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「チームSasaDGs(ササディージーズ)!」②| 思いを繋ぐおせっかいのバトンリレー

Community Nurse Company 株式会社の本社・拠点がある島根県雲南市。
雲南市では「元気になるおせっかい」を広げたいとの思いから、既にコミュニティナース的存在として活動しているまちの人を巻き込み、一緒に成果を出していきましょうとチームで動き出しています。医療職にこだわらず、お互いの強みを出し合いながら全力で議論する「地域おせっかい会議」から生まれるアクションとまちの人とのストーリーを「思いを繋ぐおせっかいのバトンリレー」として連載を始めます。

「森の水族館」で、コロナ禍でも夏の楽しい思い出作り

みんなのおうちには、毎日色々な人が出入りしています。その中には、コミュニティナースに興味のある大学生もいました。そんな彼らが、自分たちも地域の中で、誰かの元気を楽しく応援できる方法はないだろうかと考えたところ、雲南には笹や竹が多く存在し、その管理に困っている人がいる一方で、笹巻きをはじめとする笹や竹にまつわる文化が色濃く残っていることに気づきます。
これを活用し、子どもからご年配の方までがつながり、笑顔になれるような多世代交流の場を作れないだろうか、と活動を始めたのが「SasaDGs(ササディージーズ)」というプロジェクトです。
今回は9月に行われた「森の水族館をつくろう」イベントについて、メンバーである進木富貴さんにお話を聴きました。

・進木富貴(しんのき・ふき) 島根県立大学看護栄養学部看護学科3年

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−−まずこの「森の水族館をつくろう」はどのようなイベントですか?

このイベントは、新型コロナ感染予防から夏のイベントの多くが中止になってしまった子どもたちに、夏らしい思い出を作ってあげたいという思いで、保育学生さんと協力して作ったイベントです。
「人は密になれないけど、魚は密になれる!」をテーマに、海のない雲南市に、本来なら夏休みのお出かけ先候補にも上がるであろう水族館を、みんなで作ろう!という思いが込められています。
感染予防のため、魚を作るイベントを小規模に、複数回開催することで、離れてはいるけれど何か大きなことをみんなで一つ完成させよう!ということを目指しました。

−−イベントでは当日どのようなことを行ったのですか?

このイベントは、合計で3日間に渡って開催しました。

1回目は、保育学生の子たちが持ってきてくれた絵具を使って、色水を醤油差しに入れて用意し、子どもたちが真っ白な画用紙に思い思いの模様を付け、それを自分の好きな海の生き物の形に切り取りました。

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2回目は、竹水鉄砲を名人に教えてもらいながらみんなで作りました。竹水鉄砲の中に色水を入れて、シロナガスクジラの形に切った大きな白い布に向かって発射するための下準備です。

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3回目は、シロナガスクジラへの色水発射の他にも、竹竿でプールから吊り上げた魚を部屋いっぱいに飾り付けたり、お気に入りのお魚でモビールを作りました。モビールに飾り付けることで、ゆらゆら魚が泳いでいるようでした。

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各回のイベントで作られた魚のほか、地域の折り紙名人のおばあちゃんが追ってくれた折り紙の魚や、地域の人に協力してもらいながら切って顔を書いた魚も、みんなで部屋いっぱいに魚を飾り付けました。その数は200匹にも及び、とってもステキな水族館が出来上がりました。

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−−盛りだくさんの内容でしたね。参加された方の反応はいかがでしたか?

来てくれた子どもたちが嬉しそうにしてくれたのが印象的でした。今の子ども達は竹水鉄砲を作ること自体なかなか経験できないので、竹をつかった昔の遊びを身近なものに感じてもらえたんじゃないかなと思います。イベント自体は8月から9月末にかけての開催でしたが、子ども達に今年の夏もいい思い出を作ってもらえたようで嬉しかったです。
また多世代交流の観点では、2回目のイベントに来ていただいた竹水鉄砲づくりの名人に、3回目のイベントにも再度来てもらいました。名人の方にも「竹水鉄砲作りのお手伝いをして、面白かったです!自分の知っていることを教えてあげて、それで喜んでもらう様子が見れて嬉しかったです。」と言っていただけて私たちも嬉しかったです。
その他にも、イベントには大学生の友達もたくさん来て子供達と遊んでくれていたので、お母さん達も少しでも息抜きになっていればいいなと思っています。

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−−たくさんの人が関わってくれたのですね。準備もとても入念に行われたのだと思いますが、どんなサポートやおせっかいがあったのでしょうか?

実はイベントで色付けをしたシロナガスクジラは二頭いて、その大きな布を庭の木などを使って張り出しておくときや、当日水鉄砲に使う食紅が足らなくなったときに、参加者として来ていた地域おせっかい会議のメンバーの方々が買い足しに行ってくれました。
また、魚釣り遊びで使用する魚も、折り紙を得意とする地域のお母さんたちにつくっていただけて、イベントを通じて「得意」を持ち寄って活かし合えている実感を感じました。
準備にも当日にも、たくさんの方からの協力があってこそ実施できたので、力不足も感じますがとにかくありがたい気持ちでいっぱいです。

−−「森の水族館をつくろう」イベント実施を通じて、印象深い学びはなんでしたか?

まずイベントの打ち合わせの段階から、teamTENT.(「チームテント」雲南市の取り組みに頻繁に協力してくれる、東京と奥出雲の建築士からなるグループ)の方に関わってもらえて、イベントやミーティングの進め方も見て学ばせてもらいました。
そこでシロナガスクジラに色をつけたり、魚の展示も壁に貼ったりモビールにするなど、SasaDGsメンバーだけでは思いつかないアイデアが出て、改めて多様な人が関わることの価値を感じました。
中でも一番印象に残っているのが「ストーリーマップ」というイメージ図です。竹水鉄砲づくりや竹竿作り、展示の各企画がどのように進み、最後イベント全体ではこういう風になりますよ、というフィナーレまでの流れを共有し、今必要なことが見えるようになっています。多くの人に関わってもらううえで、全体の進行がパッと見て分かるとすごく助かるなあと感じました。

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−−今回のようなたくさんの人が関わるイベントをするために、そういった工夫があったのですね。ところでこのイベントをするにあたり、地域おせっかい会議はどんなサポートができたのでしょうか?

地域おせっかい会議に参加した時に感じたのは、とにかく色んな人が集まっているなということです。職種、年齢もバラバラで、考え方や価値観も違うので、一つの話題にも色んな角度から意見が出るから、おせっかいが成功しやすくなるんだなと。あと学校のグループワークよりも活発に意見が出るから、すごいなあと思いました。(笑) 
そんな地域おせっかい会議メンバーの人たちに助けてもらえたからこそ、「森の水族館をつくろう」イベントもできたのかもしれないです。

−−ちなみに、どうしてそんなに力を貸してもらえたのだと思いますか?

うーん。それはきっと、私たちのSasaDGsの活動に対してというよりも、これまで地域おせっかい会議のメンバーの皆さんや地域の方がお互いに協力し合う文化を培ってこられ、そうした信頼関係の恩恵を私たちは受けられたんだと思います。
「協力してくださったこと一つ一つに対して感謝をしめす」。これまでそのようにしてくださっているからこそ、今回私たちもお力を借りれたのだから、これからは自分たちでも感謝を伝えていこうと、先日の打ち合わせでも話していました。

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−−今後「SasaDGs」ではどのような活動をしていきたいですか?

「森の水族館をつくろう」のような会場に来てもらうイベントの他にも、10月のハロウィンイベントで実施したような訪問型の活動も関心があります。「みんなのお家」に行きたくても来れなかった人がいたと知り、そこへ訪問出来たことはとても大きいと感じています。なので今後は自分たちが地域に出向いていくことも考えていきたいです。

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今回お話を聴いた進木さんは、地域で家族以外にも親身になってくれる第三者の存在をどう増やしていくかに関心があり、コミュニティナースに興味を持ったと言います。そんな彼女が学び取った「たくさんの人の力を借りる秘訣」は、そのまま地域の中のよいおせっかい人を増やす秘訣ではないかと思います。
「実は人見知り」そう話す進木さんですが、今後もSasaDGsのイベントや地域の中で、彼女の明るい声が聞こえる機会が広がることを予感させました。

ライター 平井ゆか

まちの中で、心と身体の健康を願って活動している人を私たちは「コミュニティナース」と呼んでいます。
誰かを喜ばせたい、元気にしたいと願うあなたの思いと行動の第一歩として、全国のコミュニティナースが集うオンラインコミュニティ「コミュニティナース研究所」へご参加ください。
https://cn-laboratory.com/join


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