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Oliver Hilmes著「Berlin1936ーSechzehn Tage im August」


 1936年8月、ナチ政権の下、ベルリンで夏季オリンピックが開催された。1935年には悪名高きニュルンベルク法(ユダヤ人の公民権を奪う人種差別法)が制定され、ユダヤ人の迫害があったが、アメリカとフランスのボイコット運動を懸念して、一部のユダヤ人選手をドイツの選手として認めるなど、緩和政策をとったことで、予定通り行われた。

 ナチは帝国競技場の建設など威信をかけて宣伝した。聖火リレーはナチドイツと古代ギリシアの繋がりを象徴している。「オリンピック讃歌」はリヒャルトシュトラウスが作曲し、会場で指揮をした。

 本と併せて、レニ・リーフェンシュタールが撮影・編集した記録映画「民族の祭典」(1938)を観た。古代ギリシャ時代を思わせる裸体の男女がスポーツや舞踊をするシーンの映像が美しい。ブランデンブルク門を背景に聖火を手に颯爽と走るランナーが映し出されるシーンが荘厳で圧巻。音楽もかっこいい。ヒトラー式敬礼をしている選手団や観客達がこのオリンピックの時勢を感じる。 

 競技は棒高飛びの西田修平選手とアメリカの選手の対決がハラハラして目が離せなかった。最後はマラソンのシーンが映った。日本植民地下の孫基禎選手が金メダルを取り、日の丸の国旗掲揚のシーンが映し出されると、孫選手の気持ちを思って複雑な心境になった。国旗掲揚と国歌を流すセレモニーはナショナリズムに繋がるので、私は個人的に必要ないのではないかと思っている。

 今年の東京五輪の開会式はどんな演出になるんだろう。日本を平和で魅力的にアピールしてくれるものだといいな。開会式を観るのが楽しみです。

「民族の祭典」はこんな映画です。

https://www.youtube.com/watch?v=H3LOPhRq3Es

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