アニメ『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』感想【コミカライズ既読】
夏アニメが2話まで放送されているような時期になってしまいましたが、春アニメ・ひげひろの感想を書こうと思います。
尺が足りない……
1クールで原作全巻の内容を描き切るという制限の中で、最善が尽くされた作品だとは思いましたが、やはりもう少し尺が欲しかったです。
(1年前、『イエスタデイをうたって』の感想執筆時にも同じようなことを書きましたが…。)
2クールとは言いませんが、せめて劇場版や完結編のOVAなどを作る予算があったら、もっと良かったのになあ…と思ってしまいます。
最後までストーリーを描き切ることに重きが置かれていたので(もちろんとても大切なことです)、特に登場人物の背景について、掘り下げる場面が少なかったなという印象を受けました。
例えば、矢口。
アニメでは、沙優を拾った際7股をしていたエピソードがカットされていました。
このエピソードがカットされたことで、改心後のいい人の印象がより強く視聴者に残ってしまったのではないかなと感じています。
原作よりクズ度が下がってしまっていますよね。
また、蒼先輩が同僚になるエピソードや、後藤さんが家出少女だったエピソードも、アニメではばっさりカットされています。
私はコミカライズ単行本勢で原作小説未読なので、上記はネットのネタバレ情報ですが…(良くない)。
そして、三島。
原作では、当初わざと仕事ができないふりをしていたことが描写されているのですが、アニメではその三島の行動を掘り下げていないように感じました。
「本当はできるのに、あえて仕事をやらない。手を抜く」という三島の行動が個人的には心底無理で、あまり好きなキャラクターではありませんでした。
ただアニメでは上記の行動がはっきりと描かれていないため、私の中で割といい印象のキャラに変化しました。
原作のエピソードのカットがうまくいい方向に動いた、稀有なキャラかもしれません笑。
後藤愛依梨の良さが分からない
コミカライズを読んでいたときから私は、「後藤愛依梨とかいう女、嫌い過ぎる…」といずっと思っていました。
好意を抱いている男性から告白されたにもかかわらず、「彼氏がいるから」と嘘をついて振り、後々「本当は好きだったけど、機が熟していないと思ったから、断った」という言動が、全っっっくもって理解できず…。
少し話はそれますが、「自分は嫌いだけど、人気が高いのは分からなくはない」というキャラは、過去にもいたんです。
例えば、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の一色いろは。
同性からは確実に嫌われるようなキャラ付けがされているということもあり、女の私からすると、彼女は心から生理的に無理なキャラです。
しかし、「へいへい、男どもはこういう女が好きなんだろ」と、あのあざとさが異性にウケるということは、嫌いながらにも理解はできるんですよね。
ですが!後藤さんに関しては、何がいいのか私は本当に全く理解できないんです。
実際感想を検索すると、私と同じように後藤さんが嫌いな人間は一定数いるのですが、万人から嫌われているキャラというわけでは全くないんですよね。
確かに顔が良くて、胸が大きいのは魅力的ですが…。
後藤さんの性格的な部分の良さが本当に分からないので、誰か教えてください…。
主題歌がOP•ED共に良い!
小説や漫画と違い、アニメは音楽も作品の重要なファクターとなります。
ひげひろは主題歌が本当に良かったですね!!
DIALOGUE+は個人的に「割と好きな曲は歌っているけど、めちゃくちゃ好きな曲はないグループ」という位置づけだったのですが、「おもいでしりとり」はクリティカルヒットでした。
4月は「おもいでしりとり」しか聞いていなかったと言っても過言ではありません。
確実に、2021年よく聴いた曲10選に入ります。まだ7月ですが、断言できます。
「"想い"でしりとり」「思い出しりとり」のダブルミーニングとも取れるタイトル、実際にしりとり形式で進むサビの歌詞。
そのしりとり形式の歌詞は、大人数グループの歌割りとも相性抜群。
田淵智也氏は天才だなと改めて感じるとともに、明るいながらも切なさを感じさせる睦月周平氏の編曲術も素晴らしいなと思いました。
そしてOPが素晴らし過ぎて良さに気付くのがだいぶ遅れてしまったのですが、EDのPlastic Smileも名曲なんですよね!
三好啓太氏の美メロに、佐藤純一氏の美しい編曲が相まって、EDが来るたびに「いい曲だな~~」と感じていました。
お二人とも作編曲どちらもできる方ですし、この二人のタッグはなにげに初めてでしょうか。
今後もこのタッグのアニソンを聞いてみたいなと思います。
総括
駆け足でストーリーが進んでしまったのが残念ではありますが、原作ラストまできっちり描き切ってくれたことで、最終回視聴後には「いい作品を見たな…!」という満足感で満たされました。
個人的に、吉田(主人公なのに今初めて名前出したな)と沙優の一線を越えそうで越えない危うい関係性が大好きだったので、(10話のラスト最高)
二人の今後を明確には描写しないものの、期待が残した余韻のある終わり方には美しさを感じました。
あと、久々に興津和幸氏が主人公のアニメが見られて、幸せでした!(どうしても最後に伝えておきたかった。)
アニメと原作小説は終わりを迎えましたが、コミカライズはまだまだ続くので、今後はコミカライズでアニメの補完をすることを楽しみに生きていきたいと思います。
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