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スポーツの「ライブ感」を守り、育て、発展させるために

5月18日(月)の夜、私は、「スポーツビジネスアカデミー|THE BASE」主催のオンラインセミナー「今後のプロ野球ビジネスの挑戦」に参加した。2時間半にわたる非常に有意義な興味深い話で、参加者からの質問、コメントも参考になった。

メインのテーマは「コロナウイルス流行を踏まえて今後のプロ野球ビジネスはどうなるか」。私なりには、以下が主要論点だった。
・これまでの球団の収入構造やコロナによる2020年以降の影響
・ビジネスモデルの変化の方向性
・球場への観客入場が許可された後も当面想定される球場への入場制限への問題と対応
・ソーシャルビューイングなどオンラインでの新たな視聴・放映形態
・既存のアーカイブ映像の活用や権利化
・今こそが新しい動きを取り入れる決断が行いやすいとき

その中で、一貫して話の中で出てきて、最後のまとめでも強調されたことが、試合のライブの雰囲気が、他のどのコンテンツにもまねできない野球の魅力であること。私が思うに、この「ライブ感」は、人間が本来持っている「自由につながる」欲求を率直に反映したものである。

 野球に限らずスポーツ元来の魅力は「密になって楽しむ」ことである。多くのファンは、潜在的には「密になって楽しみたい」願望があるはず。これは「ソーシャルディスタンス」とは真っ向から対立するものだ。コロナで活動や自由を制限されるのは、観客だけではなく、あるいは観客以上に、選手である。そして、新たな感染症、地球温暖化による気候変動と、観客や選手の自由を奪うものが今後とも出てくる可能性が高い。

一方、「自由」「つながり」を最も強く希求する層のひとつが、スポーツの観客や選手である。環境変化から観客や選手の自由を守るためのテクノロジーをはじめとするソリューションができれば、これは、幅広い分野でアフターコロナの社会づくりをリードする「インフラ」になっていくはずである。言い換えれば、スポーツは、アフターコロナの社会インフラの「中心」をつくる役割、責任も担っている。スポーツ発の社会インフラがアフターコロナの世の中に波及し、SDGsがめざす誰一人取り残さない公正な社会づくりにつながっていくのが、今後望まれる姿である。

なお、私は、このコロナ問題を機に、スポーツ界からも地球環境問題に働きかけ、アクションができないかと考えている。コロナウイルスをはじめとする近年の感染症頻発の大きな原因は地球温暖化・環境破壊で、両者は連関性が高い。一方、これまでスポーツが長期間無事に開催されてきた理由として見逃せないのは、自然環境の恩恵で守られてきたからである。スポーツ界としても、この恩恵に改めて感謝するとともに、今後は自然環境・地球環境との共生を前面に打ち出し、アクションを起こしてほしい。さて、具体的に何になるか…私の考える1つの方法は、球場への入場者やオンラインの視聴者から入場料・視聴料に上乗せする料金を徴収、これを基金として、乱伐から森林を守るための土地購入資金にあてるというものだ。ほかにも、より大きなマネタイズが可能な手法も含め、ソリューションがあるかもしれない。

アフターコロナの社会をリードする「インフラ」づくり、地球環境保全に、スポーツが主導的役割を果たせれば、それはスポーツやアスリートの社会的地位向上にもつながる。世界で約10兆円、関連産業を含めれば約101兆円(※)の市場規模を持つスポーツは、それを可能とする高いビジネスポテンシャルも持っている。

※:(下記スポーツX社サイトより)
http://www.sportsx.jp/business/


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