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ホームタウン・室蘭

社会人野球・日本製鉄室蘭シャークスと、社会人アイスホッケー・日本製鉄室蘭スティーラーズのホームタウン、そして私の生まれ故郷である室蘭を、主観とあやしい自分語りを交えて紹介します。

北海道室蘭市のあらまし

室蘭市は北海道の南西部、内浦湾(噴火湾)の東端に位置する街。
太平洋に突き出した絵鞆半島とその付け根に市街地が広がり、近隣の市町村と合わせて室蘭都市圏を形成しています。
日本製鉄室蘭製鉄所と日本製鋼所室蘭製作所を中心とする鉄鋼業が主要産業です。

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室蘭市は、北海道においては温暖な地域にあります。
といっても、太平洋に面しているため、夏は霧が出ることが多く、気温が上がりません。小学校のプールは唇を紫にして泳いでいましたね。
冬は雪がほとんど積もらず気温も高め。ただし風が強いので、雪国とは違った寒さがあります。

スキーは不適、スケートも不適と、北海道なのにウインタースポーツが盛んではない室蘭。近年は屋内リンクでのスケート授業が取り入れられています。おや、この講師は…?

ミニマム企業城下町

絵鞆半島に抱かれ、天然の良港を持つ室蘭。
明治時代に北海道開拓が始まると、石炭の積み出し港として白羽の矢が立ち、鉄道が開通。
更に地元で砂鉄が採れたことから、製鋼所製鉄所が相次いで設立され、以後、北海道随一の重工業都市として発展してきました。

今も、日本製鉄室蘭製鉄所日本製鋼所室蘭製作所があり、たくさんの関連会社が軒を連ね、そこで働く人達が「鐵の街」を形作っています。

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日本製鉄室蘭製鉄所。室蘭港の大部分を工場群が占めています。

さて、室蘭はもとより面積の小さい街(約80平方km)ですが、更に平地が少なく、港湾部を工場が占めていたことから、市街地は絵鞆半島の沢沿いに形成され、東部の低湿地(蘭東地区)、その背後の高台(高平・八丁平)へと広がっていきました。

2019年9月現在の人口は83,287人、人口密度は1,030人/km2で札幌市に次ぎ全道2位。そこに、全盛期は18万人が暮らしていました。
室蘭は、狭い土地にぎゅっと熱気が詰め込まれた、ミニマム企業城下町といえます。

崖と海と砂の街

室蘭市は工業都市である一方、三方を海に囲まれ、奇岩絶壁が連なる景勝地の一面も持っています。
切り立った崖の先に白亜の灯台がそびえる、地球岬(チキウ岬)が有名ですね。

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上:新緑の映える5月の地球岬
下:チキウ岬灯台から見る外海の絶壁(灯台一般公開時に撮影)

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この外海の絶景は、多くの映画やドラマのロケ地になりました。
最近ですとこちら。

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ドラマ「相棒 season18」オープニングスペシャルのロケ地となったトッカリショ浜。地球岬から1キロほど離れたところにあります。
写真は大昔のガラケーで撮影したもの。現在、浜に降りることはできなくなっているとのことです。

そして、私の家の近くには、イタンキ浜がありました。
鳴り砂の浜辺と白い崖。手前に奇岩、遠くには噴火湾の対岸を望む、自由な海。

ここが私の原風景。

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イタンキ浜はかつて海水浴場がありましたが、波が荒く、2017年で遊泳禁止となりました。
今はサーフィンや散歩を楽しむ方が訪れる、閑静な浜です。

ところでちょっと思い出してほしい。ここはミニマム重工業都市・室蘭
この浜と製鉄所、実は崖一つしか隔てていないんです。
その距離、たった1キロ!

室蘭図

室蘭の街は、おおむねこのような構図になっています。
先に、「市街地は絵鞆半島の沢沿いに発展した」とお話ししました。坂を登りきった先は、すとんと外海に落ちる崖。

工業都市と表裏一体の佳景、これが室蘭の魅力です!

絵鞆半島の成り立ちや街の発展は、ブラタモリ室蘭回の解説が秀逸なのですが、足跡マップが公式サイトからなくなってしまいました。泣

鐵とともに生きてきた

ここからは、社会人スポーツのバックボーンとしての室蘭に焦点を当てます。中でも、室蘭シャークスの話が中心となりますことをご容赦ください。

室蘭は鉄鋼業と付随する第三次産業で発展した街ですので、自然と、製鉄所は街の象徴であり財産という認識が刷り込まれています。

一族郎党が鋼鉄業とは無縁であった私も、小学校の郷土学習や、街中に張り巡らされたスチームパイプや、コークスストーブ(昔の学校はこれだったんですよ…)を通じて、自分の住む街は製鉄に結びついていることを、ぼんやりと学び取りました。

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労働者の胃と心を満たすべく発展した文化・室蘭やきとり。これも鐵の街の財産といえましょう。

室蘭製鉄所は、かつて、存続の危機に瀕したことがありました。
新日本製鐵が合理化を進める中で、昭和末期から平成初期にかけて高炉休止案が浮上したのです。当時1基となっていた高炉を止めることは、製鉄所の死、ひいては街の死を意味します。
この高炉休止計画は1991年に回避したのですが、ほどなくバブル経済が崩壊。
更に徹底したコストダウンが進められ、1994年、新日本製鐵室蘭野球部は休部を言い渡されました。

その決定を受けてすぐ、市民有志ががクラブチーム「室蘭シャークス」を立ち上げます。
室蘭に残った選手を受け入れ、以後、四半世紀に渡り、北海道トップレベルのチームを維持してきました。

詳しくはこちらをご覧ください。

当時は全国で企業チームの廃部・休部が相次ぎました。
受け皿としてクラブチームを設立したところもありましたが、企業からの費用・練習時間・部員確保などのサポートが激減、あるいはなくなった状態で、それまでの戦力を維持するのは非常に厳しいことです。

では、なぜ室蘭はそれを可能としたか。
外的要因として、この頃、北海道内で覇を競った強豪が次々と斃れた(北海道自体が弱体化した)のはありますが…
新日本製鐵の関連会社が選手の支援に積極的であったことと、地元の関心が高かったことが、理由にあると思うのです。

それは、室蘭が鐵と共に生き延びた街だから。
悪く言えば、「それしかない」街であったから。

バブル崩壊からの長い不況の時代、人員整理による人口流出と不景気の影響は街全体に及びました。
寂れゆくすべてを止めることは叶わず、それでも室蘭で生きてきた人達が、野球部の後継チームの活躍、逆境に抗う姿に共感を得たことは、想像に難くありません。

室蘭の街を訪れたり、地元紙の報道を読むと、室蘭シャークス(野球)もスティーラーズ(アイスホッケー)も、雲の上のスポーツエリートではなく、隣人のヒーローとして受け入れられている、と感じることが多々あります。
社会人スポーツは、日常の延長にある。
それを色濃く感じられるのが室蘭の象徴、日本製鉄室蘭製鉄所のチームなのです。

良くも悪くも狭い街ってのは

私の親は鉄鋼業とは縁のない転勤族でした。
転居を重ねてきた中で、私が室蘭に住んでいたのは生まれた直後と小学生の間。今では札幌暮らしのほうがずっと長くなりました。

すなわち、ここまで私が述べ立ててきたことは、良い面しか見ていないか、偏愛を押し付けている可能性を否定できません。

狭い街というのは、良くも悪くもあります。
利点として強調される人の絆や温かみは、人によっては衆人環視の息苦しさにもなりましょう。殊に注目を浴びる立場ならば、市内で羽目を外すこともできない。

よそものが眺める限り、生活に必要な施設が密集していて、つましく暮らすには十分だと考えていますが、退屈な街と言われると反論は難しい。
(そういえば昔の企業スポーツは、従業員やその家族への娯楽提供の側面がありましたね。)

私は室蘭が大好きです。
愛してやまない土地、そこに住まう人々が、街を象徴する製鉄所のチームを応援している。私はそれに触れられることをこの上ない幸せに感じますが、他人にとって同じとは限りません。
選手達が、この街を本心ではどう捉えているかもわからない。
ただ、彼らが地域への感謝を口にするとき、私にはその言葉を疑う理由が何一つない。

夏には室蘭シャークスの応援幕も掲げてくれる大同電設さん。でもこちら、選手は一人も所属していません→2020年度にアイスホッケー部員が入社しました!

私が室蘭製鉄所のチームを応援する最大の動機は、郷土愛。
その中でも社会人を選んだのは、街に、鐵とともに生きる気風があるから。
彼らを応援するとき、遠く離れて久しい故郷の、その端っこに連なることができる気がするのです。

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海霧に包まれる球場。すごく室蘭らしい光景。

室蘭をもっと知ろう

ここまで胡乱な自分語りを綴ってきましたが、室蘭の魅力は、まっとうな人達がまっとうな紹介・応援コンテンツを用意しているので、それをご覧いただくのがよいことでしょう。

・公式が最大手

観光名所・ご当地グルメや室蘭市へのアクセスは、市の公式観光情報サイト「おっと!むろらんがよくできているので、こちらをご参照ください。

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室蘭市PR動画もあわせてどうぞ!

12分も見てらんねーよ、という方にはダイジェスト版もあります。

・絶景と工場夜景

奇岩と絶壁が織りなす力強い景観の他に、近年は工場夜景も人気を博しています。夜景観光クルーズや、撮影スポット巡りバスが運行されるほど。

・撮りフェス

室蘭を舞台とする24時間滞在型フォトコンテスト。
室蘭に足を運んだことがない方でも、工業都市と大自然が表裏一体、そして人のくらしが密に詰まった街の魅力に触れることができます。
ぜひ、ご覧ください!

・室蘭のうまいもの

【室蘭やきとり】
豚肉とタマネギの串を甘じょっぱいタレで焼き上げ、洋からしをつけていただく伝統のB級グルメ。

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【カレーラーメン】
とろみのあるカレースープと縮れ麺。
なぜそれが室蘭(と苫小牧)で定着したのかはよく分かりませんが、濃い味が好きそうなのはわかる。

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・室蘭へのアクセス

室蘭には、JR室蘭本線、道央自動車道、室蘭フェリーターミナルがあり、公共交通機関の場合はJR東室蘭駅道南バス東町ターミナルが玄関口となります。

【JRを利用】
東室蘭駅には、特急すずらん(札幌~東室蘭/室蘭)・特急スーパー北斗(札幌~新函館北斗~函館)が停車します。
新千歳空港からお越しの場合は南千歳、本州から新幹線でお越しの場合は新函館北斗から乗継となります。

札幌から特急すずらんを利用する場合に限り、「乗車券往復割引きっぷ」と組合せて特急自由席に安く乗れる「すずらんオプション特急券」があり、これを使用すると札幌~東室蘭間を5,230円で往復できます。(有効期限あり・2020年1月現在)

【高速バスを利用】
札幌から室蘭へは道南バス・中央バスが運行する都市間高速バス「高速白鳥号・高速室蘭号」、
新千歳空港から室蘭へは道南バスが運行する「高速はやぶさ号」があります。
JRと比べて1時間ほど長くかかりますが、運行本数が多く安く移動することができます。また、登別駅前から室蘭フェリーターミナルまでの間、停留所が多いのも利点です。

・札幌から室蘭へ「高速白鳥号・室蘭号

・新千歳空港から室蘭へ「高速はやぶさ号

札幌~室蘭間の高速白鳥号・高速室蘭号は乗車券と停留所が共通なので、運行会社を気にせず乗ることができます。

【道央自動車道を利用】
市街地は室蘭登別インターチェンジが最寄りとなります。

【フェリーを利用】
2018年から室蘭のフェリー航路が復活しました。
室蘭と青森県八戸市を結びます。

ぜひ、室蘭に来てみてくださいね!