見出し画像

commonらしい棚の整理術

commonの山下です。commonがスタートして早3か月。4月から学校休校に合わせて朝から開講していましたが、6月から学校も再開し、徐々に日常の生活リズムに近づきつつあります。そんな中、commonではスタッフが集まり、この3か月のことを振り返りつつ、今起きている様々な課題の共有や今後に向けての話し合いを行いました。

各スタッフそれぞれの視点の気づきや認識が共有され、とても有意義な会となったのですが、その中で特に全員の口から出てきた話題が「棚」についてでした。

commonの棚は大きく分けて3つあります。素材や文房具がある創作の棚、カードゲームやボールなどがある遊び棚、実験道具や工具、非常グッズなどがある大人の棚。その中でも創作の棚は子どもたちが一番使う棚ですが、それゆえ道具や素材の出し入れの頻度が高く、どうしても散らかりがちです。そのため、道具を探したり、今あるもの、ないものが分かりにくくなっていました。

棚が散らかる原因がいくつか考えられます。まずは使い方のルールが浸透していないこと。次に棚自体が使いにくいこと。最後に棚に余白があってなんでも入れてしまうこと。commonの創作の棚には、これらすべてが当てはまり、どんな対策を講じるべきか、今回の会の中では結論が出ませんでした。

画像1

そんなことを考えているとき、ふと「実際に使っている子どもたちはどう考えているのか?」と思うことがありました。そこで実際に聞いてみることに。今回はまず、commonの中でも年長の4年生の男の子に声を掛けました。「最近さ、みんなが使う棚がすぐ散らかっちゃうんだよね。〇〇くんはどう思う?」と話しかけると「そうだね、なんかバラバラだよね」とのこと。子どももやはり課題を感じていたようです。

そこから私と彼の棚整理の議論がスタートしました。まず棚の前に移動して現状を見る。すると彼が「この引き出しって、何が入ってるか分かりにくいんだよね」「なんか空いていると、ポイって入れたくなっちゃうんだよね」と言い出しました。大人が考えていたことと同じ課題を見つけています。

「それじゃあどうしようか…」と投げかけてみると「ゲームとかを創作棚に移動して、空いた遊び棚を作品棚にすればいいんじゃない?今は創作棚に作品が飾ってあるから、作りかけのものをポイっと引き出しに入れちゃうけど、作品棚ができれば、全部そこに置くと思う」との意見が。

私は彼の洞察力もさることながら、仮説立てとその根拠の考え方に感心しました。たしかに、遊び棚も創作棚も微妙な余白があって、そこに作りかけのものが置いてあるため、両方ともなんとなく雑然としています。余白を1つの棚に集約し、もう一つの棚から余白をなくせば整理できそうです。

果たして彼の仮説は正しいのか、これはやってみないと分かりません。ほかの子たちが自由に遊んでいる中、私と2人でcommonの棚整理プロジェクトがスタートしました。

まず創作棚の整理から。重ねられる引き出しはなるべく重ねてスキマを埋めます。できたスペースには遊び道具をお引越し。それによってほぼ空っぽになった旧遊び棚は作品棚として、各地に置かれている作品を集約。ものの30分ほどで作業は完了しました。

「急に変わるとみんな混乱するから、ミーティングでも伝えよう!」と言って一旦解散。私は創作棚を使っている子たちを観察。最初は戸惑っていましたが、意外とすんなり受け入れて、新しい配置の棚にもすぐ適応しています。ミーティングでは整理したことと合わせて、どうしてそういう配置にしたかの説明も。作品はあっちの棚、道具はこっちの棚。道具は使ったら元に戻して、作品と一緒にしないことなどを共有しました。

それから1週間。スタッフにこの出来事を伝えていくと、スタッフからも新しい提案が出てきます。彼と始めたことが呼び水となり、次から次にアイデアが広がっていき、今も棚は変化しています。

commonにおける棚の整理術、それもまた試行錯誤です。使っている子どもたちにとって一番いい形は何か、あーでもない、こーでもないと言いながら、変化を怖がらず、常に新しいことを取り入れていく。その主役は子どもで、ルールを決めるのも、それを使っていくのも子どもたち。大人はその背中を押しながら、手を添え、見守っていく。そういう関係性の中で明日はまた今日とは違った、昨日よりちょっといいcommonが姿を現します。

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?