【グレンスミス・宮崎貴士】『ビロード蝶のほどきかた』 によせて。

週末を超えて、イヨイヨ来週に迫った『ビロード蝶のほどきかた』本編。

公表しましたコラボ曲について、イロイロ反響を頂きまして嬉しさと愉しみでそわそわしっぱなしの企画者、ヤマダナナです。 

みんな第一に『煩悩で選んでる!』というのが意外性の根幹だし、また、実際にそれぞれのステージを経たうえだと、より驚きと歓びが増すと思います。

でも、なんかnote、物足りなくね?

ということで。

この度のイヴェント開催の強いひきがねになった『グレンスミス』の宮崎貴士さんに、コメントを頂戴しました。

以下に全文を掲載します。

□□□□■□□□□■

 その名は体を表す、いや評すではないですが、このバンド名については当然、あの萩尾望都作品からの引用になってます。

  detune. の二人とバンドを組む事になり、バンド名という概念を提出するときに、少女漫画、それも70年代の少女漫画が脳内に浮かびました。 detune. の二人、特にヴォーカル郷氏のビジュアルイメージが少女マンガ的であるから、と理解されているようですが、それはそういう側面もあるのも自明です。

 が、このバンド名を「グレンスミス」というバンド名で評する場合においての自分のイメージは「隠された歴史観、隠蔽された知的さと優秀さ」であり、それはおそらく「 BL 解釈の元祖」という興行的現在的少女マンガの源流の価値、とは別種の、というか、自分内の少女漫画、とくに24年組系に感じるイメージ、繰り返しますが「隠されてきた重要な知性と表現」、それを detune. の音楽にも感じたという事だったんです。

 発見した自分自身の喜び、最初からそこにあった事に気づいた事への感謝。

 ヴァンパイア一族の存在を知ってしまった人間の喜びのような、。

 80年代中盤に書店でバイトをしていました。漫画が好きだったので仕入れを担当していました。大友克洋氏の「 AKIRA 」の単行本が初めて世に出た頃ですね、手塚漫画から漫画を好きになった自分は大友などのラインに繋がる漫画への知識はあったのですが少女漫画に触れる機会はありませんでした。

 が、書店で漫画を自分で売るようになり、それまで気づかなかった感性を目にいたしました。

少女漫画を買う女性たちです。

「これを買わないと私が私ではなくなる」としか視えない真剣さ、

 消費するのではなく「誰にも気づいて欲しくない自分だけの世界」を「守るために」漫画をかっているような姿。

 衝撃でした。

 個々の印象よりも、何か集合無意識で繋がるような女性達の姿を目の当たりにして「知らなかった漫画の背景がここにある」と実感したのでした。

 同時に当時は漫画批評も立ち上がっていた頃であり、萩尾先生や大島先生への批評的視線、コミケの源流が萩尾先生研究から始まっていた事の実感、などなど、漫画についてメインストリームの売り上げ数値とは別の「影響力」とその「影響力の源流」を遅まきながら、自分も発見したのです。

 そして、当然、その作品達に驚き、そして魅了されて今に至るのですが、30年も前に自分が気づいたその驚き、隠蔽されていたとさえ思った最重要事項の「少女漫画」、そしてあまりにも直接的なネーミングではなくそれを評する表せるバンド名はないか?という設定でかなり意識的に付けたバンド名が「グレンスミス」です。

 そして、その単語だけで「伝わる人にはすべてが伝わる」という確信がありました。なぜなら、そこから広がるイメージに敏感な知性が「少女漫画」を支持して来た知性だと理解していたゆえに、。

 で、それは伝わっていると確信しています。

 この知性を信じる事は自分にとって「テロに抗する何かが人間にもあるはず」に匹敵する事実なんですが、それはまた長くなりそうな話なのでライブのトークなどで、、。

        「女性の知性や選択は集合知そのものである」

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?