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嘔吐恐怖症の人間が胃カメラを受けた話

私は嘔吐恐怖症です。
吐き気に対する不安が強すぎて失神することもありますし、口に異物が入るだけでも恐ろしいです。
そんな人間が、先日なんとか胃カメラを受けました。そのときのことを備忘録としてnoteに書いておきます。
私と同じように不安で胃カメラ検査を躊躇っている方のお役に立てれば嬉しいです。


不安要素

胃カメラを受けるにあたって、次のようなことが不安でした。

  1. 絶食による吐き気

  2. 検査前の処理(咽頭麻酔や泡消し)による吐き気

  3. 鎮静剤の使用による合併症

  4. 鎮静剤が効かない可能性

  5. 緊張によるパニック発作

  6. 検査中の苦痛。特にえずき

  7. 検査後の体調不良

病院選び

特に「楽な検査」に力を入れている病院を選びました。
病院によっては鎮静剤や経鼻内視鏡(口から入れるよりも楽)を扱っていないところもあります。不安が強い方は事前に確認しておいた方がいいです。
また、私は嘔吐恐怖症について予約の際に伝えておきました。看護師さんが把握してくださっていて、検査中とても有難かったです。

検査前

前日の21時から絶食でした。 
水は自由に飲めます。薬は要相談。
検査は翌日の朝9時からだったのでそこまでしんどくはなかったです。
空腹で気持ち悪くならないか不安でしたが、朝早めの時間にしていてよかったと思います。

検査当日は30分前に病院に行きました。
受付で保険証を渡したあと、血圧を測って待合室で待ちます。

名前を呼ばれたら、診察室に入ります。
そこで体調やアレルギーについて聞かれたり、検査方法の説明を受けたりします。
病院にもよりますが、多くの場合胃カメラの検査方法は「鎮静剤ありで口から」か「鎮静剤なしで鼻から」かを選ぶことができます。
それぞれの方法について調べてみて、主なメリット・デメリットを次のようにまとめました。

私は「鎮静剤あり/経口内視鏡」を選びました。
鎮静剤なしではとても耐えられないだろうと思ったからなのですが、卵や大豆、医薬品でアレルギーが出たことがあり、使用については不安もありました。
調べてみると、「胃カメラの鎮静剤で2日間嘔吐が止まらなくなった」、「不安障害の薬を飲んでいると鎮静剤が効きにくい」という体験談もあり、鎮静剤を使って大丈夫なのだろうかと迷っていました。

診察室で不安を伝えたところ、鎮静剤で吐き気を催すことは少ないと言われました。
また、アレルギー体質の人には違う鎮静剤を使用するとのことでした。(もともと何を使う予定で「違う鎮静剤」が何なのかは、私の知識不足でよくわからなかったです)
鎮静剤が効かない可能性についても質問しましたが、「とりあえず眠れる方向でやっていきましょう」と言われました。
このあと「胃カメラ検査同意書」と「鎮静剤使用に関する説明と同意書」に署名しました。

ネットで胃カメラ検査の鎮静剤について調べていると「胃カメラ 鎮静剤 死亡」というような予測が出てきて不安になったことはありませんか?
同意書に書いてあったのですが、内視鏡学会全国調査によると鎮静剤の使用による死亡例は過去5年で4件あったそうです。
この調査の母数が約1700万件なので、鎮静剤で死ぬ確率は 0.0000002%ということになります。
飛行機で死亡事故に遭う確率が 0.0009%、宝くじで一等が当たる確率が0.00001%なので、まず鎮静剤で死ぬことはないだろうと思いました。病院で検査を受けるわけですし。
死亡例が4件というとても少ない件数であることを考えると、おそらく亡くなったのも高齢であったり何らかの基礎疾患があったりする方だろうと思います。

診察室を出るとまた別の待合室に通されます。
この時間がつらく、不安と緊張で手が震えていました。
10分程度待っていると検査室に呼ばれました。

検査中

結論から言うと、過呼吸を起こしました。

検査室に入るとストレッチャー?に座って、腕に血圧計、指にパルスオキシメーター(指を挟むやつ)を付けられます。
隣に置かれたモニターに自分の心拍数や血圧、酸素飽和度が映されました。
この時点で既に吐きそうでした。

検査の前処理では、まず胃の中の泡を消す薬を飲みます。
味自体はスポーツドリンクを薄めたような感じなのですが、後味が気持ち悪かったです。緊張も相まって吐きそうになりました。
看護師さんに「つらかったら無理しないでも良いですよ~」と言われ、1口で断念しました。
後から見せられた胃の中の画像では若干泡や粘膜が見えましたが、検査自体には特に影響なかったみたいです。

次に咽頭麻酔をしました。
小林製薬ののどぬ~るスプレーのような感じで、喉に麻酔を吹き付けられます。
これを上を向いて喉に貯め、少し待ったあと飲み込まなければなりません。
この薬、すごく苦いです。
しかも喉の奥のピリピリとしびれた感じが気持ち悪く、吐いたらどうしようという不安が強くなりました。
なんとか薬を飲み込んだあと「もう一回吹き付けます」と言われて、急に吐き気が強くなりました。無理だな……と思った瞬間視界が狭くなって、そのまま過呼吸になりました。
喉に麻酔がかかっているせいで、自分の舌が自分のものではないような感覚があり、上手く息ができませんでした。
心拍数と血圧が一気に上がったため、横のモニターからずっとアラーム音が鳴っていたのが怖かったです。
(このときとても苦しかったのですが、とにかく看護師さんたちが優しかったです。責めることもなく、背中をさすりながら「大丈夫」と言ってもらえて救われました)

面倒の多い患者で本当に申し訳なかったのですが、結局咽頭麻酔も1回で断念しました。
この後は過呼吸のせいで意識が朦朧としていたので、そのまま横になり点滴を打たれました。この時点ではまだ鎮静剤は入ってなかったです。
全身が震えていたので針を入れるのが大変だったろうなと思います。本当に申し訳ないです。

医師が検査室に入ってきて、鎮静剤を入れられました。
「すぐに落ち着きますからね~ 目の前が暗くなりますよ~」と言われたのに、意識がしっかりしていて怖かったです。
そのまま内視鏡が入ってきそうになったので抵抗すると「お薬増やしますね」と言われました。
そこからは、意識はあるけどつらかったことは覚えてないという感じです。
気が付いたら終わっていました。
胃カメラが入ってくるときの苦痛は全くなかったです。えずきもありませんでした。

検査が終わるとストレッチャーのまま回復室に運ばれました。
30分ほど横になって休み、診察室で検査結果を聞きました。

検査後

心配していた検査後の体調不良はほとんどなかったです。
若干眠いかな……という程度でした。
喉の痛みもなく、検査後の食事も特にむせたりすることなく食べられました。これは普通に先生の胃カメラが上手かったからだと思います。ありがたいです。
検査費用は、初診料や鎮静剤代など全て含めて約4500円(3割負担)でした。
ここに組織採取や色素撒布が加わってくると、また費用も上がると思います。

まとめ

  1. 絶食による吐き気 ⇒ 早い時間の検査を選んだため問題なし 

  2. 検査の前処理(咽頭麻酔や泡消し)による吐き気 ⇒ 前処理無しでも検査が受けられないことはなかった 

  3. 鎮静剤によるアナフィラキシーと嘔吐 ⇒ 問題なし

  4. 鎮静剤が効かない可能性 ⇒ 効かない場合は増量

  5. 緊張によるパニック発作 ⇒ パニックにはなったが看護師さんが優しかった。過呼吸で意識が朦朧としてからの方がつらくなかった

  6. 検査中の苦痛。特にえずき ⇒ 問題なし

  7. 検査後の体調不良 ⇒ 問題なし

検査前から検査の前処理にかけてがつらかったですが、終わってみればこんなもんかという感じでした。
私は胃カメラが嫌で3か月間胃痛を放置しました。今となってはもっと早く受けておけばよかったと思います。
いっそ過呼吸になったほうが意識が朦朧として楽になるというのも、私の中では新たな発見でした。

今回の検査で、自分は鎮静剤でアレルギーを起こさないこと、特に副作用が出ないことが分かりました。
「不安が強いなら鎮静剤を使う」、「鎮静剤が効かないなら増やしてもらう」、「鎮静剤を増やしたとしても死ぬ確率は0.0000002%」ということを頭に入れておけば今後も胃カメラを受けられそうです。

ここまで書いてきたのはあくまで私の経験談なので、人によって色々と差はあると思います。
ただ、胃カメラを前にした人の抱える漠然とした不安が少しでも形のあるものに変化したらいいなと思います。
彼を知り己を知れば百戦殆うからずです✌️

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