一次創作SS
ランダムお題の結果
愛一途
愛情を持つのってなかなか難しいかもしれない
そう思ったのは自分達を生み出した創造主であり、自分自身でもある白魔黒神の考え方を思い出すからだ
あの神様は自己嫌悪が強い。
自分で自分を愛せないなら、自分を愛する別の自分を作ってしまえば良い
そんな理由で自分達は生まれた
そう考えれば愛情というのを持つのはすごく苦労するよなと思い至るのはある意味普通だと思う
「っつてもまぁ」
「そんなことはどうでもいいくらいみんないろんなことが好きだよね~」
流星とカヲルはいつものように自分達の趣味空間である地下格納庫のデッキにてそんな事を会話している
目の前には30M強のロボットがハンガーに収納されている
流星にとってはカッコいいロボットの宝箱であり、
カヲルにとっては自主規制が発生するような場所でもある
「黒様は難しく考えすぎだよねぇ~」
「じゃなきゃ俺達作んないと思うのさ」
「まぁね」
「でもアイツ口では「そこまで好きじゃないが?」的な事言ってるけど絶対推しキャラへの愛情はあるよな」
「性欲とは違うだろうけど、推しのスケベ小説は普通に書くよね」
「エロス的な感じなのかもしれない…」
「芸術とかわかんないよ」
デッキの上でそんな哲学的な事を語り合う
そんなキャラじゃないのにな~と二人は笑い合う
そこにやってきたのは黒十字影鏡だ。
珍しい客人に二人は驚いた顔をする
「珍しいですね。お二人がそのような会話をするなんて」
「めーずらしー。こんなところに来るなんて」
「ええまぁ。そろそろ食事らしいので、お声がけしにきました」
「内線使えばいいのに」
「取らなかったんでしょう?」
「あ。そうかも。ごめん」
「ところで、先程の会話はどうしたんですか?なにかお悩みでも?」
「あー…まぁね」
「悩みというか、黄昏てるだけ」
「それって動詞なんでしょうか?」
「造語」
「そうですか」
その場で少し会話をし、そのまま三人でリビングへ向かう
その途中で、影鏡はこんな事を言った
「先程のお話ですが」
「ん?」
「んぁ?」
「彼女の愛情の話ですが」
「ああ。まぁあれ自体適当に言ってただけだから別に深い意味はないよ」
「いえ、単純なお話なんですが」
「?」
「彼女は愛情が多いほうだと思いますよ。本当はなんでも好きなんです。潔癖なくらいに「自分以外」を愛してるんでしょうね」
「えぇ~…」
「うっそだーー!だってアイツ俺のロボット達への扱い酷いもん!!!」
「それはきっと貴方への精神的ダメージを与える方法がそれだというだけで、別に貴方が苦しむなら何でも良いんだと思います」
「ユールーせーなーいー!!!」
「一途なほど他者への愛があるから自分に向ける部分にそこまで割けないのでしょうね」
納得いかないとカヲルは文句を言っている
流星はお前も変わんねぇよと横で小さく突っ込んだ
「一途なほどの愛があるならもっとちゃんとよこせよな!」
「それがきっと、課題なんでしょうね」
三人は食卓に向いながら自分達の創造主の話題を続ける
きっと眠っているだろうあの神は今日も自分への嫌悪を理性で抑えながら、切り分けた愛達の営みを夢見心地で聞いているのだろう
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