家族を失った

大分気持ちも落ち着いたので記事を書いておこうと思う。
 父が11月末に死んだ。大動脈解離でゴルフの出先で突然倒れたらしい。その日から目まぐるしく時が過ぎたので、数週間たっても未だに玄関から帰ってくるのではないかと錯覚する。彼が生きている間は面倒な親父だと感じることも多かったが、いざ居なくなると喪失感が酷い。母は取り繕っているが心に空いた穴は長い事ふさがる気配を感じない。ストレスからくる身体的異常が常にみられている。
 自分の二十歳の誕生月に父親を亡くすとは思ってもいなかった。このまま歳を取ってから分かり合える話もあるのではないかと頻りに思う。彼は自由主義な性格であったと思うし、彼によく似て育っているといわれ続けてきたから、今後の人生も彼を指標にしていけるものだと感じていた。58という、若くして失われた命は、天国でもうまくやっていることだろう。
 親を亡くすという経験は、よっぽどのことがない限り生きている中で2回しか起こり得ない。その一度目を先月経験した。もっと心の準備ができる状態で(例えば老衰で危篤など)そういった経験に巡り合うものだと思っていたから、心の整理ができていない。兄と母が基本的な相続や事務手続きを行っているので、彼らよりも親父の死を実感するのは早かったと思う。
 急にいなくなられると、「ああしたかった」「こうすればよかった」というのがないもので、葬式で流した涙はもらい泣きだったと思う。実際何も考えていられなかった。死に目に会っていたら何か違ったのだろうか。彼は死に際に何を考えたのだろうか。家族が思い浮かんでいたらいいな。どこかでまた会えたらうれしい。元気で。

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