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ザ。雑感の記述について-3/3/24

『チ。-地球の運動について- 』を一気に読んで、それはもうすごい気持ちになった。もっとこの作者の話が見たい!!と強く思ってそのあと作者魚豊さんの後作の『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』も間髪入れずに読破して、その温度差に面喰ったりもした。

ほんの思い付きで、移動時間の暇つぶしで読み始めた『チ。』だったがまさかこんなに熱く心を揺さぶられるとは思わなかった。最近何かとネガティブ思考になっていたが、かなり勇気づけられた。
これはもうこの気持ちを具体化してより強固なものとするほかない。

まず第一に思ったのが、この漫画は極めて「アツく、そして冷たい」ということだ。登場人物たちが己が地を、血を、知を追い求めて希望を決して手放さない姿はめっちゃアツく、読者に感動をもたらす。ただそれと同時に、希望を捨て去ることのない者たちに、極めて冷酷な弾圧の手が立ちはだかる。率直に言ってしまうと、彼らは希望を抱きながら、しかし潔く命を投げ捨てる。作中の時間も15年とか普通に飛ぶ。
一貫して描かれるのは、空の神秘(やそれに付随する諸々)に魅せられたものたちの精神的な継承と、肉体的な死だ。アンビバレンスとそこから滲む狂気。ここに魅力の源泉の1つがあるんじゃないかと思う。

登場人物たちのほとんどが「世界のため」や「誰かのため」という行動原理で動かない。「タウマゼイン」というある種の本能的な欲求に従いながら、あらゆるものを置き去りにして突き進んでいく。時に、美しく、ときに危なげに。

「それは、ただの思い込みかもしれない。1人のちっぽけな妄想で世界は変わらない。だが、世界の視え方は大きく変わる!」

(こんな感じのこと誰かが言ってた気がする)

自らの死をも矮小化させてしまう、知性。これは世界を変えるための究極的なエゴを描く物語とも言えるかもしれない。

以上、マクロ的な視点から見た雑感!


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