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ロックアウト終了!2022年MLBが動き出す

現地時間3月11日のNYポストの裏見出し。ウクライナでの戦乱時に、表裏両面に嬉々としたマスコット、決意に満ちた?GMや選手の表情が。

多くの日本人にはこれがわかりやすく自分事に感じられるかもしれない。MLB公式HPでの大谷選手の写真。

「なんだ。公式HPだから当たり前だ」、と言われるかも知れないけど、しばらくの間はその「当たり前」がなかった。言い換えれば、大谷選手だけでなく、全選手の顔写真やプレーの写真が公式HPやアプリに載ることはなかった。というか「載せられなかった」。

この制約が、ついに消えた。

既報の通り、12月頭から続いていたMLB機構のロックアウトが、ついに解除されたのだ。これで2022年のMLBが、やっと本来の姿で歩みだす。

知る人ぞ知るところだろうが、改めて書くと、MLBのロックアウトの原因は、2021年12月頭に5年間の期間を経て期限切れとなった「労使協定」に代わる新協定がまとまらなかったからだ。MLB機構は、選手会(MLBPA)に早く妥協させるよう、球団の施設は一切使わせず球団も一切稼働させないという「ロックアウト」という強硬手段をとって、プレッシャーをかけたわけだ。正確には、「MLB機構の背後にあるMLB各球団のオーナーが」というところだろうが。この話を書いたらものすごく長くなりそうなので、ここでは略するが、とにかく機構・オーナーと選手会の主張が折り合わず、なかなかまとまらなかったのだ。ものすごく簡単にポイントを書くと、「ぜいたく税」「最低年俸の保証」で、これに「タンキング防止」の問題が絡んだというところか。

どういう経緯でまとまったのか。実は、上記の懸案の「ぜいたく税」の部分で、現地時間3月9日までの数日間に進展があってまとまりかけたのだが、ここでMLB機構が「インターナショナルドラフト」の話を突然持ち出したことに選手会が怒って一旦決裂したようだ。その翌日に再協議し、「インターナショナルドラフト」の話は継続協議で導入はその進展次第ということでまとまり、さらに一部金銭的条件を緩和した機構の提案に対し選手会は26対12の内部投票で受け入れを決めた。この時点で新労使協定に関する基本合意ができ、ロックアウト解除に至ったわけだ。

さて、この新労使協定はどのようなものか??要約だけでも実に盛りだくさんだ。MLB公式などの現地報道の内容を日本語化してここに書こうと思ったが、既に日本語版のダイジェスト記事ができていた。詳細は下記記事をご覧いただいたい。

「【MLB】労使交渉合意→オーナーが満場一致で承認 今季から5年間有効の新しい労使協定の主な内容は?」

https://news.yahoo.co.jp/articles/752c4d0539401abad13d11af6fb1d753a4dd2832

関連するMLB公式HPの記事は以下を参照。

https://www.mlb.com/news/mlb-mlbpa-agree-to-cba

ダイジェストを書くと以下になる。その他、2023年以降のシフト禁止、ピッチクロック導入、ベースの大きさの拡大の可能性についても触れられるようだ。

◆最低保証年俸

2022年:70万ドル

2023年:72万ドル

2024年:74万ドル

2025年:76万ドル

2026年:78万ドル

◆ぜいたく税の上限ライン

2022年:2億3000万ドル

2023年:2億3300万ドル

2024年:2億3700万ドル

2025年:2億4100万ドル

2026年:2億4400万ドル

◆総額5000万ドルの調停前ボーナスプールを新設。をアウォード投票の結果や個人成績に基づいて上位100名の選手に分配する。

◆全体1位から6位までのドラフト指名権を抽選で決定。

◆今年7月25日(現地時間)までにメジャーリーグ選手会が国際ドラフトの導入に賛成した場合、それと引き換えにクオリファイング・オファー制度を撤廃。

◆新人王投票で1位または2位にランクインした新人選手には1年分のサービスタイムが与えられる。

◆トップ・プロスペクトを開幕ロースターに登録した球団は、その選手が新人王投票のトップ3、もしくはMVP投票かサイ・ヤング賞投票のトップ5にランクインすれば、ドラフト指名権を獲得できる。

◆ポストシーズンは12球団で行われる。

◆ユニバーサルDHの導入

◆マイナーオプションの回数は最大5回まで

今年の試合数は1チーム162試合で削減なし。開幕は4月7日、3月13日にスプリングトレーニングが、18日にオープン戦が開始される見込みだ。また、2023年以降は、各チームがAL、NL全球団と対戦するように試合のフォーマットが変わるようだ。

MLBにとって大事なのはこれからだ。このロックアウト騒動で失ったファンを取り戻し、さらに増やせるように、素晴らしいプレーが行われるよう期待したい。そして、ロックアウト中止まっていたFA選手の契約、トレードの成立…と、球団にとってドタバタの1か月が始まる。日本人絡みではポスティングで移籍する元広島の鈴木誠也選手の契約もその1つだ。


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