(極私的)出演者紹介 谷澤智文

出演者ご紹介、最後は谷澤智文さん。

↑ロケ地・ウユニ塩湖。↑

谷澤さんは、このイヴェントに合わせてグレンスミス・宮崎貴士さんよりご紹介頂きました。

“タニザワトモフミ”表記でご活動されていた頃にお名前は存じ上げていたの(ちょいちょいニアミスもしていたよう)ですが、ちゃんとお会いするのは此度が初めてです。

実はわたくし、マンガ好きを公言しながら『君に届け』は観たことがなかったのです。なので、この程はじめて“きみにとどけ”を聴いたのでした。

リリシズム溢れるポップスで耳当たりも心地よく、でも諦念があって、ぎゅっと切なく絞られる。

さらに谷澤さんのプロフィールを読み、PVや既発の音源を聴いて抱いたのは、すっごくセンシティヴな印象でした。喜怒哀楽がヴィヴィッドに顕われる、というよりも、包み隠した感情が、内側で膨らんで幽かに震え続けている感じ。その抑えた抒情性は大好物だし、何と言っても声がすてき。谷澤さんが加わって頂けることで、コマのなかに描かれた寄宿舎が立体になり、何度もページをめくり憧れた、リボンタイの少年たちがイヨイヨ動きだすのではないかしら…

と。

勝手に妄想しておりました。

打ち合わせの日までは。

今回のイヴェントでは出演者全員によるコラボレーションもお願いする為、10月某日、顔合わせを兼ねてミーティングを行いました。

待ち合わせ場所に現れた彼は、そんな妄想を一瞬にして叩き壊しました。

背が高くて、ざっくりざっくり、大振りな動きをする。めっちゃメリハリのある、ヴィヴィッドなひとという印象に上から塗り替えられ、抱いていたセンシティヴさ、線の細さとは別の意味で思いました。

「このひと、漫画っぽい!」

お話してみると、とにかく素直な、まっすぐな方でした。シニカルな一面も持っているのですが、どんなことばを吐こうとその根底には世界への敬意があって。“マンガ好き”というキイワードから、少女漫画にも造詣が深いのだろうと勝手に思い込んでいました。

しかし。たいへん造詣が深いながらも、実際、今回モチーフとなる『ギムナジウムもの』には明るくない、とのことでしたが、好奇心と経験値から編み出される洞察はとても深くて、何故その作品群に惹かれるか、魅力は何なのかを、改めて客観視することができました。

(その後、コラボレーションについても思いもよらないご提案を下さいました。やりとりのなかで明かして下さった根拠がまた眼からウロコで、実現がトテモトテモ、愉しみなのです。)

その世界を知らないひとの眼が入ることによって、秘密が暴かれ、物語が動き出す。

世界放浪の旅を経て、名前の表記を『谷澤智文』と改め、バンド活動も経験したうえでの彼の音楽は、自由とユーモラスを備えています。たぶん、ギムナジウムの表層的イメージからはかけ離れているけど、彼の情熱的な好奇心は、少年の持ち得る哲学がメタモルフォーゼしたものだと感じられます。

谷澤智文さん、その存在がこのイヴェントの鍵になっているのです。

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