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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(#148)

三島由紀夫。
『金閣寺』という著作が有名で、少し前にはNHK 100分 de 名著でも取り上げられた。

NHK 100分 de 名著 三島由紀夫『金閣寺』 2021年5月 (NHK100分de名著)

その三島由紀夫が東京大学の全学共闘会議、略して「東大全共闘」と討論した記録。
Twitterで流れてきて存在を知ったので、さっそく観てみた。

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実

稀代のスーパースター三島由紀夫と
反逆のエリート東大全共闘のスリリングな直接対決
伝説の討論会の全貌を明かす 衝撃のドキュメンタリー!

1969年5月13日、 1000人を超える学生たちが待ち受ける
東大駒場キャンパス900番教室に、 ただならぬオーラを放つ文豪・三島由紀夫が現れる。
東大全共闘が、思想も立場も正反対の三島を討論会に招いたのだ。
いったい何のために? 午後2時5分、伝説の幕が開ける──。

今から約50年前の記録

この対談が行われたのは1969年、昭和44年。
「サザエさん」のテレビ放映が始まった年。
こう言えば、だいぶ昔に感じるだろうか。

わたしはまだ生まれていない。
それ以前に、親が結婚すらしていないかもしれない。

「討論ができる」ということ

当時の時代背景がわからないので、適当なことを書いてしまっていたら申し訳ない。
また、今の日本社会についても私見ばかりでエビデンスはない。
その点はご了承頂きたい。
この討論会を鑑賞した感想を、率直に書かせてもらう。


討論会は三島由紀夫が東大全共闘に招かれるところから始まる。

三島由紀夫 VS 東大全共闘約1000人

東大全共闘の年齢層がはっきりわからないが、浪人や留年を考えても18〜25歳くらいの若者だろう。
三島由紀夫は40代半ば。

第二次世界大戦が終わったのが1945年。
三島由紀夫は戦争を目撃・体験した世代で、東大全共闘の世代はほぼ戦後に生まれた世代だろう。

もちろん、三島由紀夫は右派で東大全共闘は左派という、理念の違いは存在する。

だが、お互いに理念は違えど同じ土俵(言語?ツール?共通の社会認識?なんと言っていいかわからない。)の上で意見を交わし合う。
当時は学生運動が盛んだった時代で今とは全く時代背景が異なるとはいえ、このような討論自体が全く実感湧かなかった。

国や社会のあり方について、これだけ年齢の離れた者同士が「対等に討論できている」という事実に驚かざるを得ない。

50年しか経ってないというべきか、50年も経ったというべきか。
約50年の月日を経て、日本社会全体が大きく様変わりしていることは間違いなさそうだ。

今の日本は少子高齢化(もうとっくに手遅れだが)が進み、年金や介護などの社会保障制度の問題が山積み。
高齢者が増え、現役世代が減少し、子供も減り、国は衰退へまっしぐら。

このような時代であっても、
「未来の国のあり方」
について若い世代と40半ばのバリバリ現役世代で討論ができるだろうか。

「討論会」が開かれたとしても、恐らく「若者に説明する場」としてしか存在し得ないのではないだろうか。

これは、今の若者が悪いと言っている訳ではない。
今の若者どころか、わたしが学生であった10年以上前から若者は変わらない。
もしかすると今の若者の方が賢いくらいだ。

そもそも、バリバリの現役世代ですらあまり社会のことに関心がない人が多い。
関心がある層は限られている。
自分の親の介護の話にはなっても、国のあり方について話すことなどほとんどない。

社会情勢に対して一定の知識があり、それぞれの考えを持ち、1つのテーマでもって「今後のあり方」について討論できる
ような土壌が、自分も含め周りにもない。

「三島由紀夫・東大全共闘」と一般人を同等に語るのは極端だが、この討論会を観るとなぜだか羨ましく思えてしまった。

もちろん、自分たちも「勝手な持論」を展開することはできる。
「もうどうせ年金貰えないから制度廃止してもいいんじゃない?」
そんな思い付きの意見を、なんとなく言い合うことはできる。

だが、その結論までの論理立てや理由、今までの背景などを整理できて、
「理想の国のあり方は異なれど、お互いの意見を交換し合うこと」
自体がもう無理なのではないだろうか。

日本社会全体が無知になったのか。
日本社会が複雑になったのか。
教育の失敗なのか。
単なる、大人の怠慢なのか。
グローバル化により国の存在意義が薄れているのか。
理由はわからない。

最後に

この対談は、Amazon primeで鑑賞した。
Amazon prime会員の方は無料で観れるので、この記事を読んだ後、特に若い方は是非観て頂きたい。

話の内容がわからなくても(わたしも理解できていない)、一本通して映像を観るだけでもなにか感じるものはあるはずだ。

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