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第4回fuzzカップ観戦記ベスト16B

【担当記者:今田孝志】

ベスト16Bに先立ち敗者復活戦が行われた。

仲間外れが1人いる。
敗者復活戦の中に、敗者以外が1人。
それは現雀竜位、安藤弘樹。
その安藤が東2局にハネマン、南2局にマンガンをアガり、接戦のオーラスを制して勝ち上がりを決めた。

そもそもベスト32Gを安藤が欠場したことにより、開催されることになった敗者復活戦。ある意味最も収まりの良い形で、唯一負けていない安藤がベスト16進出を決めた。

1回戦(つばき-安藤-田口-小川)
東1局。
肩の温まっている安藤のマンガンで開幕。

このアガリを皮切りに、高打点の乱れ飛ぶ激しい打撃戦が繰り広げられる。

東2局。田口は3巡目に早くもカン⑤ピン待ちでテンパイ。役なしドラなしカンチャン待ち。田口は打②ピンとしてテンパイを外す。

⑦ピンをツモって打七萬。続けて⑦ピンをツモって再びテンパイ。リャンカン形のカン③ピンとカン⑤ピンを選べる形から、最初のテンパイと同じカン⑤ピン待ちを選んでリーチ。

まるでタイミングを合わせたかのように、赤⑤ピンを一発でツモアガる。

東3局。田口がドラと赤の入ったチンイツをテンパイ。

しかしアガったのは安藤。裏裏で3000-6000。

このあとは小川のターン。
東4局に2600オールをツモアガリ、東4局1本場は一発ツモで4000は4100オール。一気にトップに立つ。

その後もマンガン級のアガリの応酬があり、南3局には田口の18000が炸裂。チートイツ・ドラドラ赤赤。放銃のつばきは箱下に沈む。

南4局を迎えて点棒状況は以下の通り。
小川  41500
田口  41400
安藤  32300
つばき −15200

小川と田口の差はわずかに100点。
小川は親なので、他家のツモアガリでも、自身ノーテン、田口テンパイでもトップから陥落する。
安藤はマンガンツモなら2人を捲ってトップになる。

最初のテンパイは安藤。⑨ピン、8索と続けざまにポンして、北と⑥ピンのシャンポン待ち。ツモればトップだが、出アガリでは届かない。

その北がつばきから出るが、安藤は見逃し。
シャンポン待ちでツモに賭けるのは苦しいが、つばきからの出アガリで3着終了は受け入れ難い。ツモってトップが理想だが、小川・田口から出て2着は、妥協できる範囲か。

北を見逃した安藤がツモ切りした直後の田口の手がこちら。

田口はアガればトップ。北はいつ出てもおかしくない。
ここでは打中。
その後⑦ピンをチーして、北単騎のテンパイとなる。

ツモ次第ではすぐにでも捨てられた北だが、自然な形で手に留まる。
田口からは単騎待ちの狙い目の牌にも見えただろう。

田口から仕掛けが入り、ノーテンが許されない小川。
許されないのだが、生牌の白・東を抱え、打④ピンで降りを選択。
安藤の仕掛けに生牌2牌勝負は無謀。田口とテンパイ・ノーテンで逆転とはいえ、自身が放銃すればその時点でトップ陥落かつ、3着まで着落ちが濃厚。白・東を止めて踏みとどまっておけば、田口がテンパっていないこともあるし、田口が残りツモ2回で危険牌を掴んで放銃することもあり得る。
といった思考であろう。

田口の最後のツモは八萬。特別に危険な牌ではないが、場に1枚切れで安藤の現物ではない。一方で北は、つばきが捨てて以降、安藤はすべてツモ切りのため、基本的には安全な牌。

田口の選択は打北。
トップ目前で思わぬ落とし穴に足を取られて3着転落。
小川にとっては最高の結果。

2回戦(田口-つばき-安藤-小川)
東4局。田口が6巡目にしてメンチンテンパイ。カン⑤ピン待ち。

つばきからリーチが入るが、田口が赤⑤ピンでツモアガって4000-8000。
一気に抜け出す。

つばきと安藤は苦しい。

筆者はベスト32を勝ち抜いたつばきに、ベスト16の意気込みを聞いている。
つばきは、ベスト32の対局が自身がオーナーをしているシーシャカフェや関連店で店内放送され、自分の活躍が他業種に麻雀を拡げる一助になっている手応えを感じていた。また相手がどれだけ実績があり、地力で上回っていようとも、同じ人間である以上、勝機はあると思っている、と決意を述べてくれた。
だが1回戦は箱下のラスに沈み、2回戦も田口に走られ苦しくなった。
この時点で田口が49500点。つばきは17000点。田口を捲ってトップになったとしても、田口が2着の場合は28700点差が必要。つまりここから60000点以上の差を逆転しないといけないのである。

南2局1本場。落としたら終わりの最後の親番。配牌はチートイツのリャンシャンテンではあるが、良くない。

ここまで決して手が入らなかったわけではなかったが、一歩及ばずアガリにつながらず、失点を重ねてきた。
早々に白を重ねてイーシャンテンになる。
だがここからが長い。これまでの戦いを象徴するように、あと1牌が入らない。

「ハートの強さは誰にも負けない」
つばきはそう語っていた。

とはいえテンパイしなければ終わってしまう。
11巡目。メンツ手への移行も考えられる形になるが、4索ツモ切り。チートイツとの心中を選ぶ。

次巡、待望のドラ四萬を引き、5索待ちリーチ。
安藤が仕掛け、小川もテンパイを入れてくる。百戦錬磨の猛者たちが、最後の希望を摘み取ろうしてくる。

なかなかツモれない。
「また駄目か」と心によぎったか、それとも信じていたか。
終局間際に5索ツモアガリ。
裏ドラ表示牌をめくると、そこにも5索がいた。

これまでの分を2回まとめてツモアガったよう。
裏2枚で8000は8100オール。
まだ足りないが、トップ目になり、田口との差を半分縮める。

つばきは南2局2本場は1500は2100で連荘。
3本場は1000オールは1300オールをアガって追いすがるが、反撃はここまで。つばきの第4回fuzzカップはベスト16で終わる。

敗者復活から勝ち上がった安藤も、南3局に4000オールをツモアガって追い上げるが、及ばず。
ベスト8進出は乱戦の中でも固い守備と繊細な局回しを見せた小川と、大物手連発の倍満の貴公子、田口。


2023年のfuzzカップはこれが最終戦。
ご覧くださった皆様、観戦記を読んでいただいた皆様、大変ありがとうございました。
2024年1月10日のベスト16C卓の戦いから優勝決定まで、来年のfuzzカップも是非お楽しみくださいませ。

最後に。
fuzzカップスポンサーの『株式会社fuzz』様。
選手が座っている椅子をご提供いただいている『COUGAR』様。
選手が飲んでいるピンク色のドリンクをご提供いただき日本プロ麻雀協会とパートナー契約を締結させていただいている『ピンクイオンアスリート』様。いつも大変ありがとうございます。感謝申し上げます。

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