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「川マップ」を作ろう!| 思いを繋ぐおせっかいのバトンリレー

Community Nurse Company 株式会社の本社・拠点がある島根県雲南市。
雲南市では「元気になるおせっかい」を広げたいとの思いから、既にコミュニティナース的存在として活動しているまちの人を巻き込み、一緒に成果を出していきましょうとチームで動き出しています。医療職にこだわらず、お互いの強みを出し合いながら全力で議論する「地域おせっかい会議」から生まれるアクションとまちの人とのストーリーを「思いを繋ぐおせっかいのバトンリレー」として連載を始めます。

大人も子どもも泳げる雲南の川を探して…

中山間地域である雲南市は自然豊かな土地です。その自然を生かしてたくさん遊べる場所があるはずと、結婚を機に雲南市に移住した冨田さんも思っていました。しかし幼少期から大の川遊び通の冨田さん。理想とする川との出会いになかなか恵まれません。そんな時に知り合いから誘われた地域おせっかい会議で、「遊べる川情報」を募ってみることに。すると自分で楽しむ範囲でいいと思っていた「好き」が、仲間とみんなの楽しみに広がっていきました。小さな一歩でその流れを作った、冨田さんにお話を聞きました。

冨田 藍(とみた・あい)/雲南市大東町住民・一児の母

--まず冨田さんが「川マップ」を作りたいと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

 私は2018年の夏に雲南市大東町に越してくるまで京都府で生まれ育ちました。小さい頃からよく家族と一緒に、賀茂川上流に遊びに行っていたんです。その頃の川遊びが楽しくて、大学生になると自ら賀茂川上流まで自転車で通うまでになりました。
 川遊びが好きな理由は、海だとクラゲがいたり体がベタつくのが嫌だけど、川だと岩があって飛び込めるし魚もいて泳ぐのも楽しいから。なので私にとっての川遊びは「泳ぐこと」がメインなんです。なので雲南に移住してからも普段から「泳げる川ないかな」という目線で探していました。しかしここで見かけた川の多くは水深が浅かったり、深くても川底が苔や藻に覆われていたり水が濁っていたりと、正直「泳ぎたい」と思える川が少なくて…
 なので時間はかかっても一人でこつこつ泳げそうな川を探していこうか、と思っていた所に、知り合いだった高木さん(NALU助産院)から地域おせっかい会議を紹介してもらいました。そこで遊べる川情報を皆さんからも募ってみたら、と勧めてもらい、会議の議題として発表したのがきっかけです。

--会議に参加していかがでしたか?

 正直「あ、結構自分で動かなあかんねんな」と思いました。(笑)
実は最初会議に対してどこかで、市役所の困り事対応みたいに相談したらあとは自動的にことが進んでいく、みたいなイメージを持っていたんです。けれど「大人も子どもも遊べる雲南の川の発掘をしたい」という議題で意見を募ると、「川に詳しい人を紹介するから話を聞きに行ってみては?」と参加者さんのお知り合いを紹介してもらえたり、情報共有の方法などのアイデアが出たり。また話すうちに川マップのイメージが具体的になったりしました。
 それまでは集まった川遊び情報はグーグルマップに位置情報をメモするくらいで、自分が分かればそれでいいかなと思っていました。しかし自然遊びをはじめとして川にも興味ある人が意外と多かったので、それならみんなで川遊びスポット情報や川に入るための駐車場、階段の有無などを共有出来る仕組みを作ろう、と思いました。それからゆくゆくはみんなで川の清掃をしたり、新たに川遊び場をつくれたらいいなあ、という夢も膨らんでいきました。

--「自分で動くこと」が当初のイメージと違ったということでしたが、会議の後「川マップ作り」はどのように進めていかれたんですか?

 まずは会議で紹介してもらった川名人にお話を聞きに行きました。その方は渓流釣りのプロみたいな方で、自然で遊ぶうえでの注意点などを教えてくれました。クマや蜂や肌がかぶれる草の情報などまさに地元の人ならではの視点で、私が有力地と目をつけていた川のクマの目撃情報なども教えてもらい、とても助かりました。
 それから有志で川の視察に掛合町に行きました。その道すがら鍋山の交流センターにも立ち寄り、ちょうど交流センターの方で川遊びに熱い思い入れのある方がいらっしゃったので意見交換も行いました。

また、会議に参加した際に思った以上に川遊びに共感してくださる方がおられたので、継続して遊べる川情報のやりとりができるよう、SNSを活用した情報共有のグループを10月5日に開設しました。そこにはたまたまイラストの得意な方がおられたので、川遊び情報のさらなる募集とグループへの参加も呼びかけるためのチラシ作成という、会議で出たアイデアの実現にもつなげていくことができました。チラシは11月2日に完成し、「みんなのお家」や木次子育て支援センター、掛合交流センターにも掲示してもらいました。

--すごく沢山、それもスピーディーに動かれている印象があります!それには何が理由だったと思いますか?

 やはり地域おせっかい会議に参加して川遊びに共感してくれる仲間ができたことが大きいと思います。それまで一人でもやもやしていたけど、仲間と一緒になら川の視察に行くなど一歩を踏み出せたんです。それまでだと気になっている川はあっても、小さい子を連れていたり人目が気になったりで、どうしても川べりまで降りて確認などできなくて。そもそも川で泳ぐ人を見かけないので、雲南の川で泳いでいいかさえも不安だったんです。けどみんなとだったら、今後「川で泳ぐ」を雲南でも当たり前にできるわ、と思っています。
 なんか自分でも「知らない間に色々進んだな」と感じるんです。とはいえ実際は自分が動いているのですが。普段は前に出るタイプではないから、SNSのグループを作った時には「私が中心になってこんなものできちゃった…」と思いました。嬉しいような、ちょっと恐れ多いような。けど私は川が見つかるならそれで幸せ。だから楽しいんです。
 なので私にとって地域おせっかい会議とは「自分じゃ絶対にしないことを、気がついたらさせてくれる所」なんです。


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 「もともと一人でも川遊び情報を集めていこうと思っていた」そう語る冨田さんですが、喜びを分かち合える仲間ができたことを語る様子が、すごく嬉しそうだったのが印象的です。冬は休止していた川視察も春になったら再開していくそうで、今後は地域自主組織等で開催されている川遊びイベントなどとも協力し合えたら、と話してくださいました。
 「今年の夏には見つけた川にみんなで泳ぎに行きたいですね。そうしたらみんなもう、その川では泳げるんだって知ってもらえると思うし」
 冨田さんの「川が好き」から生まれた「喜びをシェアするおせっかい」は、さらなる共感と協力を得て豊かな流れになっていくことを予感させています。

ライター 平井ゆか

まちの中で、心と身体の健康を願って活動している人を私たちは「コミュニティナース」と呼んでいます。
誰かを喜ばせたい、元気にしたいと願うあなたの思いと行動の第一歩として、全国のコミュニティナースが集うオンラインコミュニティ「コミュニティナース研究所」へご参加ください。
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