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エッセイ

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#ゲイ

ゲイ痴漢に遭った私の類い稀なるボランティア精神

 大学の時、痴漢(?)に遭った。2008年のことだ。  学校のある三鷹から新宿までをボーっとやり過ごし、湘南新宿ラインに乗り換えた直後のことだった。  普段は15両編成のやつに乗るのだが、その日はたまたま良いタイミングの乗り換えがなく、10両編成の高崎行きに乗った。途中の大宮で降りて乗り換えることにしたのだ。  新宿では、いつもの癖で15両編成用の印のところに立っていた。すると列車が私より50メートル以上手前で停まったので、慌てて走って一番手前のドアに入った。  椅子は全

初めてキスしたあいつが死んだ

 私が初めてキスをした男は、火を使って絵を描くアーティストだった。  十代も終わりに差し掛かった頃、好きなミュージシャンの公式ホームページにあった掲示板で仲良くなった。実際に会ってみると、薄く化粧をしていて、今ならそれがそいつのジェンダー表現なのだろうと思うのだけれど、当時は「ビジュアル系の人だ……」としか思わなかった。  男性にしては長めの髪で、不思議な造りの服を着ていた。あとで聞いたら、服は自分で作っているらしい。私の周りにはアートを作る人も服を作る人もいなかったから、都

杉田水脈の差別発言と、セクマイの自己肯定感 #ThisIsPRIDE

LGBTやクィア、性的マイノリティについてひどい物言いをするのはなにも政治家や著名人だけじゃなくて、学校の先生から親戚のおじちゃん、近所のうなぎ屋の店主などから私たちは日常的に嫌なことを聞かされている。 そうやって聞かされたことは少しずつ胸の底に沈み重なって、ちょうど川の底がよどんでいるのと同じように、普段は底のほうでおとなしくしているけれど、小さな石でもひょいと投げ入れればいとも簡単にふわぁと広がって、しばらくのあいだ私たちの心が晴れることはない。 あぁそういえば、私み

ニュー・クローゼット(エッセイ漫画)

「LGBTではないフツーのひと」に考えて欲しいと思う10のこと(2018年版)+動画あり

「LGBTではないフツーのひと」って、誰だろう? 「フツー」って、どんなことを指すんだろう。 そんなことを思いつつも、でも、「LGBT」と「フツーのひと」は分けて考えられてしまうことが多くて、日常的にもやっぱり、自分のことを「自分はLGBTではないフツーのひとだ」と思っている人はたくさんいるっていう実感があります。 この文章は、そんな人たちへのお手紙のようなものだと思ってください。 0. 基本編「10のこと」とタイトルにありますが、その前に「基本編」として地雷度の高いも

心凍らせて

日頃包み隠さずオネエ言葉でしゃべってるとこあって。 一人称は「あたし」だし、 「やだー」とか「わかるー」とかの類いなら1日に1回は必ず言ってる。 そんなんだから、共同経営してるお店の接客とかでも 「この中なら誰がイケる?」とか質問されることあって。 イケるもイケねーもないっていうか、 イケたところでどこにもイケねーっていうか、 あたかも私に選択権があるようなシチュエーションだけど ことここにおいては一択しかないわけで。 「ユウタ(仮名)かー!ユウタのことイケるんだって