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スクランブルスクエア

渋谷から代々木公園に向けて車道を越える歩道橋を渡る時、振り返るとその一直線上に見えた、夜に煌めくスクランブルスクエアがあの日は心を揺さぶって目が潤んだ。

どうやら僕はスクランブルスクエアに東京を感じるらしい。

銀座線渋谷駅の改札を抜け街に出て、都会の喧騒をノイズキャンセリングしながらReolの「第六感」を聴きつつ、スクランブルスクエアを見上げて、1人でリズムよく闊歩したよく晴れた暖かい春の日のことを思い出す。

あの頃は大都会東京に勝負を挑むような気持ちでワクワクした。

だけどどうだ。この3年間、僕は何かと戦えただろうか。自信はない。

あの夜目が潤んだのは、単に寂しいってだけでは無いらしい。それがなんなのか、この感情は簡単には言葉にできないけれど、今日も同じ、教えてもらったあの音楽が頭の中でずっとリピートされている。

昨日も今日も明後日も、僕の選択は、進む道は、これでいいのだろうかと珍しく揺らいでいる。らしくないな。

でもいいんだと思う。今はそうしよう。もっともっと自分を連れ出そう。

沈んでいた氷が浮き上がってきて、カランと音を鳴らすみたいに、いつか心の窮屈が解けるのを待てばいい。

10年でも20年でも。

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