苫小牧市役所で争うことになりました。
(試合詳細:第1試合 / 第2試合 / 第3試合)
午後からリンクを一般開放するので、朝9時にフェイスオフ!
第1ピリオド
GK:釧路厚生社 44伊藤優人 / 苫小牧市役所 70黒川達志
10:14 反則 釧路厚生社14松井渉 インターフェアランス
16:44 反則 釧路厚生社80村本公平 トリッピング
17:59 釧路厚生社ゴール(キルプレー中)
ゴール 14松井渉(アシストなし)
19:43 反則 苫小牧市役所7脇本真吾 ホールディング
シュート数:釧路厚生社14/苫小牧市役所17
釧路厚生社キルプレー中、FW松井渉選手が一対一に持ち込んで先制。
その直後、苫小牧市役所にも一対一の好機がありましたが、こちらは釧路厚生社GK伊藤優人選手が冷静に抑え込みました。
第2ピリオド
26:08 反則 釧路厚生社14松井渉 インターフェアランス
29:46 反則 苫小牧市役所29川島誠 フッキング
33:31 反則 釧路厚生社78畠山和弥 ホールディング
37:44 反則 釧路厚生社18工藤祐太 フッキング
38:42 反則 釧路厚生社80村本公平 ホールディング
38:42 反則 苫小牧市役所23大村彰吾 アンスポーツマンライク・コンダクト
シュート数:釧路厚生社10/苫小牧市役所13
第3ピリオド
41:06 釧路厚生社ゴール
ゴール 79田中孝太、アシスト13田川聖、21木戸啓太
45:39 釧路厚生社ゴール
ゴール 14松井渉、アシスト 79田中孝太
49:40 反則 釧路厚生社14松井渉トリッピング
57:50 苫小牧市役所タイムアウト、GKを下げ6人攻撃へ
58:19 苫小牧市役所ゴール(6人攻撃)
ゴール 22辻寛太/アシスト 25高橋一之
数的有利を生かして、ゴール前の攻防から押し込みに成功。
58:19 苫小牧市役所 GK70黒川達志 in
59:08 苫小牧市役所 GK out(6人攻撃へ)
59:57 苫小牧市役所ゴール(6人攻撃)
ゴール 18岩浅友孝、アシスト 12安藤理一郎、10荒谷周平
3Pシュート数:釧路厚生社18/苫小牧市役所17
合計シュート数:釧路厚生社41/苫小牧市役所47
残り3秒でゴール!しかし、ここで時間切れ。
苫小牧市役所が最後に意地を見せました。
ゆる雑感
元々、2日目までの観戦予定でした。万が一日本製鉄室蘭が二段落ちしたら最終日は日帰りでまた来よう、と。
そして、日本製鉄室蘭は初日で無事勝ち抜けたので、じゃあ最終日はいいかと思っていたのですが。
タダノ対苫小牧市役所を観て方針を変えました。苫小牧市役所と釧路厚生社とDYNAXのどれかが落ちる、これは大変なことだ…!
正直、最終日に残るのがタ(銃声)(ロードローラー)
苫小牧市役所は北海道B級の中でも相当に強いチームですが、地元での活動が中心であり、全国大会へ進出する機会はこの全日本選手権(B)予選のみ。
一方の釧路厚生社は、北海道B級の顔ともいえる強豪。釧路から大都市の大学へ飛び立ち里帰りした選手に加えて、アジアリーグ経験者も多く在籍しています。そんな彼らにとって、日本一は命題。
絶対に負けられない一戦。両チームの意地がバチバチに感じられる熱い試合でした。
試合展開は、釧路厚生社に一日の長があるように感じられました。
GK伊藤優人選手を中心とする守りは岩の如し。すぐパックを奪い、走り、絶え間なく苫小牧市役所ゴールへ襲いかかる。
特にFW松井渉選手(元アイスバックス)の軽やかな身のこなしは、さすが元アジアリーガーと唸らせるものがありました。
その中で身を張ってシュートを弾き続けたのが、苫小牧市役所GK・黒川達志選手。
黒川選手は守るだけじゃあありません。試合中常に声を張り上げて他の選手へ指示し、更には「がんばれ!」「いいシュートだ!」と鼓舞し続けている。
第3ピリオドはディフェンスが及ばず立て続けに失点するのですが、「ごめん気にするな!」と。なんて熱いんだ!
私の観戦歴は浅く、観たことのあるチームもごく僅かですが、こんなに喋り続けるゴーリーは初めてでした。
自陣をこんなに削るGKも初めてみたよ
黒川選手に鼓舞されてか、いや誰もが背水の陣、最後の試合と肝に銘じて刃を走らせる。釧路厚生社に圧されながら、抗い、残り2分10秒。
苫小牧市役所タイムアウトの、その直後!
ベンチが猛烈にやかましくなりました。
黒川選手が下がった…そう、苫小牧市役所の6人攻撃だ!
これまで手を焼いてきた釧路厚生社の守りを、6人でこじ開け、ついに1点を返し。
残り52秒から再びの6人攻撃。
釧路厚生社は防戦一方。そして、ついに2点目の赤ランプが灯る。
そのとき、残り3秒……!
最後のフェイスオフは、苫小牧市役所の6人がセンターライン上一列に並びました。
写真は動き出した後のものですが、釧路厚生社の陣形、通常のフェイスオフ(下)と比べると、違いがお分かりいただけるかと思います。
59:57に放たれたパックは空のネットへ向かうも逸れ、そこで試合終了のブザーが響き渡りました。
本当に最後の最後まで熱く、激しく、胸を打たれる試合。
全国大会は面白い。だけど最も熱いのは最終予選。
そして社会人が背負うものは、自分の世界だけではない。
社会人野球でよく耳にした言葉は、アイスホッケーにおいても同じなのだと実感しました。急遽来てよかった。
予選のすべてのチームの皆様、お疲れさまでした。
そして釧路厚生社、最後の代表権獲得おめでとうございます!
本当に厳しい三連戦だったと思います。お疲れさまでした!