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不信感で職務を果たす/串団子おじいさん-7/24/23

腹が減っては戦がなんとか


ここ2日は美術館の見回りのバイトをしていました。
今回のバイト現場が都内の比較的グルメに溢れた場所だったので、労働への褒美という名目で食事に耽りました。

丸亀の鬼おろし肉ぶっかけ+かき揚げ
ちょっと美味すぎるなこれ
TOMCAT BAKERYのパン。
実物写真はないんだけど全体的にクオリティが高すぎた。特にメロンパンがすごい
駅のはずれで期間限定出店してた串団子。これテイクアウトしたやつ 明日食べます。

別にそんな耽ったといえるほどではないか。
ただ2日間で食事代に2400円、明日の俺へのお土産に1600円分も買ってしまった。エンゲル係数とカロリーがカンストしそうな勢いだよこれ。
13:00以降何も食べないことによってなんとかスリム体型を維持している。

串団子屋のおじいさん

串団子屋さんでは少し面白いことがあった。
駅のよくある出店という形態で店を構えている串団子屋さんで、私は「あんこ」「抹茶」「ごま」の3つを注文し、店主のおじいさんが陳列ケースからプラパックに詰め込んでくれた。ここで少しハプニングが起こる。
3つの串を入れ終えて輪ゴムで蓋を固定しようという段階でおじいさんが手を滑らせてしまい、画像のように餡がべちゃついてしまった。

「ああっ…」

力なくそう漏らすおじいさんに少し同情し、「ぜんぜんこのままで大丈夫ですよ、頂きますね」と伝え商品を受け取ろうとしたのだが、「いや、いや」と言ってまた新しく陳列ケースから串を取り出し、パッキングを試み始めた。
全然いいのにな、でもお店の人からすると出せないかあとか考えながら、ケースの上に一旦置かれた、少しだけ餡がべちゃついた串団子を眺めていると、「お待ちどうさまねえ、はいこれ」とおじいさんは今度こそきれいに揃ってプラ容器に入った3本の串を手渡ししてくれた。

その3本は「抹茶」「ごま」「みたらし」だった。

「おーん…」

えーと、みたらしは頼んでないですね、と伝えると差し出した串団子たちをぼんやりと見つめてそう呟いていた。もう私は、これ以上おじいさんを傷つけたくなかった、もうなんでもいいから。すると、ばっと顔を上げ、唐突にケースの上のべちゃついた串団子と今しがた私に差し出した誤って入れた串団子をプラスチックバッグに詰め込み、

「…これでどうだ!?」

と半ば自暴自棄にでもなったように叫びながらそれを渡してきた。なんかもう、私にこれを拒むことなどできるはずもなかったので、いやいや~そんな、払わせてください、ととりあえず宣って相手からの逆拒否を確認し、ありがたくいただくことにした。一連の流れがピューと吹くジャガーっぽかったな。

おじいさん…すごく愛おしかった。ちなみに今日でその出店が最終日だったらしい。もっと早くから行けばよかったな。

おーい、ちょっと待ってくれよ(笑)

マツケンサンバの再流行を受けた松平健のコメントが良かった。

「おーい、ちょっと待ってくれよ」って感じかな

て。時代が滲んだコメントだな~。しゃらくさい。
「ちょっと待ってほしい感じ」という言葉自体に中身はないんだけど、しかし松平健のおおらかさや、泰然とした感じがひしひしと伝わってくる。一抹の気恥ずかしさは感じつつも、やはり大御所の余裕に満ち溢れた上での「おーい」なんだろう。

俺も使える場面があったら積極的につかいたい。

「最近のガーディアン君、なんかカッコよくなったって女子たちが色めいてるよ」
「へー。まあ『おーい(笑)ちょっと待ってくれよ』って感じかな。」

悪くないな…。

「不信感」という職務を果たす

冒頭でも述べた通り、昨日今日と美術館の見回りをしていた。
そこでは作品に触れようとしていないか、撮影禁止エリアで撮影をしていないか、来館者の監視を行うことになっている。
そのため、不審な動きをしたと思ったらとことん見つめなければいけないし、人が少ないときにはその視線を個人に集中させなければならない。

そんな振る舞いをしてばかりだと、当然、来館者から怪訝な顔で見られることもしばしばだ。本当に悪事を働こうとする人なんか、ごく一部なんだから
。私としてはこれが仕事だから仕方ないよねってスタンスなんだけど、変な仕事だと思う。

私は、来館者に「見てるからな」と暗黙のプレッシャーを掛けることで、空間に緊張感を持たせる。来館者は「なんで謂れのない嫌疑をかけられなければならんのだ、、まあ不審な行動は避けるか」と若干の不満を覚える。こうして、やんわりと嫌われることで私は職務を達成する。盗人を捕まえるのは警備の仕事であり、見回りの渡しができるのはそこまでなんだ。

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