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2階建て高速バスで行く富士五湖の旅

 ふと2階建てバスの最前列から眺める景色の爽快感を味わいたくなり、河口湖に行ってきました。
 2018年以来、三菱ふそう・エアロキングの後継として勢力を伸ばしてきた欧州製(注1)2階建て大型バス、アストロメガ。従来、エアロキングを導入していなかった事業者への新規導入もみられます。
 中央高速バス富士五湖線を運行する富士急・京王バスもその一例で、富士山へのインバウンド需要や富士急ハイランドへの需要にこたえるべく、富士急と京王の2社にそれぞれ2台が導入されました。
 アストロメガに乗れる路線の多くは、JRバスの首都圏~京阪神を結ぶ長距離便であったり、はとバスの遊覧ツアーであったり、気軽さに欠けている印象を受けますが、この富士五湖線は新宿から往復で4000円以内、所要時間も片道2時間弱とお手頃なため、乗ることにしました。

ハイデッカー車と並ぶとサイズの大きさが際立ちます。

 乗車時点ではアストロメガが充当される下り便は新宿7:35発、7:55発の河口湖駅行きの便と、11:45発の富士山駅行きの便と概ねパターンが決まっている(注2)ようで、7:55発の便に乗ることにしました。予約サイトで座席指定が可能なので、2階の最前列という特等席を事前に確保することが可能なのは嬉しいです。

堂々とした風格がカッコいい

 多くの人でごった返す、休日朝のバスタ新宿から旅が始まります。やはりアストロメガが充当される便は需要が旺盛らしく、2階建て車両の収容力を以てしても乗客を運びきれないようで、この日は一般のハイデッカー車による2号車が設定されていました。

大迫力で迫る天井

 バスタ新宿は立体駐車場のような構造になっており、3階にある乗車場から2階にある出入口に向かって狭くて急なスロープを下るのですが、天井が目の前に迫ってきて迫力があります。
 なお走行中は景色に見入っていたために、最前列から景色を写した画像は上記の1つのみになることを予めお断りしておきます。
 多くの人で賑わう新宿駅前の交差点を見下ろし、高層ビル群に見下ろされながら、甲州街道を西進して初台入口より高速道路に入ります。
 乗車したFJ1403便は上野原までの各停留所に停車し乗車扱いを行い、以降は富士急ハイランド・河口湖駅のみに停まる「区間急行」のような停車パターン(注3)の便でしたので、三鷹や深大寺、八王子といった高速道路上の各停留所にこまめに立ち寄ります。
 予約システム上では「空席わずか」と案内されていたのに反し、新宿を発車した時点では乗車率は7割程度で奇妙に思っていたのですが、途中の停留所からの利用客がかなり多く、徐々に満席になりました。
 下り便は相模湖まで乗車専用と、完全なオープンドア制でこそないものの、高速道路上のバスストップにこまめに停車する姿は中央高速バスが東名や名神と肩を並べる老舗路線であることを物語っているようです。

 往年の名曲『中央フリーウェイ』に歌われる、府中競馬場とビール工場の取り合わせや小仏峠の山々、美しい相模湖を楽しんでいるとハイランドのアトラクションが近づいてきました。
 河口湖出口で高速を降り、最初の降車停留所である富士急ハイランドに向かいます。休日朝の下り便ということもあり、ここではおよそ半分くらいの乗客が下りていきました。
 バスはハイランド前のバイパス道路から片側1車線の細い道路に入り、河口湖駅に向かいます。民家のベランダやコンビニの看板、道路標識に接触しないように留意しつつ、歩行者やすれ違うバスにも注意を払いスイスイと走る様子に運転士さんのテクニックを感じます。
 終点の河口湖駅まで乗車した乗客の大半は、外国人観光客の方だったように見受けられます。

河口湖駅に到着したアストロメガ

 およそ2時間に亘る2階建てバスの旅は快適でエキサイティングでした。海外製の座席はフカフカでこそないものの、しっかりと身体の形をピッタリとホールドしている感覚があり疲れを感じさせません。
 次は京王バス所属のアストロメガで運行される便に乗車し、乗り比べてみようと決意しました。

河口湖駅で見かけた中国BYD製のEVバス。夏季は富士山五合目への登山バス、冬季は河口湖周辺で活躍している模様。

 

富士吉田名物、吉田うどん

 列車で富士山駅に移動し、駅ビル地下の「とがわ」さんで富士吉田名物のうどんの昼食をいただきました。吉田うどんの特徴である極太麺とダシの効いた汁が格別でした。

注1:車体はベルギーのVanhool社、シャーシはスウェーデンのScania社の二カ国合作です。
注2:運用は完全に固定されているわけではないので、この時刻に必ず2階建て車が充当される保証はありません。筆者の知る限り、富士急ハイランドの休園日や、火曜日を中心に一般のハイデッカー車が充当されるケースを確認しています。
注3:富士五湖線の停車パターンは①すべての停留所に停車する各停便、②上野原までの各停留所に停まり、降車は富士急ハイランド以降のみの停留所に停まる便、③新宿・中央道日野・富士急ハイランド・河口湖駅・富士山駅のみ停車する特急便の3種類があります。
 なお下り便では、新宿~相模湖間のバスストップは乗車専用、上野原のみ乗車降車ともに可能、野田尻~富士五湖地区が降車専用になります(上り便の場合はその逆になります)。

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