【70】 これって…妊娠!?元カレとの子供ができたかもしれない疑惑
このお話はセフレだった男女が
結婚するまでの1000日間を
赤裸々に綴った超絶ドロゲス
ノンフィクションエッセイです
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前回までのあらすじ
アラサーにしてセフレの"イケチン"に沼った私は、どうにかこうにか交際まで漕ぎ着けるも、度重なる彼の不誠実な言動に嫌気が差し、自ら別れを選ぶ。その後、条件最高で性格のいいハイスペくんと出会うも、彼のあまりにも残念なセックスに告白を断り、未練を感じていたイケチンと復縁する。しかし、彼の酒癖の悪さが問題となり、再び破局してしまうのだった。
イケチンとの地獄の破局騒動から1週間。
私はショックで壊れてしまった自分のメンタルを修復するために、あのトラブルの直後から実家に帰っていた。
この1週間、毎日実家に寝泊まりして、お母さんと一緒にご飯を食べたり、買い物をしたり、かなりゆっくり過ごしていたけど、何をしていても私の表情は死んでいて、とても生気を感じられなかったらしい。(母親談)
特に大型スーパーへ行くと、私は爆病みした。
入り口の果物コーナーを見ると「あぁ、彼が大好きなパイナップルだ…でももう居ないんだった」
野菜コーナーで「今日は山芋が安いんだ…前にとろろにして蕎麦に掛けてあげたら大喜びしてたよな…」
お肉コーナーでは「このハム好きだったよな、フライにしたら美味しい美味しいっていつも言ってた」
「あ、このカツオのタタキ、絶対に喜ぶやつだ」
「あーこのお酒前にめちゃくちゃ好きだって言ってたな、田舎のスーパーだと安いし買ってってあげればよかった…」
「このチーズ、醤油漬けにしたら"居酒屋だ!"って騒いでたからもう1回してあげようと思ってたのに」
「彼が好きなお菓子だ…私は食べないのによく買って持ってってあげてたなぁ」
「この赤卵、栄養ありそうだから食べさせたいな」
「これから夏になるからゴーヤチャンプルーとかしてあげたかった」
「あぁ、あれもこれも喜びそう…」
と毎回こんな感じで、足を踏み入れるだけで彼のことばかりが浮かんで落ち込んでしまうのだった。
彼と別れて愛情の矛先を失ってしまった私は、生き甲斐を無くした廃人のようになっていた。
あんなことがあってもまだ、彼に対する気持ちが尽きていない自分に心底嫌気が差したけど、やっぱりなんだかんだで"別れた後"に起こったトラブルだったこともあり、自分自身も感情的になってやり過ぎてしまったよなぁ…と少し反省もしていた。
だからと言って彼と今すぐ復縁したいとか、また連絡を取り合いたいとか、そんなことはまだ思える状態ではなかった。
ただ、私にはひとつだけ気になっていることがあった。
それは彼のGPSとGoogleカレンダーの共有設定がいまだに切られていないこと。
この1週間、お互いに連絡は一度も取っていなかったけれど、私は一方的に彼の位置情報やカレンダーの予定を確認できる状態になっていた。(私側の共有は既に消していた)
もうこんなの見たって意味はないのに、この共有が続いている限りはまだ彼と繋がっているような気がして、私は毎日何度も彼の位置情報や追加される予定を確認していた。
たぶん、突然の別れで喪失感を感じていた私の"心の拠り所"になっていたんだと思う。
そしてこの状況を、私はこんな風に分析していた。
そう考える根拠はもうひとつあった。
あのトラブルの日以降、彼は1度もクラブに行かず、私に見られていることが分かっているかのような模範的な行動を取っていた。
もちろん部屋にカメラを仕掛けているわけではないので、家で誰といるかまでは分からなかったけど、別れた日にあれだけ派手に夜遊びをしていた彼が、その後ものすごく地味な日常を送っている異様な様子を見て、私は「これはそのうち連絡を寄越してくるな」と確信していた。
そんなとき、あることに気が付いた。
生理が来ていない。
そろそろ予定日のはずなんだけど、色々あったストレスで遅れてるのかな…
でも、2人で話し合って数ヶ月前からピルを飲むのは辞めていたし、もしかしたら妊娠してる可能性もある…
そう思って、念のため妊娠検査薬を試してみよう…と部屋を漁ったけれど、そのときは排卵検査薬(尿をかけて排卵日を特定するもの)しか持ち合わせがなく、仕方なくそれを使って疑似的に妊娠検査をしてみることにした。
すると驚いたことに、判定窓にすぐに濃いめの線が現れた。
別れた日から気になって何度か試してみてはいたけど、こんなにハッキリ線は出ていなかったのに…
いやいや、でも妊娠検査薬じゃなくて、排卵検査薬だし…
そう思って翌日も、翌々日も、毎日同じ時間帯に排卵検査薬を試した。
線はどんどん濃くなっていく。
▼ 当時のアルバム、検査薬の写真ばっかり
私の実家は田舎町にあり、車がないと薬局に妊娠検査薬を買いに行くことはできない。
だから母と街へ出掛ける週末まで、代わりに排卵検査薬で体の状態を確認することしかできなかった。
検査薬を始めて数日後、いよいよ特濃の陽性判定が出て、「あぁこれは妊娠してる可能性が高いな…」って思ったとき。
そのとき私、素直に嬉しかったんだよね。
これでまた彼と一緒に居られる。
イケチンと復縁して結婚するキッカケができた…って思ったの。(もちろん仮にそうならなくても彼との子供なら嬉しいし、1人でだって育てるつもりだったけど)
あんなことがあってもまだ、彼ともう1度一緒に居るための理由を探していた自分に呆れたけど、この感情には嘘がつけないし、もう仕方のないことなんだなって受け入れた。
仕方がないくらい、私は彼に惹かれている。
今週末にきちんと妊娠検査薬を買って、その結果を持って、来週彼に話しをしに行こう。
そう思って、私は自分の母親にもその検査薬の結果を見せ、心の準備を整え始めるのだった。
まさかの妊娠!?連載もいよいよ残り30本!
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-【71】へつづく -
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