(極私的)出演者紹介 グレンスミス

と、いうわけで。

今回からは各出演者をご紹介いたします。

まずは、このジャケットをご覧ください。

これは、わたしが手にしたアルバムのなかで、最も好きなジャケットのひとつ。グレンスミスの1stAlbum『ROMAN ALBUM』です。

きっと、グレンスミスのことを知らなかったとしても、CDショップで平積みになっていたら間違いなく手に取っていたと思います。

グレンスミスはプロフィールにもある通り、各々で活躍するミュージシャンがひとつのモットーの下に集まった集合体です。故に、その存在を知ったのも、バンドとしてではなく、メンバーの個人キャリア経由でした。

ちなみに、現メンバーは

宮崎貴士さん/堀江研介さん/クノシンジさん/郷拓郎さん(L→R)の4名。

『ROMAN ALBUM』を手にした頃(2012年頃)は、特に目立った活動は行っておらず、通販で届いたそのジャケットを見て、本編への期待に胸を躍らせたのを覚えています。

かくしてスピーカーから流れてきたのは、想像していたよりもずっと静かで抑制された、けれど、理想通りの甘さとスパイスを備えた薫りでした。

メインヴォーカルの郷拓郎くんの声、そしてうたは、少女漫画の主人公たちが持つコケティッシュさそのものだ、と思いました。

少女漫画に限らず、主人公として物語を運ぶには、それなりのバイタリティとアグレッシヴさが必要になります。たおやめぶりの目立つルックスであっても、やたらと頑固だったり、妙なところで無鉄砲だったり、突拍子の無いトリガーをその身のうちに備えている必要があります。でないと、扉は開かない。

その一方で、丁寧に編まれた繊細さを露わにします。ギムナジウムもので語られる少年たちなんてまさにその権化、といえましょう。複雑なバックボーンが描かれる者も、ムードメーカー的な役割を担う者も、やたらとひとの機微に敏感です。時に鈍な振る舞いをしても、線のナイーヴさゆえに赦されてしまう。

そういうキャラクターの集合体を自然なかたちで体現してしまっているヴォーカル。というのが郷くんのそれなのです。

そして、彩るサウンドの緻密さやギミックによって際立つので、“流し聴く”というのがなかなかに難しい。例えば作業中にBGMとしていても、いつの間にか雰囲気や思考がロマンティシズムに引っ張られていってしまう。

そしてもうひとりのヴォーカルで、メロディメイカーの宮崎貴士さん。彼の志向がグレンスミスの羅針盤になっていると思うのですが、もうとにかく発想と妄想が怒濤のよう。未だご存知ない方は、試しに彼のTwitterを覗いてみてほしいのです。一瞬で全方位的に広がる視野で、様々なことに忌憚なく斬り込むのは、さながら“一人ブレインストーミング”を目の当たりにしている様で。しかしその発想と妄想をスパイスとしながら、リリシズムに落とし込んでグレンスミスの音楽の輪郭がくっきりと浮かび上がってくるのです。

昨年、ようやっとの2nd Album『Steevenson Screen』がリリースされ、『試聴会』(一会場に集まった人たちが、高音質でアルバムを通し聴く)や、念願のライヴにも参加しました。

「はやく、みんなグレンスミスに気づけ!」

と、声を大にして言いたい。

クノシンジさんが加わったことで、ヴィジュアル的にもサウンド的にも、ますますロマンチシズムが深化しています。もう、その存在が少女漫画です。

オフィシャルサイト→http://glensmith.net/

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