【interview】ハヤシ シュンスケ

ハヤシ シュンスケ/DJ,アニタコ監督,オタッキー・フィンガーズ,8cmCD愛好家

DJを始めたきっかけを教えてください

かつて学生時代をすごした大阪で、友人たちに生まれてはじめて連れていかれたクラブが、たくさん若者の集まるロックのDJイベントをやっていまして。
90年代後半で当時の主流メディアはもうCDだったわけですが、洋邦問わず爆音を鳴らすレコードの魅力にとりつかれて、ヴァイナルを集め出したのです。
その後、地元岐阜に帰ってきてバイト先で知り合った年下の子に「レコード集めてるんですか?今度クラブでパーティーを始めようと思うんですが一緒に回しませんか?」と誘われ、そして20年が経ち、今に至ります。
ちなみにその彼は現在、MOOLAと名乗りヤンガオというお店をやっています。VJのミズノケイタ君はその同級生で、彼ともまたその時に知り合いましたね。

印象に残っている、または影響を受けたパーティーを教えてください

これまで体験してきたパーティーには、多数の音楽ジャンルとさまざまなハコがありましたが、長年拠点としているclub JB‘Sに絞って思い出してみます。

自分のDJキャリアの転機にもつながるんですが、2001年ごろだかに訪れた『N2B -GUITAR MUTATION-』は、the ARROWSという名古屋のバンドが主催するライブとDJを融合させたロックパーティーで、フロアには人があふれローカルにとどまらない活気がありました。
DJを始めたものの鳴かず飛ばずだった自分は、ここで演者たちにミックステープを渡して売り込み、その甲斐あって末席に加わることとなります。
まあ1年くらいして自分のやりたいことが見えてきて飛び出しちゃうんですが、それもここでの経験あってのことでした。

ところで主宰バンドはその後メジャーデビューが決まり『家庭教師ヒットマンREBORN!』のアニメタイアップをやったりしました。
そしてボーカリストの坂井竜二は現在はおもに作詞家として活動していて、なんと鈴木このみや富田美憂、夏川椎菜、村川梨衣などの有名声優、そのほかデレマス楽曲などにも歌詞を提供しています。
知ったときはデカイ声出ました(呆然)

さて、それからアニクラのオタクはみんな大好き(?)むかいさんことDJ MUKAIのDJ独演会も忘れることができませんね。
正確な情報を求めて1万年と2000年ぶりにmixiを開いたら出てきました。

『SPUTNIK customade〜DJ MUKAI one night one dj〜』
2008年9月6日土曜日の夜、タイトルどおり一晩かけて朝日が昇るまでたった1人でDJブースに立っていたのです、あのおじさん。当時はまだ20代でしたが。
今でこそガンダムの主題歌だけでDJしちゃったりしますが、このときはテクノオンリー、ヴァイナルオンリーで約300名を前にして踊らせていました。当然テキーラも一晩中摂取していました(白目)。
音楽は変われども魂は変わらず。ヤバイですね!

今好きな3曲を教えてください

ほぼ毎日のように新譜、旧譜を購入しているせいで“今”をどこでどう切り取るべきなのか…悩んでしまうので今年リリースの音源に括りました。

諸星すみれ/SCREEN GIRL

1stシングル『つむじかぜ』収録。水曜日のカンパネラのトラックメーカーであるケンモチヒデフミ提供。エキゾチックなメロディーと重いビートがこれまでに類を見ない声優楽曲です。ほんの一瞬のあいだYouTubeにアップされた非公式動画についたコメントは、海外からの称賛ばかりで、その特異さがおわかりいただけるかと。

Photon Maiden/Photon Melodies

DJをテーマにしたゲームコンテンツ『D4DJ』の中の楽曲。声優楽曲イベント『Freedom Up NAGOYA』へ遊びにいった際知ったのをきっかけに掘ってみたところ、フロア映えするトラックにすっかり魅了されてしまいました。これがイケるならMerm4idの『Floor Killer』もお好きなはずです。

大滝詠一/君は天然色(かくしごとVer.)

今年どころか40年前の曲なんですが、佳境を迎えようとしている現在放送中のアニメ『かくしごと』のための本邦初エディットゆえご愛嬌。
いわゆるウォールオブサウンド系の名曲として誉れ高きことは説明不要でしょう、アニクラの現場でみんな一緒にイントロ手拍子!氏の編集盤に収録でたぶんデータ配信はされていないと思いますので、こちらのバージョンを使うDJは少ないかもしれませんが、感動的にシメたい時や流れを変えたい時にもってこいではないでしょうか。

今後の展望について教えてください

個人としては、アニオタ界の生き字引(?)まきさんと一緒にマイペースに活動しているオタッキー・フィンガーズのオファーを増やすことですね〜営業努力している節が見えないかもしれませんが(笑)。
こちらはアニソンや声優楽曲の中でも“グルーヴ”に特化した選曲を心がけたDJユニットですので、イイ曲を求めるクライアントは是非に!

イベントとしてはやはりアニタコですが、現在エンタメを取り巻く状況にへこたれない元気な人材の売り込みに期待していたりします。
自分はアニタコにおいてはDJとしてよりも興行主の立場に比重を置いていますので、いつもそこにあるのはなんとしてもお客さんを集める、だから「アニタコでこんな面白いことをやってみたい」という意見があれば耳を傾けてお話を聞きたいというスタンスです。機会があれば芽の出そうな新人DJをアニタコから羽ばたかせるなんてのもイイな〜なんて?残りも半年がんばるぞい!

固有名詞がたくさん飛び出したインタビューになりましたが、クラブにはこんなにも、いやこれ以上に出会いがあるということを伝えたかった次第です。
引きこもっていてもそれなりに楽しめる世の中ですが、“現場”ではラノベよりも素敵でおかしな世界があなたを待っているかもしれません。
(ED 世にも奇妙な物語のテーマ)

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